キャブにしたい…
インジェクションモデルをキャブレータに換装して愉しんでいるオーナーはいる。そのためのメソッドもさまざまに開拓されていて、イリガールな行為になることもないのだ。その最新情報である。
インジェクション装着車をキャブレータ仕様に変更することは可能なのである。この項目ではそのための情報を紹介したいと考える。細かい事例を紹介することは叶わないが、キャブレータにそこはかとない魅力を感じてしまった諸兄は、ぜひとも参考にしていただきたい。
エンジンへの燃料供給の方式を変更すること自体は法に抵触する行為ではない。さまざまな規制が緩和されて以降、厳密にストックの状態が求められているわけではないのである。ところが、問題として浮上するのが排出ガスのコンディションだ。つまり、現代の求められる水準に排ガスの値が収まっていれば、システムを変更してキャブレータを装着することができるのである。
そこで、埼玉に活動の拠点を持つミニーブリティッシュカーズの関氏が、独自にキャブレータに変換した車輌を製作し、排ガス検査にクリアできることを証明した書類を用意したのである。この実績によって、キャブレータひとつを装着するシステムであれば、認可を受けることが可能になった。嬉しいことにこの書面は同条件であれば共有できるので、興味のある向きは、問い合わせてみてはいかがであろうか。
「’96年までのインジェクションモデルならば、シングルSUキャブレータのクーパー1・3を作るつもりで換装すればできますよ。ワイヤリングハーネスやディストリビュータ、フューエルポンプを用意して、キャブレータ、マニホールド、リンケージを装着すれば良いんです」と関氏は話す。同様に、キャブレータにウェーバーを選ぶことも可能だという。ウェーバーの場合、ツインバレルであってもキャブレータ本体の筐体はひとつとなるので、書類上は同等の扱いになるという。
「そういう条件になると、最終的にウェーバーを付けたい、というオーナーの方が多いですね。やはり、チューンアップの要素が大きいですから」という。
京都のマイティドッグでもそういったユーザーの希望に応えるようにしているという。店長の弘部氏は「ずいぶん長くFCRを扱ってきたので、キャブレータに変えたいオーナーには勧めますよ。シングルで使ってもSUとは違ったフィーリングで楽しめますから。評判は良いんです」と話す。
いずれにしてもキャブレータに換装することは可能。一歩踏み出してみたい諸兄は相談してみてはいかがであろうか。
ミニー関氏に用意してもらったウェーバー換装のためのアイテムである。対象のインジェクション車は生産年が’96年までのモデルになる。点火方式が異なる’97年モデルについては、換装する点火システムを開発中とのことなので、続くページを参照していただきたいと思う。で、上段に並ぶのが左からクーパー1.3のワイヤリングハーネス一式。その右がクーパーに使われるディストリビュータ。フルトランジスタタイプなので、イグナイタ内臓だ。下側がフューエルポンプ。インジェクション車とは燃料圧力が異なるので、専用のフューエルポンプを装着するのがベストである。その左がインテークマニホールド。バルクヘッドを加工しないで装着するにはスワンネックと呼ばれるオフセットできるタイプを選ぶ。そして、キャブレータはウェーバーのDCOE45φである。ベンチュリ径やセッティングパーツはじっくりと愉しんで…
弘部氏はもともとオートバイも愉しむ人なので、FCRには馴染みがあるという。コンパクトで可変ベンチュリでありながらバレルが全開でき、加速ポンプのパンチも魅力になる。なにより、国産で安価なことが嬉しい。取材時はツインキャブのシステムを拝見したが、37φのシングルがオススメだと話していた。充分なトルクを得ることができるし、高回転域の走行は存分に楽しめる。燃費が良くなる人もいるそうだ
ミニーの代表、関氏。モータースポーツが好きで、その気持ちががインジェクション車のキャブレータ化の原動力になっているともいえそうだ。「これまでにもいろいろな方法で行われているとは思いますが、いちばん確実に愉しむ方法はキャブ・クーパーにしてしまうことなんです」と、ほぼパッケージプランのようにキャブレータ化に取り組んでいる。もちろん、さまざまなケースを扱っていて、ユーザーの希望に応えたモディファイを行ってきた。その解答のひとつとして、今回はウェーバー装着のメソッドを紹介してくれた。右の写真は’97年式の車輌にダイレクトイグニッションを装着してキャブレータ化したもの。下段がHIF44を装着したクーパー1.3仕様の写真である。
Vol.4につづく…
[協力]MINI DELTA
http://www.mini-delta.co.jp