STREET MINI プレイバックストミニ

クラシックミニ Capital#3|時間の流れを遡ったような姿に惹かれる vol.1

完成のビジョンを描いてレストレーションを施す

13年間、少しずつコツコツと作業を進め、当時の新品部品にリプレイスすることにとことんこだわったレストレーション。多くの人たちのパワーと想いに支えられて辿り着いた今がある。今ならまだ当時に立ち返ることができると言外に語っているような佇まいは圧巻である。

Capital#3

焦らず、じっくりと構えることが肝要

 本記事はレストレーションの完成報告である。すでに生産の終了したミニ・クラシックは新車で購入することは叶わない。しかも、2019年はミニ生誕60周年、日本的にいえば“還暦祝い”である。初期に生産された車輌の齢は半世紀を超えるものがあるということだ。率直に往時の個体自体が残っていることさえ希有な状況だといえる。返せば、巡り会ったクルマに残ってもらいたいと思うならば、お金も時間も、もちろん並々ならない情熱も費やさなければならない。ミニは、充分にクラシックカーの仲間入りを果たしているのである。今回は、そんなホットな想いを纏ったクルマを紹介してみたい。

 現車は『1965年式、オースチン・ミニ・クーパーS』である。オールドイングリッシュホワイトのボディにブラックのルーフ。内装はタータンレッドにゴールドブロケイド・グレーのコンビネーション。ミニの初期にラインアップされていた、いかにも英国車らしい配色のカラースキームを忠実に再現している。

スポーティな走行シーンを彷彿させるリアスタビライザーが装着され、リアエプロンから覗く。’65年までのSマフラーはプレス、いわゆる“ギョウザ”ではないのだが、新品の入手は困難で類似した製品を使用した。
ドアハンドルのセイフティボスを装着するか否かはいちばん迷ったところだと話す。ミニディにてキャピタル1号車のオーナーと知り合うことができ、取り付けられているのを見て決心した。
フューエルキャップは新品。タンクネックラバーはユーズド品。新品は今も物色中である。
1965年モデルにしか装備されていないもの、イタリアンジョブで並べて駐めるのが楽しみだという。



 往時、東京でオースチンブランドのミニを取り扱っていた『キャピタル企業』が販売した車輌。昭和40(1965)年に登録され、車台番号が12AC0003Cと記されている。

 キャピタル企業は’63年に創業した輸入車ディーラー、日産自動車の系列であることからオースチン・ブランドを取り扱いした。’64年に鈴鹿サーキットで開催された日本グランプリでキャピタル企業がサポートした早坂クーパーが、後世に語り継がれるほどの検討を見せたことから、モータースポーツ色が強く植え付けられてしまったといった経緯がある。もちろん、会社もユーザーたちもその風情を楽しんでいたのは間違いない。

vol.2 へ続く…

プラザNYH
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