キャブクーパーベースのジョンクーパーミニ、1300Sが登場。クーパー”S”の名がローバー公認で復活する!
‘90年7月には、限定車としてローバーからミニクーパー1.3(通称キャブクーパー)が発売されるが(日本では’90年11月発売)、この限定キャブクーパーは、特に日本においては発売当日に限定650台を完売するという凄まじい人気ぶりを披露。そのためローバーでは、通常のカタログモデルとしてキャブクーパーを’90年9月(日本では’91年1月)にラインナップに加えた。
このローバーのキャブクーパー日本仕様とほぼ同時期にデビューしたのが、ジョン クーパー・ミニ・クーパー1300Sだ(車名はジョン クーパーミニのオフィシャルメディアであるカーマガジンでの表記)。
1300Sのすごいところは、なんといってもローバーのお墨付きを得て、クーパー”S”の名前を復活させたところであり、スペック的な面でも、ミニ・クーパー’87&’88で実績のあるパワーアップキットを組み込むことで、ローバー・キャブクーパーの最高出力61ps/5550rpmというデータから、80bhp(約82ps)/6000rpmへとパワーアップされたところだ。車重はローバー・キャブクーパーと1300Sではともに690kgだったから、+20ps以上のパワーアップは、劇的な加速力の差と最高速度の差になって現れた。
このジョン クーパー・ミニ・クーパー1300S(キャブレターモデル)は、限定車をベースにほんのわずかな台数が作られ、その後、カタログモデルのキャブクーパーをベースにわずかな台数が作られた。
わずかな、と表現したのは、キャブクーパーの生産期間自体、1年しかなく、それほど台数が作られなかったからだ。
なお、ミニ・クーパー’87&’88は、ローバージャパン公認のモデルであり、日本への正規ディーラー車がベースとなっていたが、ジョンクーパー・ミニ・クーパー1300Sからは、本国ローバー公認のモデルとなったため、車検証上の車名も「ローバー」ではなく「ジョンクーパーミニ」となっていた。つまり日本の法律上では、ジョンクーパーミニは、BMWのアルピナ、フィアットのアバルトのような、自動車メーカーのクルマとして扱われることになったのだ。
一方、スタンダードクーパーたるジョン クーパー・ミニ1000も1000ccエンジン車が廃盤になるまで生産された。
JOHN COOPER MINI COOPER 1300S 主要諸元
ボディ
全長×全幅×全高:3100×1440×1335mm
ホイールベース:2035mm
トレッド:1235/1200mm
車両重量:690kg
エンジン
ボア×ストローク:70.6×81.3mm
総排気量:1271cc
圧縮比:10.2:1
キャブレター:SU HS 2×2
最高出力:82PS/6000rpm
トランスミッション
型式:4段MT
変速比;1速3.647/2速2.185/3速1.425/4速1.000
最終減速比:3.015
サスペンション
型式:F ウィッシュボーン/ラバーコーン
R:トレーリングアーム/ラバーコーン
ブレーキ
F ディスク
R ドラム
ホイール&タイヤ
F 4.5B×12 & 145/70SR12
R 4.5B×12&145/70SR12
価格
車両本体価格:240万円
編集N
自動車雑誌編集者歴30年の、カメラマン・ライター・英語翻訳・動画撮影・動画編集、そして雑誌企画制作もこなすハイパーマルチメディアクリエーター。プライベートではミニメイフェアと30プリウス、フェラーリなどを所有。
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