ポルシェが同社1台目の市販車として1948年にリリースし、1965年まで生産した空冷水平対向4気筒をリアに積むスポーツカーであるポルシェ356。このクルマはいまだファンが多く、現在もレプリカがあるほどである。
356のレプリカは空冷ビートル由来となるVWのシャシーと、VWの空冷水平対向エンジン(なかにはスバルの水平対向エンジンのこともある)を使うことが多い。そのため、基本はMTでエアコンなし、燃料噴射はキャブレターと、旧車らしさを備えるとも言えるが、不便さも否めない。
そんななか、愛知県の中古車ディーラーでもある「ラダーインターナショナル」が軽スポーツカーをベースにしたオシャレでカジュアルかつイージーな356レプリカとなる「660スピードスター」をリリースしたので、ここではその詳細を紹介していく。
文/永田恵一、写真/ラダーインターナショナル、ダイハツ、ポルシェ
■スピードスターのベースは初代コペン
まず、660スピードスターのベース車はシート後方のロールバーの形状などからピンとくる人もいるかもしれないが、軽オープンスポーツだったダイハツコペンの初代モデルである。
初代コペンは平成ABCトリオと呼ばれたオートザムAZ-1、ホンダビート、スズキカプチーノ以来、久々となる軽オープンスポーツとして2002年に登場。
FF車という点など、平成ABCトリオに比べて乗用車に近い軽オープンスポーツで、このことにより実用性を含め日常的に使いやすかった。また、全体的なクォリティも非常に高い軽オープンスポーツだった。
660スピードスターの制作にあたっては、本物の356からボディの型取りなど細部まですべて行われており、初代コペンに356のフォルムを合わせるのは本当に大変な作業だったという。
また、オリジナルの356に手動ソフトトップのスピードスターやコンバーチブルがあったのと同様に660スピードスターもオープンボディとなる。
さらに初代コペンベースのため電動ハードトップかつオープン状態でもラゲッジスペースが残るのは、660スピードスターのイージーさのひとつであり、大きな魅力だ。
■クラシカルな雰囲気を気軽に楽しめるのが最大の魅力!
ボディサイズはレプリカ化によって全長3960×全幅1670×全高1260mmと初代コペンに対して拡大されており、エンジンは軽自動車の660ccでも小型車登録となる。また、インテリアは初代コペンに準じたものとなるとのことだ。
開発スタッフはプロモーション動画で「シャレのわかる人に乗って欲しい」、「身構えることなく、普通に足としても使って欲しい」と語っており、660スピードスターを見ると「なるほど」と感じるところは多い。
660スピードスターの価格はATで税別398万8000円(ベース車が初代コペンなのでMT車からの制作も可能だが、ベースとなる中古車の価格によりMTはATより若干高いそう)となる。
絶対的には安くないとしても、メンテナンスをはじめ、気軽に356の雰囲気を楽しめることやコンセプトのひとつであるシャレといった要素を考えるとリーズナブルと言えるのではないだろうか。
ボディカラーは標準色がシルバーメタリック、それぞれソリッドとなるベージュ、ブラック、ホワイト、レッドの5色で、そのほかのカラーも税別15万円でペイント可能だ。
また、クロームホイール+タイヤ(ドラムカバー付もあり)、前後左右のエンブレム、エンジンオーバーオールといったオプションも用意される。
660スピードスターは「気軽に356や旧車の雰囲気を楽しみたい」といった人には非常に面白い存在だ。なお、納期は現在4カ月から6カ月とのことである。
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