バイク人気が高まっている昨今。ベストカー読者にオヤジライダーの最新トレンドをお届けしよう。
懐かしの名門ブランドが国内に復活するトピックを筆頭に、売れ筋や買い時のバイク、過熱化する絶版旧車などなど、まとめて解説!
※本稿は2021年8月のものです
文/沼尾宏明 写真/ベストカー編集部 ほか CG/白圡 学 取材協力/ウエマツ
初出:『ベストカー』2021年9月10日号
■事情その1:市販熱望! 日本のオヤジはZ×ビモータが欲しい!
●カワサキとのコラボで「走る宝石」が国内導入か
コロナ禍により”密”にならない趣味が人気とあって、バイクブームが加速している。
なかでも若い頃バイクに慣れ親しんだ50代を中心に趣味としてバイクを始めるケースが多いようだ。
人気を集めるのは、昔懐かしいスタイルを最新バイクで再現した「ネオレトロ系」。
往年のカワサキ Z1/2をモチーフにしたZ900RSが好例だが、名車のルックスを持ち、乗車姿勢が安楽なモデルが支持されている。
そんななか、オヤジ垂涎のブランドが大きな動きを見せる。
1970~1990年代、憧れのイタリアンブランドとして君臨した「BIMOTA」(ビモータ)が、日本で全国展開されそうなのだ。
ビモータはフレームビルダーやチューナーとして世界的な名声を誇ったものの、近年は経営悪化で実質的に休眠状態だった。
しかし2019年、カワサキが出資し、ビモータとの合弁会社を設立。
昨年、復活第1弾の「テージH2」を市販化し、話題を呼んだ。
この流れを受け、今秋、カワサキが「国内でビモータの正規販売を開始する」との情報が入ってきたのだ。
今まで川崎重工の社内カンパニー「モーターサイクル&エンジンカンパニー」が二輪事業を担当してきたが、これを今年10月1日付けで分社化。
子会社の「カワサキモータース株式会社」が新設される。
これに伴い、「ビモータとの協業・提携を大胆かつ積極的に推進」と正式にアナウンス。
さらに、噂では全国77店舗を展開する「カワサキプラザ」で、まず復活第1弾のテージH2を販売するという。
さらに第2弾としてニンジャ1000SXベースの軽快スポーツ「KB4」も市販間近との噂。
こちらの国内販売は不明だが、全国のカワサキプラザで購入可能となることを期待したい。
ビモータの国内展開を祝し、ベストカーでは最終兵器の「KB5」(仮称)をぜひ提案したい。
KB5は、発売以来ベストセラーを記録しているZ900RSに独自パーツを与えたモデル。元ネタは知る人ぞ知るビモータのZ1用キットだ。
実はこのキット、1978年にビモータがカワサキエンジンを載せて発売した公道モデル=KB1より古く、カワサキ×ビモータの原点「KB0」と呼ぶべき存在。
これを再現したKB5こそ、カワサキ×ビモータのコラボを祝い、カワサキモータース発足の記念碑的マシンにふさわしい。
オヤジにとっては、あの頃憧れたステイタス抜群のバイクが入手でき、Z900RSより見栄が張れる。
価格はどこまでモディファイにするかによるが、テージH2(並行輸入価格は約870万円)ほど高額にならず200万円前後で抑えられるハズ。
好セールスが期待でき、分社化で収益を上げたいメーカーにも旨味があると思うのだが……どうですかカワサキさん!?
■事情その2:オヤジには今しかない! なんとしても手に入れたい空冷名車
●消える前に「名作」を確保しておくべし!
今オヤジが買うべきバイクの新車として候補に挙げたいのが、絶滅の危機を迎えている空冷エンジンのマシンだ。
その一因が二輪排ガス規制。
2022年11月以降に全面適用され、現在の継続生産車も規制適合が迫られる。空冷のビッグバイクは、対策にあたって大改良が必要となるため、多くが生産終了になると噂されているのだ。
2021年3月に空冷のSR400が生産終了し、争奪戦が繰り広げられたが、同じく空冷で名機のハーレー・スポーツスターが殿堂入りとなるようだ。現行型はすでに欧州では2020年型がラスト。
そして今年7月、64年の歴史を持つ従来の空冷Vツインに代わって、電子制御満載の水冷ユニットを積んだスポーツスターSが発表された。
正式なアナウンスはないが、日本でも空冷版は2021年型がラストになるとの情報だ。
また、唯一の空冷直4を積むCB1100シリーズも順次終了になるとの噂。
美しい冷却フィンに独特なサウンドなど現行のクルマでは味わえない空冷を堪能できるのもバイクならでは。今が新車を手に入れるラストチャンスだ!
■事情その3:オヤジキラー続々、即完売中!
●レトロで乗りやすくシブい新型が大人気
ここに掲載したのは今年に入って発売されたニューモデルで、瞬く間に完売するほどの人気ぶり。いずれもオヤジをターゲットにしたコンセプトが見え隠れする。
特に象徴的なのがメグロK3だ。
「メグロ」は戦前から大排気量車を販売し、1964年の東京五輪では聖火リレーの先導白バイにも採用された名門だったが、経営不振でカワサキに吸収合併。
時は流れ2021年、カワサキが55年ぶりにメグロブランドを復活させ、往時を知るオヤジたちを驚喜させたのだ。
メグロ復活第2弾として、往年の「ジュニア」をモチーフにした250版が登場するとの噂もあり、動向に目が離せない。
実現すれば低シートで扱いやすいレブル250の強力な対抗馬となるだろう。
ほかにも、1980年代の懐かしい車名を継いだ癒し系のGB350、名車カタナの現代版に限定カラーを登場させるなど、メーカーはあの手この手でオヤジ心をくすぐる製品を送り込んでいる。
ホンダは、30歳未満のミレニアル世代と60代以降のアクティブシニアの販売が伸長していると分析。
現在メインのユーザー層は40~50代だが、さらに年齢層を上下に拡大しようとしている。
今後オヤジ向けのモデルがより増えるかもしれない。
■事情その4:オヤジたちの青春バイクがとんでもないことに!
●急上昇モデル/200万円台もアリ! 1990年代車にバブル到来
「新車が手に入らないなら、中古車」と考えるのは皆同じ……。近頃、1990年代の中古車価格が爆アガリ中だ。
中古車の業者向け取引は主にオークションで行われており、主催するオークネット・モーターサイクルに調査してみると、2020年における1990年代人気車の落札平均額は前年比で軒並み10%増。
なかでもSR、NSR250R、エストレヤ、ゼファー400/750らは40%増を記録し、200万円で販売されるタマもある。また別の業者向けオークションでは6月にNRが歴代最高額を更新した。
中古市場はタマ不足のため、何らかのダメージがある車両でも成約されるケースが増えているという。
この傾向は2020年5月に1回目の緊急事態宣言が解除されて以降で、1年を経ても中古車相場が落ち着く気配はないとのこと。もはやバイクバブルだ!
●お宝モデル/ヤンチャ系の旧車は300万円台がザラ
1970~1980年代のバイクブーム期に登場した、いわゆるヤンチャ系の旧車はコロナ以前から高騰していたが、一段と上昇傾向にある。
絶版バイク専門店で最大手の「ウエマツ」によると、1990年代の漫画「疾風伝説 特攻(ぶっこみ)の拓」(講談社)で人気に火が付き、劇中に登場したモデルは高い人気を維持したまま現在に至るという。
当然、現存+流通するタマは減少するいっぽうなので、右肩上がりで高騰し続けている。
人気なのは400クラスの空冷直4。特にZ400FX、CB400フォア、CBX400Fが高額三兄弟で、相場は300万円前後だ。
なかでもCBXは500万円で売買された過去もある。
いずれも新車当時価格は50万未満だったが、まさに今ではお宝レベル。もしガレージに眠らせている読者がいたら、二束三文で売らないように!
●文化財級/レジェンド系は天井知らず!
CB750フォアにZ1/2……バイク史を塗り替え、圧倒的な知名度を誇る伝説の2台は、「ヤンチャ系」よりさらに高額。
1000万円台も存在し、数年前Z1に1200万円の値がついて騒然となった。
ウエマツによると、高額なのは初代Z2で800万円~、砂型クランクケースを採用した最初期CBのK0は「プライスレス」という。
転倒を考えると、もう飾っておくしかない?
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