ミニのトランスミッションで不具合といえば
① 2速へシフト時にガリっと音がする。
② 走行時、速度に合わせてゴロゴロやカタカタ、コトコト音が出る。
③ これは最悪で、不動になる。
②と③は症状の進行によって変化する経過で、元は同じデファレンシャル内部のガタつきです。
一般に新車時から手が付けられていない場合、10万キロ前後でデフは寿命に思います。使われてきたオイルの粘度、質、量の管理が悪いと、もっと早く故障します。
実際不具合が出ていても、分からないで乗ってるユーザーも相当数います。ホイールベアリングの故障かと思ったらデフだった、けど走ってるから良いか、みたいに、古い車ゆえの「そんなもんかな」みたいなユーザーは多いです。
デフに関しては、動画でもいろいろ紹介されています。
いくつか見ましたが、修理の参考に出来るようなレベルではありませんので、発信元に修理を依頼したり質問するのは避けた方が良いでしょう。これはホイルベアリングの交換に関するものも同じで、視聴数で小銭を稼げるのかわかりませんが、それだけです。
今日作業中に撮った画像でいくつか気を付けてる所に触れてみたいと思います。
デフのサイドカバー(ドライブシャフトが刺さってる所)を外して各5本づつのボルトを見ると
2本だけ少し長いボルトがあります。外す時に長さの違いに気づかないと底突きしてサイドカバーがしっかり付かない場合があります。
長い2本はダウンパイプとつながるステーの分だけ長くなっています。ちょっとしたことです。
片側5本で締め込む場合、星型を書くように対角に均等に締め込まないと後で触れるデフボールベアリングに偏った荷重が掛かってデフを痛めることになります。
デフ自体のOHが終わったら、ガスケットやシール材をきれいに除去してデフハウジング以外の構成部品をサイドカバーにガスケットを付けてミッション側に付けます。
ここでは向かって左側に入れるデフベアリングシムの調整を行います。
右側はサイドカバーに密着するように付けます。この時、サイドカバーは2本のボルトで留められますが均等に締め込んでカバーが歪まないように気を付けます。ケースから飛び出しているスプリングはこの時点で外しておけばカバーが付けやすくなります。スプリングで歪みが生じるとベアリングとカバーの隙間が場所によって違いが出るので気を付けてください。
※ベアリングをクラウンホイールやデフケースに付ける際にプレスを使わずに叩いて入れると、ベアリングのインナーが取り付け位置の底までわずかですが密着していないとベアリングが斜め嚙みするので基本プレスのない人はやらないように。
左側のベアリングには元々入れてあったベアリングシムを入れないでサイドカバーとベアリングのクリアランスをシックネスゲージで計って、0.018ミリのクリアランスが残る厚さのシムを入れます。
この時も、サイドカバーを留めるボルトの締め付けを均等にして、シックネスゲージの数値が均等になるように締めつけてシムの厚さを決めます。
0.015だと緩く、0.02だとキツいくらいだとピッタリです。
あらかじめ予備のシムを用意してから作業に入ってください。
シムの厚さを決めたら、一度ばらして、デフハウジングを付けてサイドカバーを付けますが、ハウジングにある小さな穴はオイルが通る個所です。液体パッキンでふさがないように注意します。
ご紹介した内容はHow toではなくて、こんな風にいろいろと気を配って作業する必要があり、ただ単に締め付けトルクの数値がいくつというだけでは比較的短時間で再修理することになるかも、という程度に思ってください。
ドライブシャフトのポットジョイント部につくシールからオイル漏れが止まらない時は、デフがシールに対して真円で回っていない事が原因ですが、他にも、シールが長期在庫で固くなっていたリ、サイドカバーがわずかに斜め噛みしていたり、以前受けた作業が良くなかったことが原因であることがたまにあります。
デフの作業はエンジン脱着を伴います。ということはとても高額の作業費負担が生じます。デフは開けばほとんどの場合手を付けるところがあるものです。逆に、デフピンに摩耗がない、なのにピニオンの銅ワッシャーが消滅、アウトプットシャフトに付くファイバーのスラストワッシャーはペラペラとか、不自然な状態だと、適当に外注先で直されたのかもしれません。
ファイバーのスラストワッシャーの厚みで内部のピニオンとアウトプットシャフトのバックラッシュ調整を行っているので、新しい部品に替えました、はいOK!だと、組めたらスカスカ、またはカチカチで組めない、のどっちかになって、交換する予定だった古い部品でまた組んで、それOHですか?みたいな話もある、みたいですww
DIYしたい人には参考にもならないと思いますが、この手の作業を任せる場合は相手をよく見て依頼してください。