ストミニVol.50で明かされた「ジョン クーパー ミニ1300Rの存在」についての考察。
ここ1年ちょっと、2か月に1度、ミニマルヤマで丸山和夫さんのお話を聞き、ミニマルヤマに展示されているミニクーパーを見たり、自宅で保管している’80~’90年代の自動車雑誌に載っているミニマルヤマの広告をチェックして見たりすると、ジョン クーパー ミニの今まで知られていなかった事実やエピソードなどがたくさん出てきました。
で、現在発売中のVol.50「ミニ60年史を彩った男 丸山和夫」では、ジョン クーパー ミニには1300Rというジャックナイトのツインカムヘッドと5速ミッションが搭載された1300Sciのエボリューションモデルが試作された、なんて秘話に触れましたが、中には「そんなの眉唾。言ったもん勝ち」みたいに思っている人もいるとは思います。
でも1300Rが1台だけ試作された、という証拠と言ってもいいモデルが、ジョン クーパー ミニには存在します。それがVol.48「ミニ60年史を彩った男 丸山和夫」の中で紹介したジョン クーパー ミニのジョンローズコンプリート車両です。
先日、イギリスのクーパー専門サイトを調べていたら、ローバー ミニ クーパーの特別仕様車の変遷のヒストリーがあって、その中にジョン クーパー ミニにはジャックナイトの5速MTを搭載した限定車があった、という記述を発見しました。
それについて丸山和夫さんに聞いてみたら、「このショールームにあるジョンローズがジャックナイトの5速MTが載っている限定車です。最終型のミニクーパーはBSCCが世界的に大人気だったこともあって、日本仕様のジョン クーパー ミニにはミニクーパー自体の割り当てがなかった。一方、イギリスのジョンクーパーガレージでは25台が確保できたために限定車を作り、オプションとしてジャックナイトの5速MTを載せたのです。このジョンローズのダッシュボードには限定車であることを示す「9/25」というシリアルプレートが付けられています」。
ということでその証拠を写真に収めてきました。おそらく相当なミニクーパーフリークでも知らないであろうイギリス仕様のジョン クーパー ミニの限定車の存在とシリアルナンバーが刻印されたプレートです。
さらに驚くべき新事実。この限定車には、1271ccエンジンではなく、クランクシャフトとコンロッドがチェンジされて1407ccに排気量がアップされたエンジンが搭載されていました! その最高出力はなんと100bhpに到達したとのこと。
ジョン・クーパーは、他社(ジャックナイト)のツインカムヘッドを使うのではなく、ジョン・クーパー自身による排気量アップの手法で「事実上の1300R」を作り上げた、というわけです。その排気量を示すエンブレム「1407」が、ジョンローズの限定車(日本には2台のみ)には付けられています。
さて、ジョン クーパー ミニの基礎知識は今回で最終回のつもりでしたが、いろんな事実やエピソードが出てきたので、これからも不定期で書いていきたいと思っています。
また12月21日発売のVol.51の「ミニ60年史を彩った男 丸山和夫」も面白い記事になりますのでお見逃しなく。皆さんの大好きな「ミニスプリント」について、ヒストリーや真実の部分を話してもらいました。ちなみに丸山和夫さんは「世界で一番最初に作られたミニスプリント」を所有しています。
編集N
自動車雑誌編集者歴30年の、カメラマン・ライター・英語翻訳・動画撮影・動画編集、そして雑誌企画制作もこなすハイパーマルチメディアクリエーター。プライベートではミニメイフェアと30プリウス、フェラーリなどを所有。
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