ガンガン効くエアコンやパワーウインドウ、リモコンドアロック、バックカメラ、ドラレコ……、こうした現代の快適な装備に慣れ親しんだ人にとって、こうした装備はなくてはならないもの。
しかし、旧車オーナーにとっては、こうした快適装備はガマンガマンと諦めている人が多いのではないだろうか? ここで考えた。本当に旧車オーナーはこうした快適な装備は諦めるしかないのか、後付けで愛車に付かないのか?
そこで、S30Z型240ZGのオーナーでもあるモータージャーナリストの岩尾信哉氏が、愛車にこうした快適装備を付けることができるのか、主だった製品をチェックした。
文/岩尾信哉
写真/岩尾信哉 STARROAD クロフネ・ショップ CEP
【画像ギャラリー】旧車オーナーにおすすめ! 後付けで装着できる便利なカー用品をチェック!!
旧車にクーラーを付けたい!
まずは筆者が所有しているS30フェアレディZを例として、後付けパーツとしては大物のクーラー(どうしても“エアコン”と口走ってしまうのはなぜ?)から、手に入られる製品を調べてみた。
旧車に後付けクーラーを付けたいと考えるのなら、基本的にコンプレッサー、コンデンサー、エバポレーターなどの部品を組み合わせ、平成6(2004)年以前のR12フロン冷媒対応製品をR134aにコンバートする必要があるなどひと筋縄ではいかない。
補機用12Vバッテリーへの負荷を考慮しつつ、取り付け作業についてもDIYに慣れた“手練れ”でもそう簡単ではないはずで、あくまで専門店での作業が必要になる。
さらに後付けキットといってもその内容は千差万別、リビルド品から中古品、新品の輸入品まで、加工を含めて装着できるのかを確認しなければならない。
専門ショップのクーラーキット
調べを進めていくと、米国からの輸入品キットも含めてクーラーキットは、助手席ダッシュボード吊り下げ式が基本、価格は5万円程度のようだ。
基本は汎用(といっても旧車が対象)製品だが、対応車種として名前が挙がるのは、日本車では日産のハコスカ、ケンメリや初代Z、トヨタの初代セリカといったモデル。キット製品の多くの輸入先である米国のモデルなどが出てくる。
加えて、空冷エンジン車のポルシェ911ならシボレー・コルベアなどでは電動コンプレッサーを使用する“電動クーラー(ヒーター)”も後付け装備として扱われている。
とっかかりとして、ハコスカ、ケンメリ、S30Zを取り扱う、東京都江戸川区にある「STAR ROAD」に話を訊いた。同社が電装品を扱う部品業者にキットとして販売していることからも、広く信頼を得ていることが窺えたからだ。
たとえば、楽天市場でも販売されている、STAR ROADの「クーラーボルトオンキット」は、リビルド品未使用を謳い、配管ジョイント部にOリングタイプを採用するなど品質の配慮が見られ、コンデンサー部品を独自に発注するなど、精度が要求される部品には日本製を採用(他の部品では輸入品を含む)する。
こんなこだわりのためか、価格は21万円(税別、クランクプリーキットは別売:1万8200円)と、後述する輸入キットに比べ高めになってしまうのは致し方ないだろう。取り扱うショップによっても販売価格が変わる場合があるので確認してほしい。
次にあたったのは、自動車部品通販を取り扱うクロフネ・ショップが販売する旧車用「汎用クーラー/エアコンキット」、正確にはダッシュボードに吊り下げる方式の汎用クーラーキットだ。
輸入品とのことで、取り扱い説明書が付属しないというのはショップでの対応を前提にしているといえる。楽天の商品ページでは丁寧に写真にサイズ説明を加えて紹介しているのは、そういった理由もあるのだろう。価格は6万1000円(税別)とされている。
パワーウインドウキットを後付けしたい!
日々旧車と付き合いたいオーナーが取り付けたいと思う、もうひとつの装備は、パワーウインドウではないだろうか。
レギュレーターは頻繁に使わないとはいえ、高速の料金所での支払い(ETCを装備していれば問題ないが)や、ちょっとした換気など面倒に思えることもある。調べてみると、どうやら汎用品として旧車はもとより、軽トラックや商用バン(助手席側)を中心として、後付けできるような製品が多いようだ。
こんな事情からか、通販サイトを覗くと、価格は2000~8000円でフルキットで入手可能で、旧いタイプの米国製ピックアップやSUV用のキットは1万円前後で手に入る。ご想像のとおり輸入キットでは部品単体は中国製が多く見られるが、作業コストが加わることを考えれば、ビジネスとして割安感が必要なのだろう。
多くの後付け製品を手がけているコムエンタープライズ(CEP:兵庫県姫路市)のHPを見ると、「2ドア汎用パワーウインドウキット(12V)」が見つかった。汎用品として、ほとんどの車種をカバーできるとしている。
モーターのサイズは全長が約60cm、厚みが約4cmなどとなり、内張とドアとの間にスペースが必要なのでサイズの確認が必要だ。スイッチやハーネスなどを含むキット価格は定価1万1022円(インターネット価格は税別で9360円)となる。
汎用の後付けリモコンキーも要チェック
少し新しい世代のモデルで便利に覚える製品を紹介しておくと、前述のCEPではリモコンキーに対応する汎用のキーレスエントリーキット「ロックマン」も扱っている。
フルキットとして受信機やリモコンや専用ハーネスを用意する。取り付ける際には、対象車両が集中ドアロックを備えているかどうかも要チェック項目となる。アンサーバック機能もオプションとして用意している。価格は定価5544円(同:4380円)とされ、デザインなど詳細については同社サイトをチェックしてみてほしい。
旧車に最新オーディオ/ナビを付けるには
旧車オーナーであれば誰もが考えるのは、より新しいオーディオ/ナビの装着だろう。助手席前のグローブボックスに吊り下げる方式が基本となり、できればダッシュボード周りの雰囲気を変えることなく取り付けたいが、これもなかなか簡単にはいかない。
1980年代以降の1DINサイズしか取り付けられない旧車や輸入車に乗るオーナーにとって、今では見当たらないインダッシュ・ナビなどは、メーカーが生産を中止しているため、現在ではハイエンドモデルの中古品が高額で取り引きされているようだ。
旧車のオーディオは、インストルメントパネルとステレオ(!)のデザインが一体化している場合も多く、社外オーディオを取り付けるには、インパネを加工しなければビルトインできない。
助手席のセンターコンソール脇などにも取り付けられるが、ナビを取り付けるとなると、リモコン操作ができてもモニターをどう据え付けるかなどの悩みも出てくる。
それでも音質などを考えて最新のオーディオを装着したくても、ノスタルジックな純正ステレオも捨てがたいところ。これを両立させるには、純正ラジオをそのまま利用して、MP3形式の音楽を再生可能な製品を装着することも考えたい。
シガーソケット(昔は熱線式ライターが付属していたから“シガー”の呼び名が残っている)やアクセサリー電源から電力を採り入れる。
シガーソケット(旧車では状態がよいことが必須だが)に差し込むだけで、フラッシュメモリーに入れたMP3形式の音楽をFMで飛ばして、純正ラジオで受信して再生するという選択肢もある。オリジナル品を残しつつ、現代的な利便性を求めるのには有効といえる。
カーナビも事情は同様で、グローブボックス下に吊り下げる装着方法が基本となる。シガーソケットとして電源として、車速センサーなどの取り付けを実施しなくてもGPS機能を利用して機能する製品もあるので、商品選びについてはどこまで自車位置の精度を求めるのかにもよるはずだ。
ドライブレコーダー/リアバックカメラ
簡単にシガーソケットから電源を採り入れられ、安全装備として有効なのがドライブレコーダーだろう。
ドラレコは急速に進化していて、車両前後にカメラを搭載して“あおり運転”に対応、室内の映像を広角カメラでカバーする機種なども販売されているから、新車/旧車を問わず、装着を考えてみるべきかもしれない。ちなみに、画角の調整を含めて、カーショップに面倒をみてもらったほうがよいだろう。
また旧車ではETCキットを取り付けるような場合は、電源の取り方は慎重に。信号を安定して受信できるように配慮する必要があるからだ。
旧車に装着可能な機能部品を探すのにはそれなりに手間取ったが、見つかった製品は業販品に近いとはいえ見どころがあるものもあった。あとはどれだけ後付けゆえの苦労をいとわないかというメンタルの問題にかかってくるはず。
オリジナルにこだわるか、利便性を追い求めるかは、旧車と付き合うオーナーにとっては悩ましくもあり、愉しくもあるテーマなのだ。
【画像ギャラリー】旧車オーナーにおすすめ! 後付けで装着できる便利なカー用品をチェック!!
投稿 旧車オーナーの悩み一発解消! 快適装備の後付けは可能か!? は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。