ミニ乗りならば一度は憧れるものの、現状ではなかなか手に入れにくいのがキャブレターミニだ。
そこで今回は、キャブレターを楽しむ現実的な方法として、インジェクションモデルの「キャブ化」について考えよう。
インジェクションミニの キャブレター化
ミニをクラシックカーとして楽しむユーザーの中には、やはり「キャブレター」での走りに憧れる方も少なくない。インジェクションよりもダイレクトな加速感や、自分でセッティングできるアナログな楽しみ、チューニングの自由度が幅広いことは、走り好きやメカ好きにとって、たまらなく魅力的だ。さらに、純正のほかにも、ウェーバーやFCRなど、ラインナップに幅があることも、キャブの利点だといえる。
しかし、今日の市場において、流通するミニのほとんどはインジェクションモデルが占めており、キャブクーパーをはじめ、キャブモデルのミニは手に入りにくくなっているのが現状だ。また、キャブに憧れながらも、インジェクションの愛車を手放すには勇気がいるというミニ乗りも、決して少なくないだろう。
そうした、キャブへの憧れを捨てきれないミニ乗りたちに提案されるのが、インジェクションミニの「キャブレター化」なのだ。これは文字通り、インジェクションミニをキャブ仕様に変更するためのカスタムだが、果たして、その範疇は吸気系だけに留まるのだろうか。
今回は、インジェクションモデルのキャブ化を実践する上で必要なポイントについて、埼玉・上尾市のミニー・ブリティッシュカーズでのキャブ化を例に紹介していこう。
コネクター形状が異なるため、ハーネスに合わせてセンサー類も変更、移設。
キャブ化に当たっては改造申請の必要はなく、こちらの「排ガスレポート」(排ガス試験証明書)を車検時に提出することで、適法で乗ることができる。
インジェクションミニのキャブ化には、最低限の加工にとどめたり、ECUを活用したりと、さまざまな方法があるが、同店ではもっとも基本的な方法として、本来のキャブレターモデルにあわせて電装系を変更するという。
「まず配線については、車体前側のハーネスがインジェクションモデルと仕様が異なるので、それらをキャブ用の純正ハーネスに引き直します。コネクターを交換して流用する方法もありますが、この場合は、不要な配線でエンジンルームが煩雑になったり、コネクターの接続不良につながります」と語るのは、同店の関 一美代表。関代表によれば、ハーネスを引き直すことでシンプルにまとまるだけでなく、他店で整備を受けることになっても、キャブモデルの配線図やパーツを利用して対応してもらえるのだという。これに伴い、リレー類や必要なセンサー類もキャブレター用に揃えるほか、燃料ポンプも交換するのだという。
「タンク内に設置するインジェクション用の燃料ポンプは、キャブ用のものに比べ、高い圧力で燃料を送り出しています。なので、適正な燃圧がかかる外付けのキャブ用のものに交換しますが、このとき、燃料を吸い出せるようにピックアップパイプを通す形で、燃料タンクも加工しています」。
以上、これらがキャブ化に当たっての基本的な作業内容になるとのことだが、関代表によれば、この方法でキャブ化ができるのは、’96年以前のエンジンに限るのだという。
「キャブレターを使用する場合は、点火にディストリビューターが必要になりますが、’97年以降のエンジンブロックはディストリビューターが装着できません。ただ、その場合でも諦める必要はなく、当店では、ストックしているエンジンと交換して対応させていただいています」。
SHOP DATA ミニー・ブリティッシュカーズ 〒362-0046 埼玉県上尾市1丁目41-1 TEL:048-782-9082/FAX:048-782-9083 http://www.minnie-bc.jp
塗装ブースなど充実した設備と、ディーラー工場で培った実績で、一般整備からカスタムやレストアまで、すべて自社対応を可能にしたスペシャルショップ。特に、チューニング技術の高さはSBoMで実証済み。