一台のクルマには、縁あってオーナーになった人との歴史や思い出があり、物語になるほどのエピソードが生まれることもある。
そんなクルマと人との関わりを、オーナーさんに直接取材して、リアルな生の声を紹介していきたいと思います。はたして、どんな生の声が聞けるのでしょうか?
購入した動機から、愛車に対するこだわりのポイント、年間の維持費、故障箇所、愛車の主治医まで、これからそのクルマを購入しようと思っている人にも役に立つ情報満載でお届けします。
文・写真/松村透
【画像ギャラリー】28年経った現在も色褪せない世界観 オーナーの村上さんが愛するユーノスロードスターVスペシャル
■新車から28年間愛し続けるユーノスロードスターVスペシャル
若い頃、イギリス製のオープンカー「MG-A」を所有していたという村上さん。そんな青春時代の記憶を呼び起こしてくれる存在として、28年前にユーノスロードスター Vスペシャルを購入。
それ以来、村上さんのご自宅の駐車場にはネオグリーンのボディカラーをまとったユーノスロードスターが「住み続けている」のです。
■プロフィール&愛車紹介
・お名前:村上 公平さん
・年齢:後期高齢者
・ご職業:非常勤監査役
・所有しているクルマ(年式、グレード名):1993年式 ユーノスロードスター Vスペシャル(NA6CE型)
・購入時期:1993年7月
・所有年数:28年
・購入時の走行距離:9万2500km
・現在の走行距離:9万2500km
・購入時の金額:約300万円(諸経費込み)
■ユーノスロードスターを手に入れようと思ったきっかけを教えてください
ポスターか何かでユーノスロードスターの存在を知り、当時を思い起こさせるものを感じました。ディーラーで実車を見たところ、手頃な大きさである点も気に入りましたね。
さらに、グリーンに塗られた「Vスペシャル」というグレードがあることを知り、購入するならこのグレードと決めたんです。でも、実際に手に入れることができたのは、存在を知ってから数年後だったと記憶しています。
■愛車との濃いエピソードについて
実は若い頃、MG-Aに乗っていたんです。ユーノスロードスターはそのときの記憶を呼び起こしてくれた存在でした。納車されたばかりの頃は、オープンにして湘南あたりを走りましたね。
MG-Aはよく故障しましたし、オープンで走ると風が巻き込んできて顔に当たるんです(笑)。その点、ユーノスロードスターはそれほど故障がなく、オープンの状態でも車内は快適です。
■愛車に対するこだわり
●MG-Aを思い起こさせてくれた純正オプションのワイヤーホイール
当時、純正オプションでワイヤーホイールの存在を知り、MG-Aもこのホイールだったことを思い出し、懐かしさのあまり購入してしまいました。
●購入時のままのボディペイント
28年経過した今でもオリジナルペイントのままです。ある程度、塗装の劣化が抑えられているのは自宅の駐車場にカーポートのおかげでしょうね。
●グリーンの幌
幌を張り替えた時、VR LIMITED コンビネーション B用に設定されたものと同じグリーンの幌(ROBBINS製)に交換しました。現在は絶版のようです。
■大まかな維持費用を教えてください
■大まかな年間維持費(自動車税、オイル関係、ガソリン代などを含めた概算)
・約30万円(年間走行距離3000km、週1〜2回程度使用)
■これまで大小の故障はありましたか?
■主な故障箇所一覧
・イグニッションスイッチ修理(エンジンが始動しない)
・エンジンまわりのオイル漏れ
・オーバーヒート(ファン不動)
・故障ではないがタイミングベルト交換(9万2000km/2020年)
■純正部品の入手に苦労していますか? 欠品・製造廃止している部品などご存じでしたら教えてください
一部の部品は手に入らないようですが、特に困ったことはありません。エンジンの載せ換えもできるようですね。
■愛車の主治医どのようなお店ですか?
新車で購入したマツダディーラーに預けています。これまで何度か担当のメカニックさんが替わっていますが、整備の履歴が残っているので問題ありません。
■これからも乗り続けるご予定ですか?
あと2年で所有すると30年ですし、そろそろビンテージカーの仲間入りという段階です。数年は乗り続けたいですね。息子もクルマが好きですが、乗り継いでくれるかなぁ。
もし、息子が引き継がないとしたら…。大切に所有してくれる方にお譲りしたいです。
■未来のオーナーのために購入時のチェックポイントや愛車のウィークポイントを教えてください
新車で購入してからずっと所有してみて「壊れない」、「維持費がかからない」と思います。ただ、Vスペシャルのダッシュボードの「黒くペイントされた部分」がベタベタになっていることが多いので注意してください。
■あなたにとって愛車はどんな存在ですか?
気づけば、私の愛車遍歴のなかでも一番長く所有しているクルマとなりました。「愛車っていうより恋人……友達、親友みたいな存在かもしれません。むしろ、30年近く乗っているから幼馴染のような存在」といえますね。
■取材後記
村上さんの若い頃の記憶を呼び起こしてくれた「ユーノスロードスター Vスペシャル」。当時所有していたMG-Aよりも快適で故障もなく、実用的。
それでいてライトウェイトスポーツカーらしい軽快な走りと、オープンエアの楽しさも存分に享受できる……。NA型ロードスターでなければ味わえないフィーリング、そして世界観はデビューから30年経った現在も色褪せることはありません。
村上さんのユーノスロードスターはコレクターカーではなく、あくまでも日常の足としての役割も兼ねたクルマ。28年間、1人のオーナーの元で、丁寧に扱われてきたクルマならではの「適度なヤレ感」が実に魅力的に映りました。
村上さんのご自宅にお招きいただき、長年愛用しているレコードプレーヤーやレコード盤も拝見しましたが、「丁寧に扱いつつも、適度なヤレ感」に、クルマに対する愛情と同じものを感じたのはいうまでもありません。
村上さんにとってもっとも長い付き合いとなったユーノスロードスター Vスペシャル。1台のクルマと長く付き合うコツは、「丁寧に扱いつつも、過度に猫かわいがりしない」ことかもしれません。
【画像ギャラリー】28年経った現在も色褪せない世界観 オーナーの村上さんが愛するユーノスロードスターVスペシャル
投稿 新車から28年間ともに過ごしきた愛車 ユーノスロードスターVスペシャルの真実とは?【Bestcar Classic オーナーズボイスVOL.4】 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。