曽根です。
安心オートマの分解点検レポートです。。
いつもは安心オートマの記事の中に入れてましたが長編になったので、
分解点検からハートピストン+超軽量コンロッド付きの快速安心オートマまでの作業記録を分けて記載しました。。
今回の例は・・2年前にオーバーホールしたオートマから出た鉄粉でエンジンまでやられちゃったケースです。。
アイドリング、走行中を問わず常に白煙を出し続けてます。。
ドレンボルトには大量の鉄粉が付着・・・
内部の激しい消耗が予想されます
オートマMINIの大敵 鉄粉は漏れないフィルターケース付きのPECSは必須アイテム・・
せっかくエンジン降ろすなら・・ハートピストン+超軽量コンロッドで快適快速なMINIにしたい。。
ここからは九州岩崎さんからの分解点検レポートです。。
分解点検は衝撃の結果とは・・・
診察台の上に載って分解が始まります。。。
まずは外観からチェック
ブロックはかなりオイリーな状態ですね。
1番の排気ポートは濡れてます。。
コンバーターシールからと思われるオイル漏れです・・
ドレンボルトの鉄粉は大量です。。。
この鉄粉が元凶となって2次摩耗、3次摩耗を繰り返しオートマとエンジンが痛めつけられていました・・・
プラグは全体に湿ってますが1番は完全に濡れてます。
コンバーターシールは奥まで打ち込まれてしまってます。。。NGです。
ミニのオートマ修理に不慣れなメカニックが行ったと思われます。
コンターバーシールはTTO製です。
TTO製が出始めたのが2018年ころからですので 2年前にオートマ修理されたことの裏付けにもなりますね。。
コンバーターシールの奥にあるスターターシールは交換されてなくプラスチックのように硬化しています。
オイルフィルターも目詰まりしています・・
目詰まりすればリリーフバルブが開いてフィルターを通さずにそのまま循環させてしまうのでフィルター無しと同じです。 硬すぎるオイルでも同じです。。
フロントパネルを開けてレバーの引き下げてバンドの消耗をチェック
リバース、
3速・・・
2速ともに動かすのに普段よりだいぶ力が要ります・・
走行距離から考えて異常な消耗しています。
オイルポンプのガスケットはガレージMINI製です。
ポンプのバックプレートのブッシュがシリンダーゲージの針がピクリとも動きませんでした・・
ロータークリアランスは0.15㎜がスコスコ・・
かなりガタガタのオイルポンプで入庫チェックで油圧が6.5㎏出てたのは不思議なくらいです。
そしてこれはクランクのプライマリースラスト・・・・・
鉄粉で消耗しすぎて再使用不可でした・・・
交換です。
バルブクリアランスは・・
本来0.35㎜ですが、1㎜のシックネスがスコスコでした。
ここまで見ても2年前にOHされた個体とは考えにくいですね・・・・
各気筒のリークダウンテスト・・
1番
3番
バルブではなくブローバイに抜けてます。。。圧縮漏れですね。
ヘッド外しました
1番の排気ポートがオイリーだったわけです・・
1番のピストントップにオイル溜まりがありました。
他のピストンも濡れてましたがオイルが溜まるほどではありませんでした。
ピストンの頭が前後に振ってます・・
ピストンリングが当たってない箇所を0点設定します
ピストンリングが当たってる箇所の一番上あたりで3/100㎜ですので危険範囲の入り口です。
ピストンが一番下がった箇所のボア点検。。
9/100mmでした
4番は・・
1番よりさらに大きく0.1㎜くらいになってます。
3番も9/100㎜
タイミングチェーンも伸びきってます
ここまで伸びるとテンショナーパットでは押さえきれないというのと、
チェーンが伸びてたり、スプロケットの歯の消耗、摩耗も考えられるのでセットで中古良品と交換いたします。
前期モデルは経験上、後期モデルと比較して伸びが少ないのが特徴なんですがね・・・
エンジンとオートマの分離・・
ブレーキバンドは先ほどのオイルポンプガスケットと同じところの製品。。
この摩擦材が攻撃するのでしょう。。。
ブレーキバンドの合口が3本ともに26㎜まで開いています。
★ なぜ3速のサーボピストンのボアが小さいのかと言うとほかの、2速、リバースと比べて瞬時にオイルをシリンダーに規定量を入れて必要な仕事を行わせるためなのです。
ボアが小さければ少量のオイルでブレーキバンドを締め付ける仕事をすることができます。
さて、ブレーキバンドでドラムを締め付けるには合口を12㎜まで縮めます。
26㎜開いている合口を12㎜まで縮めなければなりません。。
先ほどバンドレバーを下げるのに普段より力が必要だった謎が解けました。
安心オートマはこの合口を16~17㎜に設定しています。
どちらが瞬時に締め付けることができるかはすぐわかります。
ファードクラッチ、
T&Rクラッチともに、先ほどのオイルポンプガスケットと同じところの製品です・・
広がってます。。鉄粉の仕業でしょう
ベアリング破損・・
何らかの抵抗が掛かっていたと思われます・・
ここまで分解してギヤキャリアは再使用できないことはわかりますが念のために分解します。
ベベルギヤの合いマークも合っていませんでした・・
ベベルギヤの溶接も行われていました。
現時点では剥がれてませんが近いうちに剥がれてしまうはずです。
この手法ではオートマMINIを救うことはできずすべて廃棄されていまう運命になってしまいます。
サーボピストンのスプリングを35㎜まで縮めてありますね・・・・
これも、同じショップが行っている手法ですが意味がありません。
剥がれた摩擦材はストレーナーに吸い寄せられていました。
たった2年間でこんなに剥がれてしまってます・・
一見、きれいに思えるメタルですが・・・
クランクのジャーナルの正常値44.45に対して44.39
大きく消耗しています。
メインジャーナルも若干細くなっていました
鉄粉による2次摩耗、3次摩耗がもたらす消耗と間違った修理手法でほとんどの部品が再使用できなくなってしまっています。
この手法によるオートマ修理でオートマMINIが廃棄されてしまうことになります。
お願いですからもうやめてください。
・・・・
加工から戻ってきたヘッド、ブロックを組み上げていきます
ヘッドの研磨は最小限で・・
シートカット、リフェース、
すり合わせしてバルブを組みます。
消耗していたクランクは中古良品と交換いたします。
キャメルオリジナルの国産コンバーターシールをはじめ
メタルは現在入手できる最良品のACLを採用。。
キャメルの安心オートマは見えないところにも高品質を追求しています。
組付け前にクリアランス確認作業をします。
そして、お待ちかねのハートピストン&超軽量コンロッド・・
密閉を極限まで追求し両サイドにはオートフィットコートが施されています。
ピストンリングは日本ピストンリング製が使えるように設計しました。
OHVのため燃焼室を半球型にできないためピストントップに最適な位置に燃焼室をもってくるという理由でバルブを逃げながら窪みを造ったら・・ハートになりました。
コンロッドはノーマルを機械加工で強度を落とさず軽量化。。680g→480g と200gも軽くできました。このバランス効果は低回転から体感することができます。。
通常は3/100mほどのクリアランスで組み込むところをハートピストンは5/1000mで組み込みます。
古いエンジンはクリアランスが大きい・・なんて言わせません。
その分ブロックのボーリング精度も要求されます。
メタルをいれて組付けます。
きちっとトルクで締め付け・・
すでに完成している安心オートマと合体です。
安心オートマ組付けは過去ブログをご覧ください。
順に組付けていきます。
ヘッドも合体。。
0.30㎜でクリアランスを揃えます。
安心オートマ専用にリプロダクトしたオートマ専用オイルポンプ。。
リリーフバルブ部分も分解して点検します。
今回の分解でもオイルポンプのガスケットが剥がれて油圧漏れをおこしてました。
キャメルの安心オートマはSVオリジナルの銅製パッキンを採用して対策しています。
純正のスラストワッシャーで調整。。
アイドラーベアリングとダブルボールベアリングは新品と交換
キックダウンはオイル漏れ対策品の三和さんのアルミ製を採用。
そしてさらに漏れ対策のボルトへのシーリング・・
オートマMINIのオイル漏れ根絶作戦はこうした積み重ねです・・
セルモーターでオイルを汲み上げてコンバーター内を満タンにしてから
テスト用の実車に積み込みます。
工場内でエンジン始動。。。
動作確認、油圧確認して実走行の完成検査に出る準備を行いました。
コンバーター付近から風切り音か、ベアリングの異音とも思える音がしていましたがサーモスタットが開いたころには音は無くなったので走行テストに出ましたが・・
しかし、アクセルを入れると1~4速までギヤ鳴りのような異音を感じました。
工場に戻り過去の症例を見返して音源の見当をつけてエンジンを降ろします。。
サウンドスコープで音源を特定。。
ドロップギヤ3つとも交換。
コンバーターは中古良品と交換
再度テスト車両に積み込み
工場内でエンジン始動。。
異音が消えてることを確認してから、
再度、実走行テストに出発。。。
約30㎞に及ぶテストでエンジン、オートマの作動確認。。。
今度はバッチリ。。 快調です。
完成後の試運転しての製品チェックがなければそのまま発送されてしまうところです。
リビルトオートマを単体で販売するのは完成チェックがないのと同じことだと考えます。
工場に戻り温間時のオートマ油圧測定します
前進 7㎏ OKです
リバース 12.1㎏ OKです
アイドリングでのMAP値(インマニのバキューム)良好です。
ギヤを入れた時のMAPはコンバーターベアリングの抵抗の推測として測定します。
良好です。。 (社内基準値は60kpa未満。。)
分解点検では様々な問題がありましたが
ハートピストンでエンジン部もフルリフレッシュ。。
安心オートマも最後の点検で問題をクリアできて自信をもって出荷できます。
パワフルでスムーズな安心オートマが完成しました。
定期的なオイル交換と、ギヤを入れるまでの暖機運転を守って末永く快調なMINIをお楽しみください。
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