先日ご紹介した立派な施設で撮影したインジェクションミニの純正エキマニのダウンパイプへつながる部分の立体画像です。
数字はエンジンの気筒番号です。1-3-4-2の順で点火するミニのエンジンですが、このように4番シリンダーからの排気は1番に比べてダウンパイプまでの長さも集合部分への合流角度も異なります。
2番3番は排気ポートが隣り合い、ポート全体を共有する形状です。1番と4番は単独の排気ポートですが、ダウンパイプと合流する直前に排気同士が干渉します。
この観点で考えると、2-3番の排気を集合する純正エキマニのグリーンの排気は1番4番に対して太くすべきという発想が出てきます。現にミニ用に販売されているLCBのハイエンドモデルはセンターパイプ、つまり2-3番排気パイプを太くしたものが売られています。
そのことに関してはインジェクションエンジン、とりわけ純正シリンダーヘッドにそのようなセンターパイプを太くしたものを採用しても、おそらくトルク抜けとでも言いますか、実際には出力ダウンするエンジンになるはずです。抜けの良すぎるマフラーを付けたら坂道を上がらなくなったみたいな現象に近くなります。
純正エキマニでダウンパイプ集合部までの形状が決まっている以上、それ以降のダウンパイプ形状で排気効率を上げるための工夫がDHRの腕の見せ所というわけです。
重ねて申し上げますと、ミニのエンジン周辺部品は最初のミニが作られた850ccエンジンからサイズが決まって、類似した英国車のエンジンと共通部品、共通サイズが使われることで、部品を製作販売する側も大きくすれば良い、太くすればよい、という程度の勘に頼ったものが延々と売られてきただけです。
話を元に戻すと、シリンダーヘッドから排出された1番4番の排気は左右対称に集合させる事が出来なかったために長さや角度に偏りを付けてあります。画像からも4番の排気はシリンダーヘッドを出た直後に深い角度でターンさせられています。さらに集合部で1番の排気経路に合流するようにもう一度深くターンします。
このことを考えると、ダウンパイプの2本のパイプは、太さを変えることで燃調が一定になる3000pm+までのトルクを改善できるはずです。
私としては、従来品と同じ基本形状で製作方法を変えるだけと当初考えていましたが、
皆さんの中でバイクにお乗りの方も多くいると思いますが、250ccまでの国産オートバイの排気系統は昔に比べてとても複雑な形状で、見た目よりも排気経路が長く、消音が馬力を減らすようなことが無いように工夫されていることをご存知だと思います。
太く短いマフラーなんてないでしょ?短く見えてもボックス形状のサイレンサー部分でパイピングしたり、何よりも排気管が細いです。
触媒までのエキマニ形状が走りの性格に大きく影響するのが現代のエンジンに対する考え方です。
一定の方針は考えとしてまとまっていますが、理論としての裏付けをしっかり整理して、また経過をご報告できればと思います。