ミニ・クーパー ’87&’88のスペック
約600台が販売された希少な”クーパー”であるミニ・クーパー ’87&’88(=ジョンクーパー)は、オースチン・ローバー・ジャパン(ARJ)が輸入した右ハンドル/4段MTのメイフェア日本正規仕様がベース。
ARJからミニマルヤマに渡ったメイフェアが、ミニ・クーパー’87&’88のエクステリア&インテリアを組み込むことで、コンプリートカー(コンバージョン)に仕上げられる。
大きな変更箇所は、専用のオーバーフェンダーやステアリングなど。細かなところでは、サイドのストライプはメイフェアの細い2本ラインから1本ラインになっていた。
内外装と同時に、英国のジョン・クーパー・ガレージから車両とは別に送られてきたジョンクーパー・パワー・キットが組み込まれる(ごく少数だがパワー・キットを後日組み込みとしてエンジンがノーマルのまま納車になった車両もあった)。このキットにはチューニングヘッド、ロッカーカバー、SUツインキャブレター、エアフィルター、3ブランチEXマニホイールドなどが用意されていて、それらを組み込むことで、最高出力/最大トルクが65ps/8.3-kg-mに引き上げられる。ノーマルのメイフェアが42ps/6.8kg-m出力だから、速さの差は歴然。パワーウェイトレシオも16.2kg/psから10.4kg/psと飛躍的に向上し、”ポケットロケット”(ミニ・クーパーの愛称のひとつ)が完成する。
なおこのパワー・キットは、体裁的には日本での後付けとなっているが、そのパーツ類はARJの保証の対象である「メーカーチューニング」用品の扱いだ。
またボンネットにはMINIのオーナメントも取り付けられるが、こういった仕様は’80年後半の欧州コンプリートカーブームの中でも”特別”といえる存在。当時は、AMGやルーフ、エッティンガー、ABTなど様々なチューナーが日本に上陸してきたが、自動車メーカーの正規輸入車がベースで、なおかつ自動車メーカーのバッヂを付けることが許されたものは他にはない。そういった意味では、ミニ・クーパー’87&’88(ジョンクーパー)は、往年のフィアット・アバルトなどと同じく、自動車メーカーからの派生モデル的な存在だった。
なおミニマルヤマではミニ・クーパー ’87&’88のパーツ在庫が僅かながらあるそうで、ミニ・クーパー ’87&’88をレストアしたり、ミニ1000をベースにエンジンを含めて同じ仕様のミニ・クーパー(ジョンクーパー)が作れるそうだ。
MINI COOPER ’87 & ’88 主要諸元
ボディ
全長×全幅×全高:3055×1440×1335mm
ホイールベース:2035mm
トレッド:1235/1200mm
車両重量:680kg
エンジン
エンジン型式:99H
ボア×ストローク:64.6×76.2mm
総排気量:999cc
圧縮比:10.5:1
キャブレター:SU HS 2×2
最高出力:65PS/5900rpm
最大トルク:8.3kg-m/3300rpm
トランスミッション
型式:4段MT
変速比;1速3.647/2速2.185/3速1.425/4速1.000
最終減速比:3.015
サスペンション
型式:F ウィッシュボーン/ラバーコーン
R:トレーリングアーム/ラバーコーン
ブレーキ
F ディスク
R ドラム
ホイール&タイヤ
F 4.5J×12 & 145/70SR12
R 4.5J×12&145/70SR12
価格
車両本体価格:198万円
編集N
自動車雑誌編集者歴30年の、カメラマン・ライター・英語翻訳・動画撮影・動画編集、そして雑誌企画制作もこなすハイパーマルチメディアクリエーター。プライベートではミニメイフェアと30プリウス、フェラーリなどを所有。
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