レストレーションとマルヤマ・クラシケの違い その1
「新車並み」「新車同様」「新車以上」など、車両のコンディションが超極上であることを表現する用語はいろいろありますが、もちろん厳密な意味で新車状態になることは絶対にありません!
それも当然ですよね。特にローバーに関しては、ローバーっていう会社自体が存在していないんですから、当時のローバー純正パーツを使ってミニを組み上げること自体ができませんし、新車と同じようにメーカーで仕上げること自体、まず不可能なわけです。
もちろんフェラーリとかランボルギーニとかアストンマーチンとかヨーロッパの自動車メーカーが行なっているクラシックカーレストレーションプログラムでも、厳密には新車を新車を作り出すことはできません。
ただし屁理屈的に言ってしまうと、「新車以上」のコンディションに仕上げるっていうのはあり得ますね。
現在発売中の『ストミニ Vol.52』の「ミニ60年史を彩った男 丸山和夫」のマルヤマ・クラシケの手法がその一例です。
ミニマルヤマの丸山さんは、レストレーションとミニマルヤマで販売される「新車以上」のユーズドミはまったく違うもの、と言っています。人によっては「そんなの宣伝文句だろ」なんて斜めに見る人もいるでしょうけど、説明を聞けばなるほどなんです。
レストレーションっていうのは、当時の新車にできるだけ近づけた状態で再生する手段ですから、当時の部品を使ったり、当時の基準値で組み付けをしたり、へたった性能面を当時の新車時のレベルまで引き上げることを目的にやっていきます。
どんなに丁寧にやったかの表現を挙げれば、ボルト&ナットレストレーションとかフレームアップレストレーションになりますが、厳密な意味での100%フルオリジナルっていうのは無理としても、1000万円くらいかければ、数万点のパーツで構成されている車両全体の80%オリジナルくらいは可能だと思われます。
これも屁理屈を言えばいろいろと理由があるんですが、わかりやすいところでは、ボディ塗料の成分も塗り方も違う、タイヤの性能も違う、ボルト&ナットの材質や形状が同じにできない、とかいくらでもありますから、厳密な意味での新車にはなりません。
ちょっと話は逸れてしまいますが、ローバーミニのフルレストア車、新車並みのコンディションの車両がたいてい300万円までで手に入るローバーミニは恵まれていますよね!ほんとローバーミニ専門店のコストダウンの企業努力はもうぶっちぎり素晴らしいです。
だって、ほかの車種、例えば国産のサニーとかカローラとか価値があるとは言えない車両であっても、ローバーミニの新車同様レベルに仕上げたら、総費用800万円とかとか平気でかかるって言われますよ。
編集Nも、過去に何度もクラシックカー専門店に「フレームアップレスト」したらいくらかかる? と聞いてみたところ、たいていそんな返答でした。
それじゃあ、「新車以上」ってなんなのさ、そういうのにすると800万円とかかかっちゃうの? とか、マルヤマ・クラシケ的な「新車以上」ってどんな感じなのさ? っていう疑問については、次回で書いてみたいと思います。
編集N
自動車雑誌編集者歴30年の、カメラマン・ライター・英語翻訳・動画撮影・動画編集、そして雑誌企画制作もこなすハイパーマルチメディアクリエーター。プライベートではミニメイフェアと30プリウス、フェラーリなどを所有。
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