STREET MINI プレイバックストミニ

ピストンに着目!発揮する効果が絶大すぎる|ローバーミニ カスタム

本シリーズでは、ストック・ヴィンテージ田中氏が挑戦し続けるインジェクション・チューンのレポートをお届けしたいと考えている。独自の視点で開発されるパーツは従来のスタイルとは一線を画し、MEMSのチューンアップの新説として着目されている。まずその第一弾としてピックアップするのは『ピストン』である。

新説、MEMSのチューンアップ

 「一所懸命に走っている可愛らしい姿は、誰もが受け入れてくれる。そして、自分でいじれる範囲がとにかく広い」とミニの魅力を語る。ストック・ヴィンテージを率いる田中 弘氏は独自のメソッドで“愉しむためのインジェクションチューニング”を追い求めている。

 「あまりお金のかかる改造はしたくなかった。最大限ノーマルコンピュータを活かすこと、MEMSを使用する前提のチューンアップがテーマになった。同時にトラブルを回避するために加工もなるべく少なく納め、バランスを常に考えた」と田中氏は話す。そうして導き出した解は、従来のスタイルとは一線の画するユニークなメソッドとして注目されている。

 ここに掲載した写真をひと目見て分かるだろう。その形状は実に独創的で、当該フォルムを選んだことは容易に理解できるが、今まで遭遇したことのない独自性を発揮しているのである。開発の切っ掛けはオーバーサイズピストンに納得できる製品がなかったことと優秀なピストンリングを使いたかったことだという。

「現在、ピストンリングのリプレイスパーツがかなり厳しい状況になっている。とくに、楕円に摩耗してしまったシリンダには馴染まなくなっている。フリクションが大きく、ブローバイの排出が多くなってしまうので、どうしても純正に替わるピストンが欲しかった。シリンダブロックをボーリングすることを前提に、日本製ピストンリング在りきで設計したものだ」と話す。結果、製品スペックは排気量1287㏄、+20(71・0㎜)のオーバーホールサイズだ。重量は純正比で33gの軽減とした。そしてもっともユニークなポイントは燃焼室形状にあわせたピストントップ形状である。

 通常はピストントップをディッシュ加工することで圧縮比をコントロールしている。ヘッド側の燃焼室容積が概ね21㏄、ガスケット容量が4㏄程度。ノーマルの設定で考えると34〜5㏄程度の燃焼室容積が必要になるので、ピストントップで9〜10㏄の体積を確保しなければならない。先にもいったように多くの製品はディッシュ形状にしているけれども燃焼室形状やスキッシュエリアを考えると、火炎伝播の効率や未燃焼ガスの残留などマイナス面は多い。理想は球形の燃焼室で中心で点火することだが、それは不可能。いかに理想型に近づけるかが目標になった。その結論が燃焼室と対象に削り込んだハート型のピストントップ。スキッシュエリアの形状が揃うことで、タンブル流の効果を高めたり未燃焼ガスを減らすことにも役立っているのだろうと察する。

 実際に装着した印象はかなり高評価だという。インジェクションのチューンアップの場合、MEMSのプログラムは変更できないので、吸入空気量が増大する分の燃料増加は空燃比計の数値を確認しながら燃圧を上げて調整することになる。ところが、当該ピストンを装着すると1380㏄にボアアップしたエンジンと同様の燃圧にしないとミクスチャが整わないことがわかった。それほどに充填効率、燃焼効率が向上しているわけである。もともと充填効率が低いミニのエンジンがこのピストンを使うことで近代のエンジンに近づいてきた、ということができる。

 当初の目的だったピストンリングはなるべく張力が小さく、それでも気密性や耐久性の高いものが望ましい。そこで採用したのはNPR製でトップリングが1・0㎜、セカンドリングが1・2㎜、オイルリングが2・4㎜の設定。ノーマルがそれぞれ1・5㎜、1・5㎜、3㎜なので、相当に摺動抵抗は低減しているはずだ。

 併せてスカート部分にオートフィットコートを採用した。その名の通り、エンジンにとって最良のクリアランスを生むテクノロジーである。このコーティングを施したピストンのクリアランスは実に5/1000に指定されている。しかもピストンの材質は2000番台の高密度鍛造材料で、硬いけれども膨張率も大きいもの。当初は懐疑的な要素もあったが、実際に検証すると想像を超える好結果が得られているという。クリアランスを小さく抑えられるということは、首振りがなく気密性を保つことにつながる。ピストンにもシリンダにも優しい部品となり、与る恩恵は大きい秀逸な製品になるのである。

 コンピュータ制御のマシンでも、機械的な効率を高めることで、より進化したパッケージとすることができる。続く連載でさらに多様なオリジナル・メソッドを紹介したいと思う。

燃焼室の形状と対象形を成すことが分かると思う。燃焼室形状が均質化することはノッキング対策にも有益と思われる。圧縮比の設定にも幅が出るのか…
オリジナルピストンに併せて用意したコネクティングロッド。切削による軽量加工が施されている。軽量化や重量平衡のメリットはもとより、表面の粗度を上げると応力集中による破損を防ぐことにも繋がる。
ストックヴィンテージ
http://stock-v.net/about.html

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