曽根です。

IKD様から修理のご依頼のお電話いただきました。。。

『去年の8月から乗ってるMINIなんだけどバックに入れてアクセル踏んでも動かなかったりにエンジン止まっちゃったりするんです・・ それに買ってからまだオイル交換してないんでお願いします』

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エンジン不調で走って来るのは不安なので任意保険の無料ロードサービスでレッカー入庫していただきました

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横浜から私が運んできました(^^♪

頼りになります・・任意保険のロードサービス

しかも損保ジャパンの☆故障運搬時車両損害特約付きで

キャメルオートでお奨めしてる保険です

☆走行不能でレッカー入庫した場合、その故障の修理代が出る特約です。。

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オールドイングリッシュホワイトのきれいなメイフェアです。。。

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内張りや天張りなど内装もきれいですね。。

ウッドパネルにヒビが入ってないのは珍しいくらいGOOD

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ステアリングに擦れもほとんどなく、表面的な素性はたいへんイイです。。

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86682kmのオドメーターはおそらく実走行に思えます。

IKDさんは去年の8月に購入されてから約1500㎞ほど走行されてるようですね。

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しかしエンジンルームは あまり手が行き届いてない印象。。

エンジンは掛かりますがアイドル回転は高く、レスポンスも良くなく・・不調です。

オートマのチェックする前にエンジンの不調の原因を探します。。

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オイルはロアレベルですが規定量には入ってますね。。

オイルの銘柄や粘度はわかりませんが、変色具合から鉱物油ではないかと思います。

オートマは鉱物油は良いのですが固すぎるのはイケません。。。

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水は・・・?    茶色いです。。

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500ccほど入りました。。

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10年くらいは水は入れ替えられてないと思います。

水路洗浄は必須ですが、このくらい汚れてると異物で漏れが止まってるケースがあります。

洗浄後に水漏れが始まることも覚悟してでも洗浄が必要です。

お奨めは、漏れてくる可能性のあるウォーターポンプやラジエターは洗浄後に交換することです。

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ヒータージョイントパイプは純正の樹脂製のままです。

20年経過して樹脂は脆くなってるので、代替えのステンレス製へ交換お奨めします

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ブレーキフルードは減ってます。。

本来はブレーキパッドやライニングがすり減った分だけブレーキフルードの油面が下がるのですが

去年8月の車検では点検しているはずの項目ですから、それから1500㎞しか走行してないのでパッドが減ったとは考えられません。。

おそらくどこかから漏れてるのではないかと思われます。

このタンクが空っぽになった瞬間にブレーキが抜けます。。 命にかかわります。

ミニモニでECUの中のデータを見ながらエンジンの状態をチェックします

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いきなりフォルト連発です。。。  まぁ予想の範疇です。。

水温センサーフォルト。。

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クランク角センサーフォルト

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バキュームのMAPセンサーフォルト

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スロットルポジションセンサー フォルト

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過去に部品交換した際にリセットされてないとフォルトは自動では消えないので

一旦、フォルトはリセットして 再発したフォルトを精査することにします。

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フォルトを消した後、エンジン稼働中のライブデータを読もうとしたのですが

ミニモニとの通信がうまくいかずコロコロと画面は変わって、さらに本来ミニモニには無いエラーコードが出てきたり。。。

ECU本体、集合配線のハーネスのどこかに接触不良があるのかもしれません。

MINIのECUのライブデータは他に、ミニモニmini や ECUフルリセットができる『イエロードクター』 でも読むことができます。

IKDさんのMINIはこれらでは通信できるので根本的にECUが故障というわけではないと思いますが、他のMINIでは問題なく読めるのにこのMINIだけが読めない・・・ということは何らかの問題を抱えている可能性があるとも考えられます。

ミニモニminiでチェックします。。

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水温は規定の88℃に近いところまで上がってます。

この数値が正しいかは水路洗浄で行うスリーチェックで精査します

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本来850回転のはずのアイドリングは1200回転以上です。。

ステッパーモーター不良や、2次エアーの混入などが考えられます。

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850回転時の標準MAPが33kpaです。

アイドル回転が上がるとMAP値はもっと下がるはずなので1200回転で33Kpaは高いです。。

2次エアー吸ってる可能性があります

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吸気温49℃は妥当なとこです

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燃調補正  規定値内ではありますがちょっと濃いから▲6%薄くしてる状況です。

燃調には先ほどのMAP値が大きく影響するので関係あるかもです。。

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スロポジ電圧  規定値内です

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電圧は優秀ですね。。。

さてさて、MAPセンサーが2次エアーを吸ってる可能性のある場所は

まずはスロットルボディの後ろ側のホースジョイント部です

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エアクリーナーを外しただけで赤いバキュームホースが切れてるのを発見

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スロットルボディ側のパイプも切れてました。。。

バキュームホースもしばらく交換されてなかったようですね。。。

エンジン不調でアイドリングが高かった原因のひとつはバキュームホースの破損で間違いないですね。。。

ここで本日は時間切れ  続きは明日。。。

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と、ここまでは一昨日(5/9) のご報告です

5月10日追記

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結局、黒いショートホースもダメでした。。。

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黒ロングだけを残して明らかにエア漏れしてる3本のバキュームパイプを交換

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ECUにガソリンが行かない為のフュエルトラップ(気液分離箱)は先端の斜めカットされてなかったので

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コマネチカットしておきました。。。

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ついでにエアクリーナー覗いたら・・・  これはもう交換時期ですね。

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バキュームホース交換したらアイドリング回転も正常になりました

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標準の33Kpaよりかなり低い28Kpa。。 2次エア混入は解決した模様。。

ただタペット音がかなりガチャガチャうるさいのでタペットクリアランスが大きすぎるのが原因でMAP値が低くなってるのだと思われます。

タペットクリアランスを0.35㎜に合わせればおそらくMAP値は33kpaあたりに収まるはずです。

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燃調補正も 今度は逆に 薄すぎるから5%濃くしろ~ と指令が出てますね。

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念の為にイエロードクターでECUフルリセットして工場出荷状態に戻します。

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MINIのECUには最強ツールです。。。

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おや? これマニュアル車用のECUですね・・

マニュアル車用でもエンジンは普通にかかって まぁ普通に走ることはできますが

オートマのECUにだけある『ギヤを入れた瞬間にアイドルアップする機能』 がないので不調気味のエンジンだとギヤを入れた時にエンストすることがあります。。

バックに入れた時にエンジンが止まることがある・・・というのはコレが原因かと思います。

新車時から20年もたった今では、なぜ違うECUなのか・・は不明ですが、過去のECUトラブルで他のMINIから外したECUと交換したか・・、 ローバーが新車製造時に取り違えたっていうのもゼロではないかも。。

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画面を進ませてフルリセットメニューです。。

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オギャァ~ このECUが生まれた時までさかのぼりました。。。

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まだ精査する必要のあるセンサー類はありますがだいぶエンジンの調子は良くなりました

じゃ、試運転に行ってきます。。。

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ギヤを入れてからのタイムラグは長いですね。。。 シフトショックも大きいです。

タイムラグが長いのオートマ内部の油圧逃げでサーボピストンに油圧かかるまでに時間がかかる状態です

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停止状態で1速から発進して4速までの変速をチェック。。。

2→3速の変速が早く2速ホールドがうまくいってません。

2,3速のブレーキバンドに異常がありそうです

足回りからコトコトと振動を伴う異音もあります・・・後ほどリフトアップして足回りも点検しますね。

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途中で停車中にリバースのストールテスト行いました。。

リバースに入れブレーキを踏んだままアクセルを吹かしてリバースバンドがギヤドラムをしっかりホールドして1700回転位を保持できるかのチェック。

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ダメですね・・・・・ 完全にスリップしてます。

試運転の様子のビデオです。。。

2,3速、リバースに異常があることが分かったので ドレンボルトの鉄粉と

オートマに掛かる油圧を測って内部に何が起こっているのかを推測します

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別のドレンボルトを用意して あまりオイルが零れないようにエンジンから外したドレンボルトとサッと入れ替えます。

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早業!! 手に持ってるドレンボルトがエンジンから外したものです。。

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うーん・・。ちょっと鉄粉多めです。。。

オートマの摩耗粉は摩擦材と鉄粉が混じってるのでマッチ棒の先のような形になるのが特徴です。

2,3速、 リバースバンドが締め付けるドラムを削り始めてる可能性大かな・・・。

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次はオートマに掛かる油圧を測定します

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フィルターヘッドに油圧計を取り付けます。

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フロントガラスの外側からメーターを貼り付けて室内から見えるようにします。

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ニュートラル時の油圧は・・

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6.5㎏  温間油圧としては規定値内です

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前進 Dレンジで1速に入れます

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6.4㎏   規定油圧は5.3㎏以上なので油圧はOKです。

2,3速に入れても油圧はほぼ同じだったので 2,3速の滑りはブレーキバンドの摩擦材剥がれが原因でしょうか。

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リバースに入れます。

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針はゆらゆら揺れてましたが7.5㎏あたりです。

リバースの油圧は低すぎます。

規定値は8㎏以上ですが通常は11㎏以上出てこなくてはいけません。

リバースだけの油圧が低いのでリバースバンドのサーボピストンシール切れ、もしくは抜けが原因ではないかと思います。

リバース油圧は前進に比べてかなり高いので、暖気が不十分な場合にいきなりリバースに入れると固いオイルがサーボピストンに到着する前に圧縮空気がピストンシールを押し出してしまうというケースがあります。

マニュアル車は少々固すぎるオイル位が良い場合もありますが、オートマは流動性が重要になるので固すぎるオイルは非常に長い暖機運転が必要になります。

オートマのオイルは、エンジンを守れる条件の中でできるだけ流動性のある柔らかいものを選びたいです。

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最後に油圧保持力の簡易チェック

エンジンを止めた直後にもう一度イグニッションをONにして油圧警告灯が点灯するまでの時間をみます。

再点灯まで割と長いので油圧保持はされてるようですが、オイル粘度が高いことも影響してるでしょうね。

油圧測定のビデオです。

いずれにしてもオートマ内部のことなので分解点検が必要になります。

下廻りの点検しておきます。

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ミッション番号と

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デフケース番号は同一でした。

回りの状況からみてもオートマの分解歴は無いと思われます

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右前輪です。

タイヤを揺すると大き目のガタがあります。

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アッパージョイントにガタがありました

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サスペンションは本来ラバーコーンですがコイルに変更されてます。

キャメルオートではラバコンをお奨めしています・・・・

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アッパーアームが下がりすぎないように支えるリバウンドバッファーが切れてます。

特にコイルサス装着の場合はコレが切れるとアッパーアームが下がりすぎてコイルが遊んでズレてしまいます。

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左前輪です。

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こちらも同じようにアッパージョイントに大き目のガタがありました。

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ドライブシャフトブーツが切れて中からグリスが飛び出してます・・・

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アッパーアームとサスペンションとつなぐナックルジョイントのブーツが切れてました。。

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左のタイロッドを上下に揺するとコトコトと音がします。。

走行中に感じた異音はコレですね。。

中のナイロンベアリングを交換する必要があります。

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左のデフサイドシールとキックダウンS/Wからのオイル漏れです。

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タイミングカバー側からもオイル漏れがありました。

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いきなりアップの写真でどこかわかりませんよね・・・

ミッション前方から上を覗いたところ。 オイルフィルターケースと取付面からオイルが漏れてます。。

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ココはミッション後方から上を見てエンジンの裏側を見たところです。

エンジンの1番側の後ろのヘッドガスケットからオイル漏れです。

オイル漏れは安心オートマにする際に組付けし直すところなのですべて解決しますね。。

いろいろ改善提案が出てきました・・・ ご相談しましょう。。

つづく

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