ミニで長距離の旅行には行けないんじゃないか、とか。雪道なんて走ることはできない、とか。なかには、高速道路を走ってもいいんですか、とか……。いったいミニのことをどう思っているんだろうかい、と編集子は訝ってしまう。クルマなんだし、実際にそんなにヤワな自動車でもあるまい。もちろん、それなりの準備の必要だし、日頃のメインテナンスは必須だけれども、ゴー・アラウンド・シリーズで身を以てミニのプレジャーを示したいと思う。まず初っ端は『東北・ウィンター・ドライブ』からだっ。
文・写真:たしろ(G)もとはる
取材協力:タイヤセレクトあおもり、オーバーズ・アンダーコンストラクション
キッチン・アンド・ミニ・ファーム、ミニセンター・オタザワ
ミニで青森に行きたい
ことの始まりは編集子の前職場の同僚でミニに乗っていた中井さんが「ミニで青森に行きたいな」と連絡してきたこと。何を隠そう中井さんは、いま編集子が乗っている赤い(ナイトファイアレッドね…)メイフェアの前オーナーでもあるわけで、当時の知り合いが東北にもたくさんいるわけですよ。
「雪の降っている時期でも良ければ、取材を組むよ。ウィンター・ドライブはテーマにしたい内容だったから。会いたい友達って、タイヤセレクトの鹿内さんでしょ……」ってなわけで、新年明けて早々に青森行きが決まったという寸法だ。ゴー・アラウンド・東北……、ゴー・アラウンド・青森! である。
と、簡単に言ったところで、青森までは神奈川から700km以上は優にある。往復したら行程は1千500kmで、なかなかのボリュウムのロングドライブだ。ひとまず、目的地の鹿内さんに連絡をして取材に行く旨を相談することにした。ウィンター・ドライブを誌面で紹介したいことも、きっちり要請しておかなければ。そう、鹿内(しかない)さんという御仁を紹介しておこう。実は編集子とは、もう30年来の知り合い。ミニに乗り、ランドローバーに乗り、東北は俺を中心に回っていると豪語するような、けっこうユニークなヒト。雑誌を超えた付き合いをしてくれて、冬情報に関しては編集子の大切なブレーンだ。現在は『タイヤセレクトあおもり』を率いて、自身は“パンク屋さん„と吹聴している。
で、スノー・ジャーニーのプランは1月11日の朝10時に、青森市内の『タイヤセレクトあおもり』を出発。で、日中は八甲田近辺をスノー・ドライブして五戸方面まで移動。温泉に泊まって馬肉を食べよう、ってことになった次第。実際、打ち合わせはこんな感じでサラッと。とにかく前日の夜までには青森市内に来るように、ということだった。
青森まで750km弱、ナビゲーションのアプリでみると10時間弱、途中の休憩時間や気象の状況で加算すべき時間を含めて考えると12時間はかかると踏んだ。よって、横浜出発は午前5時! 途中の福島はちょっと驚くくらいの雪。逆に雪なしの岩手県は120km/h区間もあって順調。スノードライブは青森に入ってからが本番だった。
東北ツーリングの言い出しっぺが中井智子(なかいともこ)さん、酉年。編集子の先輩だ。メイフェア1.3iを長らく乗っていて、ルーフをシルバーに塗ったのは彼女なのだ。ひとりで北海道まで自走して出かけてしまうほどの行動派、ビックリだ。で、無性にミニに乗りたくなったらしい。青森行の提案をしたら、渡りに船とばかりに乗ってきて、この企画が実現した。
冬の必需品、『スタッドレスタイヤ』と『グリル・マフ』は欠かせない!
事前にメイフェアのスタッドレスタイヤを新調したいことを伝えて、一台分のタイヤを送ってもらった。届いたタイヤを装着して、ホイールは金と赤の賀正仕様に……。最低地上高を稼ぐために車高調をクイックイッと調整。雪対策グッズも倉庫から引っ張り出してきたし、始業点検もきっちりと水と油をチェックして準備万端である。
タイヤセレクトから送られてきたスタッドレスタイヤは相模原のミニセンター・オタザワで組み替え。旧来のホイールがみすぼらしかったので塗装した。タイヤのサイズは155/70R12、ワンサイズ幅広なのは鹿内さんのアドヴァイス。車高はガッチリ上げておいた。
でもって今回は、もうひとつアップグレード。寒気によるオーバークールを回避して、なおかつヒーターの効きを良くしたいので、グリルマフを付けようと画策した。相談したのは岐阜の『キッチン・アンド・ミニ・ファーム』、杉山さん。サブライトが付いたベネライトグリルなので、製作はフルオーダーになってしまうだろうなぁ……。あまりにも直近で相談したので購入するには時間が足りなくて、今回は無理を言って検証取材用にご自身が使っているものを貸していただいた。効果の程は間違いなく実感できたので、来シーズンに向けて、発注しないとだな。
キッチン&ミニファーム、杉山さんに借りて効果の検証をした。これがまた、冬のミニによく似合うじゃないか。事前に金具を装備しておけば、付け外しに工具は不要。水温が摂氏90度近くをキープできて、ヒーターの効きもバッチリ。冬の必需品だな、これは……
次回の更新は3/13(月)!
【全4回】ミニで青森まで冬ドライブ の一覧はこちら
田代(G)基晴
10月号より本誌編集長:ミニより1歳年下の1960年生まれ。ミニ・フリーク誌のスタートからどっぷりミニ漬けの人生。現在はフリーランスの写真家、編集者として活動。趣味の伝道師を目指し、日々精進している…