「間違った」っていう表現は、説明する側からも単純な内容ではありません。誤解も生じやすいし。
チューニングってことが、かなり一般性を欠く行為ってことは認識しています。
ざっくり言うと、燃料をより多くする方法、シリンダーの容積増加、燃焼室の容量とバルブの大きさ、そしてポートの大きさや形状の変更、これだけあります。
この中で、ほんの一部だけを変えて大きな変化を得るのは難しい課題です。
ミニも昔から案外スポーティーっていうイメージがあるので、だから車高をさげてマフラー替えるわけでしょ?太いタイヤを履かせて。それが近年濡れ落ち葉みたいな人が中古車買ったまま(ノーマル)、やっぱりオリジナル(ただMK1仕様にしただけ)の草食系オーナーが増えたことに因るんですが、「男は黙ってチューニング!」ってタイプの人が減ったのは事実です。
さて、続きを。
何処からお話すれば良いか迷って、一日空いたんですが、トルクと馬力のお話をしておけば答えは皆さん自身が導き出してくれると思ってお話します。
これは有名なチューニングメーカーが出してるものです。
きれいなカーブを描いていて、特に黒線の5000rpmまでのフラットなトルクはカム交換前と比べれば誰でも変化を感じる事が出来るセッティングになっています。
赤線のカーブは最高出力は出てますがトルクカーブは若干早く下がり始めています。
SW5ともう少しチューニング度の上がったSW8というロードカムのデーターなんですが、よく見ると排気量は1380cc で
twin 1.5 SU carburetors, 1.5 ratio rockers 、35.7X29.5 バルブでの数値です。圧縮比はわかりません。皆さんのレベルからだとフルコース会席料理みたいなレベル。
残念ながら、いま取り上げているビックスロットルとハイリフトロッカーはこのデーターにおいても脇役、料理でいう塩コショウ少々みたいな位置づけなので、ほぼ無関係です。
私が皆さんに申し上げたいのは、こういった結果と部品交換は結びつかないという事です。残念ですがもう少し踏み込んだ改造が必要です。
トルクと馬力に関係について一つ覚えておいてほしいのは、バルブのリフトが大きく、長く開くカムに関しては、トルクカーブはそうでないカムに対して早く下がり始める事です。言いたかった事はこの一文に集約されます。
幸いにしてローバーはミニのエンジンに対してあまり熱心に改善を行なわないまま終焉を迎えたので、この古くて重くて基本設計の古いエンジンはツッコミどころ一杯の、逆に言うと好みに合わせて改造が出来る余地があり、エンジンらしい、つまりモーターではない生き物のようなフィーリングを出すことが出来ます。
Vツインエンジンが性能よりフィーリングを好まれ、より洗練された日本製より設計の古いハーレーが好まれることとよく似ています。
シリンダーヘッドの加工はいろいろな段階があるので、既に始動時に軽い白煙のあるエンジンは、ヘッドとヘッド以降の詰まりをきれいに掃除する必要があります。触媒は詰まり気味で、それ以外のパイプ内部にもカーボンが広く付着しています。
排気バルブ~シリンダーポートはカーボンで狭い経路がさらに狭くなり排気の悪さが吸気まで影響してるはずです。
何事もやりすぎると耐久性を失うのは当たり前のことで、日本のミニ関係者が海外のチューニングメーカーを持ち上げて彼らのパーツやコンプリートエンジンを売るのは自由ですが、作ってる側は1~2レース持てば問題ないくらいに思って作っているので、その辺の意識のずれについては心しておく必要があります。
ミニのエンジンで排気量を大きくして、アイドリングを低く抑えられたら、全く違う良さがきっと感じられると思いますよ。停車中のエンジン音も魅力ですからね。