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デラックス リミテッド スーパーエクシード… 消えた個性的なグレード名 なぜ今つまらない?

デラックス リミテッド スーパーエクシード… 最近耳にしなくなった魅惑のグレード なぜ今はつまらない記号ばかりなのか?

 国産車メーカーに個性があるので一概にはいえないが、主に1970年代は「スタンダード」といえばおおむね最廉価グレード、「デラックス(DX)」は下位か中間グレードくらい。

 これに「スーパー」や「カスタム」、アルファベットのみになるにつれ上級グレードに…となるなど、グレード数が少ないということもあるが、シンプルで分かりやすかったように思う。

 また「クーペ」「セダン」「ハードトップ」や「1600」など、ボディ形状や排気量をグレード名にしていたモデルも多かった。

 そして1980年代に入り、「GT」や「TURBO」をはじめ、「TWINCAM」「DOHC」「TWIN TURBO」「○○○パッケージ」など、1600、1800、2000、3000といった排気量の数字やそのクルマのスペック、豪華さ、高性能ぶりをアピールするようになっていった感がある。

 これはカタログ表記だけでなく、エンブレムやステッカー、ホイールなど実車においてもグレードの識別が可能であった。

 例えば、トヨタマークIIであれば最普及グレードの「グランデ」と「GTツインターボ」ではグレードを示すエンブレムやホイールなど、特にクルマ好きであれば識別が容易であった。

 時代の変化にともない、国産車メーカーごとに特色のあったグレード名の個性が薄れつつあるように思える。

 そこで今回、最近耳にしなくなった魅惑のグレード名を挙げてみた。当時憧れたり、実際に所有していたり、グレード名が担う役割が大きいことを改めて実感できるに違いない。

文/松村透
写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱、日本フォード

【画像ギャラリー】「エクスクルーシブ」「∞」「スーパーエクシード」「リミテッド」「アルティマ」…。懐かしいグレード名の数々


■スーパー・スポーツ・セダン/SSS

名車中の名車といわれる510型ブルーバード1600SSS。1970 年の第18 回東アフリカ・サファリラリーにおいて、国産車初の3冠を達成。昭和の名優・石原裕次郎さん主演の映画「栄光への5000 キロ」で使用されることにもなった

 最近では旧車に接している人でない限り、縁遠いグレード名になりつつあるように思えてならない「SSS」。

 むろん、日産ブルーバードに与えられたグレード名に他ならない。410系のブルーバードから設定されたSSSは「スーパー・スポーツ・セダン(後にスーパー・スポーツ・サルーンとなった)」の頭文字を取ったものだ。

 往年のクルマ好きであれば「ブルーバード=SSS」というイメージを持つ人も多いだろう。事実、410系以降のブルーバードとして販売された歴代モデルには何らかの形で「SSS」の名を冠したグレードが設定された。

 なお、ブルーバードの上位モデルとして販売されていた「マキシマ」の存在も忘れてはならないグレード名だ。

1980年春に910ブルーバードに投入されたZ18ET型ターボエンジンを積む1800ターボSSSは510SSSの再来といわれた。1981年にはブルーバード初の4ドアハードトップを加えるなど、スポーティ方向に振り、コロナとの差を広げている

■アンフィニ/∞

サバンナRX-7アンフィニは前/後期あわせて計4回限定販売され、追加販売されるほど人気モデルとなった。たった1文字の「∞」マークだが、これだけで特別なグレードであることが判別できるほどインパクトがある

 主にマツダの限定車として販売された「アンフィニ」も胸を熱くするグレード名だろう。

 ステアリング部のホーンボタンやホイールキャップ、テールゲートにさりげなくも誇らしげに配された「∞」のエンブレム。

 もっとも有名なのはサバンナRX-7(FC3S型)だが、カペラC2(GDES型)およびファミリア セダン(BG8P型)にもアンフィニが存在した。

 いずれも限定モデルでカペラが300台、ファミリアセダンが1000台だった。

 サバンナRX-7アンフィニは前/後期あわせて計4回限定販売され、通称アンフィニIおよびIIが限定300台、アンフィニIIIおよびIVがそれぞれ限定600台され、後に追加販売されるなど人気を博したモデルだ。

 1991年にフルモデルチェンジしたFD3S型RX-7は、当時発足したマツダのチャンネルのひとつとして誕生した「アンフィニ」を冠したアンフィニ RX-7として登場した。

 しかし、アンフィニブランド消滅にともない、1997年に「マツダ RX-7」と改称された。

■アルティマ/Ultima

「アルティマ」のグレード名は、レパードの他、セドリック/グロリア(Y33型)のグランツーリスモ系グレードの最上級グレードとしても採用された

 「アルティマ=日産車」のイメージが強い人も多いだろう。なかでも「レパード アルティマ」は刑事ドラマとしていまでも熱狂的なファンが多い「あぶない刑事」の劇用車として採用されたことでも知られる。

 また、セドリック/グロリア(Y33型)のグランツーリスモ系グレードの最上級グレードとしても採用された。

 また、日本には正規輸入されていないが「アルティマ(日本名はティアナ/7月で生産終了)」を名を冠したモデルがアメリカ市場で販売されていた。

日本国内で販売されていた日産車のなかでも採用された例が少ないにも関わらず「アルティマ」の地名度は高い

■ヴィップ/VIP

1980年代、自宅のマイカーがセドリック/グロリアというと「誰もが認めるお金持ち」だったように思う

 「VIP」も日産色の強いグレード名といえそうだ。セドリック/グロリアやプレジデント(250型)、シーマ(Y33、G50型)、フーガ(Y50、Y51型)をはじめ、エルグランドにも採用されている。

 いずれも高級車のみ、なかでも最上級グレード(または排気量別のグレードのなかで最上級)に与えられる傾向が強い。ちなみに「ブロアム/Brougham」の響きにも懐かしさを覚える人も多いだろう。

 たった3文字のアルファベットであっても、このエンブレムが愛車に貼られているだけでオーナーは満足感が得られる不思議な魔力を秘めたグレード名だ。

「VIP」という、たった3文字のエンブレムだが、周囲に対して最上級グレードであることをアピールする。オーナーは優越感に浸っていたに違いない

■リミテッド/Limited

AE86型スプリンタートレノ1600GT-APEXブラックリミテッド

 最上級グレードに与えられたのも「Limited」だ。「リミテッド」というと、トヨタ系であれば主に最上級グレードが採用したことを記憶している人が多いだろう。その一例がソアラ(10、20型)や、スープラ(70型)などだ。

 その他「リミテッド」は日産シーマ(Y31、Y32型)やおよびラルゴ、三菱ミニカ 3ドア、マツダ アンフィニ MS-8、フォード レーザー セダンなど、メーカーや車格を問わず幅広いモデルに採用された。

 また、AE86型スプリンタートレノ限定車である「GT APEXブラックリミテッド」や、マークIIの特別仕様車である「グランデリミテッド」も存在した。

 それ以外の例として、ユーノスロードスターでは「Jリミテッド」「Sリミテッド」「SRリミテッド」をはじめ、幻の限定車「東京リミテッド」も発売。

 リミテッドは本来「限定された」「特別の」「狭い」など意味を持つので、限定車や特別仕様車に与えるグレード名としてうってつけのネーミングなのだ。

■エクスクルーシブ/Exclusive

ラグレイトエクスクルーシブ。最上級グレードにだけこのエンブレムがおごられる

 「エクスクルーシブ」というとホンダ色の強いグレード名だ。レジェンドをはじめ、インサイト、ラグレイト、USアコードクーペの最上級グレードに用いられることが多い。

 その他、レアなモデルとしてCR-Xにもエクスクルーシブグレードが存在した。

 ボディーカラーはブラックであるのに対して、内装色はキャメル、シートもキャメルレザー仕様という豪華モデルだ。リアガーニッシュも専用品が与えられ「CR-X EXCLUSIVE」の文字がスペシャルモデルであることをさりげなくアピールした。

 これは余談だが、ポルシェのカスタムオーダーをするサービスは「エクスクルーシブ・プログラム」と呼ばれる。

「エクスクルーシブ」というとホンダ色の強いグレード名だ。レジェンドをはじめ、インサイト、ラグレイト、USアコードクーペの最上級グレードに用いられた

■スーパーエクシード/Super Exceed

「Exceed」の前にわずか5文字の「Super」がつくだけで、オーナーにとっては自慢だっただろう

 「スーパーエクシード」といえば、いうまでもなく三菱色が強く感じられるグレード名だ。しかも、多くの場合は最上級グレードに与えられたグレード名ゆえ、三菱車オーナーでなくてもその響きを記憶している人も多いだろう。

 「エクシード」の上級グレードとして、エンブレムなどでさりげなく「スーパーエクシード」のグレードをアピールしていた。

 このグレード名を冠したモデルを挙げると、パジェロ、デボネア、ギャラン フォルティス、デリカ スペースギア、エテルナなど。

 ちなみに「Exceed」は日本語で「超えた」「勝る」などの意味を持つ。

「スーパーエクシード」のグレード名を冠したモデルを挙げると、パジェロ、デボネア、ギャラン フォルティス、デリカ スペースギア、エテルナなどがある

■サイボーグ/Cyborg

1987年10月に登場したミラージュにはクラストップの145ps/21.0kgmを発生する1.6Lターボを搭載するサイボーグ16V-Tをラインナップ。さらにユニークだったのは、この時代、ミラージュにはスイフト/サイボーグ/ファビオ/サイビクス(XYVYX)という4つのグレードを用意していた

 三菱のホットモデルとして3代目ミラージュ(C53A型)に設定されたグレードが「サイボーグ」だ。3ドア ハッチバックのグレードにはスズキの3ドア ハッチバックとして人気が高い「スイフト」も存在した。

 ちなみにサイボーグの語源は、アメリカの科学者であるマンフレッド・E・クラインズが1960年頃に発表した著書のなかで生物と機械装置の結合体を「サイバネティクス・オーガニズム」と称した短縮語だといわれている。

ミラージュサイボーグのグレードは4代目においても追加モデルとして設定され、新開発の1.6L、直4DOHC16バルブ MIVECエンジンを搭載し、最高出力は175ps。リッターあたり109psをたたき出した。

 このサイボーグは3代目および4代目はハッチバックおよびセダンに設定され、1995年にフルモデルチェンジされた5代目ではハッチバックのみとなった。

■プロミネント/Prominent

「卓越しているさま」などの意味を持つプロミネント。カムリにV6エンジンを搭載したモデルだが、控えめなデザインも魅力的だ

 トヨタカムリのハードトップモデルとして1988年に発売されたのが「カムリハードトップ(VZV20型)」であった。

 搭載されるエンジンはセダンタイプのカムリが4気筒エンジンであるのに対して、こちらはV6エンジン。グレード名に「プロミネント」が採用された。このプロミネントには「卓越しているさま」「顕著であるさま」などの意味を持つ。

 カムリのフルモデルチェンジにともない、1990年にカムリハードトップもVZV30/31型へと進化。両モデルともトランク部分に「Prominent(30/31型はすべて大文字)」のグレード名が誇らしげに配されていた。

 4ドアセダンのカムリの車両本体価格が100万円台後半〜200万円台前半であったのに対して、プロミネントは200万円半ば〜。価格帯を基準に選ぶなら、上級モデルのマークII 3兄弟も射程圏内に狙えるポジションにあった。

■ツアラー/Tourer

ツアラーといえばチェイサーツアラーVを思い出す人が多いだろう

 80系マークII/チェイサー/クレスタのスポーツグレードに採用されていた「GTツインターボ」に代わり、90系および100系に与えられたのが「ツアラー(100系クレスタのみ「ルラーン」に改称された)」だった。

 ターボエンジン搭載グレードはツアラーV、NAエンジンはツアラーSという2グレード構成は覚えやすい。

 なかでもチェイサーツアラーV(100系)は、ツアラーのグレード名を冠したマークII3兄弟の代名詞となった感がある。1JZ-GTE型直6エンジンを搭載したツアラーVは当時はもちろんのこと、若い世代のクルマ好きにも人気のモデルだ。

最終モデルでも20年前のクルマだが、いまでも高い人気を誇るチェイサーツアラーV

■サリュー/Salut

レガシィツーリングワゴンと比較して地味な印象のアベニールサリュー。CMでこのクルマを印象づけた松嶋菜々子と、制作陣の貢献度は大きいといえる

 「お・ま・た」と聞かれて思わず「サリュー! 」と答えてしまうのは、もはや完全におじさん世代だろう(笑)。いまや大女優の風格すら漂う松嶋菜々子の出世作ともいえる日産アベニールサリューCMだ。

 1995年に登場したアベニールサリュー、グレード名にエクスクラメーションマーク、いわゆるびっくりマークがついた「サリュー! 」として売られていたほど遊び心があったのだ。

 「Salut」はフランス語。和訳すると「やぁ」「じゃあね」などの意味がある。

 当時大ヒットしていたスバルレガシィツーリングワゴンのなかでも特にGT系グレードが人気だったことを強く意識してか、上級グレードにあたるGTターボにはSR20DET型エンジンが搭載されていた(NAエンジンはSE20DE型)。

 ちなみにCMで使われていたのもGTターボで、ドレス姿にフルフェイスのヘルメットを被った松嶋菜々子が助手席に座り、ドライバーがサーキットを攻めまくるバージョンも存在する。

 色っぽい声で「ステキ! 」を連呼する松嶋菜々子のリアクションを真に受けて勘違いした当時の若者がいたに違いない。

「Salut」はフランス語で、和訳すると「やぁ」「じゃあね」などの意味がある

■キャンバストップ/Canvas top

懐かしのマーチキャンバストップ。オプションでサンルーフを選ぶ人が減っているといわれている昨今、キャンバストップ設定車が少ないのも致し方ないのか…

 ルノートゥインゴやフィアット500は現在でも新車が販売されているようだが(グレード名として正式に表記しているのはルノー トゥインゴのみ)。

 BMW MINIコンバーチブルの幌をキャンバストップ風に開けて走っている光景を見たことがある。しかし、日本車ではすっかり絶滅危惧種となった感のあるキャンバストップ。

 グレード名としてキャンバストップが設定されていたのは、トヨタ スターレットやカローラII、コルサ、Will Vi。日産ではマーチやエスカルゴ。

 マツダはデミオ、日本フォードではフェスティバ、オートザムキャロルおよびレビュー。ダイハツオプティ、スズキアルトラパンといった、割と女性も好みそうなモデルが多いようだ。

 特に、紺色のフェスティバキャンバストップや、赤いデミオキャンバストップは人気モデルの牽引役となったモデルだけに、印象に残っている人も多いだろう。

 余談だが、マニアックなところでは1988年に100台限定でカペラのキャンバストップ仕様が発売された。

日本フォードが販売したフェスティバキャンバストップ

■最近のグレード名は没個性 つまらない!?

フィットのボディを見渡すとグレード名のエンブレムが見当たらない。FITとe:HEV搭載車であればe:HEVだけ。グレード名自体はベーシック、ホーム、ネス、クロスター(写真)と、記号だけのグレード名が多いほかの車種に比べると、キャラがわかりやすい

 最後に、最新モデルのグレード名をまとめてみた。

 よくいえば淡泊であり、どちらかというと没個性だ。また、かつてのようにどのグレードが上級モデルなのかわかりにくい。さらに、車体に車名のエンブレムを貼り付けたりしても、グレード名は分からないことが多い。

 つまり「わかりにくく、つまらなくなった」ように思う。

 そういえば最近、若者のファッションで「シャツをズボン(パンツというべきか…)にインする」のが流行りだという。

 少し前まで超絶ダサいといわれた格好も、時代が1周してお洒落なファッションという評価を取り戻したということなのだろう。

 新車の購入を考える時、カタログやWebカタログで、気になるモデルのグレードを比較するし、中古車であればカーセンサー.netやgooなどでモデル検索に加えてグレード名で絞り込むことも多いはずだ。

 現役セールスに聞くと、指名買いにはグレード名まで含まれることが多いと聞く。

 インパクト重視でかつてのグレード名を復活させることにより、強く印象に残せるかもしれない。

●ヤリス
・HYBRID Z/G/X
・Z/G/X/X”Bパッケージ”
・G/X/X(Bパッケージ)
・Z/G/X(6MT)

●ノート
・F/S/X/AUTECH
・S FOUR/X FOUR/AUTECH FOUR

●フィット
・e:HEV BASIC
・e:HEV HOME
・e:HEV HOME 20周年 特別仕様車 Casa/Maison
・e:HEV NESS
・e:HEV CROSSTAR
・e:HEV LUXE
・BASIC
・HOME
・HOME 20周年 特別仕様車 Casa/Maison
・NESS
・CROSSTAR
・LUXE

●レヴォーグ
・GT
・GT EX
・GT-H
・GT-H EX
・STI Sport
・STI Sport EX

●マツダ3
◆ファストバック
◎ハイブリッド
・X PROACTIVE
・X PROACTIVE Touring
・X L Package
・X Burgundy Selection
◎ガソリンエンジン
・15S
・15S Touring
・20S PROACTIVE
・20S PROACTIVE Touring
・20S L Package
・20S Burgundy Selection
◎ディーゼルエンジン
・XD PROACTIVE
・XD PROACTIVE Touring
・XD L Package
・XD Burgundy Selection

●エクリプスクロス
◎PHEV
・M
・G
・P
◎ガソリン
・M
・G
・G Plus Package

●ジムニー
・XC
・XL
・XG

●タント
◎タント
・L(スマートアシスト非装着車)
・L
・X “スペシャル
・X
・X ターボ
◎タントカスタム
・カスタムX
・カスタムX“スタイルセレクション
・カスタムRS
・カスタムRS“スタイルセレクション”

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