ミニなら新車以上の車両が手に入る。
今月は「新車以上のコンディション」の車両はあり得るのか!? なんて屁理屈的なコラムを書いてきましたが、交換パーツが膨大にあって新品パーツにあまり困らないミニなら、費用に糸目を付けなければ、再生どころかパーツのみで新車状態の車両を組み上げられるはず。でもまぁ、それじゃローバー産じゃないから、厳密には「本当の新車」にはなり得ないんだけど「コンディション的には新車以上にはなり得る」っていう屁理屈にはつながるわけです。
もっともそうした特殊な新車状態な車両じゃなくて再生のミニだとしても、見栄えや性能面だけなら「新車以上のコンディション」にはなり得ます。エクステリアにしたって、塗装のクオリティーとか塗装技術だけ見ても、ローバーミニが現役だった20数年前よりはるかに上なわけですし(生産ラインでの塗装方法などは別として)、ボディパネルなどの組み付けクリアランスとかも、もう当時よりはるかにシビアな最新の基準でやっているわけですから、車体を見たときに「ビシッ」とした印象は、本当の新車当時より上回っています。
話は逸れますが、編集Nも’92年ごろ、創刊されたばかりの「ミニフリーク」誌のカメラマンが乗っていた新車のインジェクションミニ(メイフェアだったと記憶しています)の横に乗ったことがあって、ローバーミニの新車を体験したことがあります。
その頃は、仕事関係で国産のハイパフォーマンスカー、FD3SのRX-7とか3ローターのユーノスコスモ、三菱3000GTOとか、シビックタイプRなど、そんなトンがったものばかりに乗っていたので、ローバーミニには「うーん、ローテクだけど味があるなぁ」くらいの印象しかなかったので、現在のコンディションのいいローバーミニと比べて新車がどうだったとか、全く比較できる記憶は持っていないんですけどね。
あと当時を思い返してみると、そのころの輸入車では、PDI(新車整備)の存在がやっと知られてきた時代でした。とくにイギリスから陸揚げされたローバー車なんて、ディーラーに納められる前に、PDIセンターで「クオリティーコントロール」のために補修されるのが当たり前だから、部分塗装とかひどい時は全塗装やり直しなんてこともあったそうで、そうなると納車前にはすでにパテが盛ってあるっていう、ディーラーに納められる前から修復車みたいなミニも存在していたわけで。。。
もっとも日本人が求めるクオリティーに合わせるのPDIセンターで作業を受けたミニだとしても、現代の再生ミニに注がれる組み付け精度や素材の向上といった面、性能面は当時の新車より断然向上していると言えます。
エンジンオイル、タイヤ、ダンパー、プラグコード、オルタネーター、ピストンリングやロッカーアームなどなど、交換部品の中には性能が大幅にアップしているものもあるのですから、組み合わせとか組み付け方によって、当時の新品エンジンを確実に上回る性能&フィーリングを発揮してくれます。
スーパーカーなどの場合には、メーカーが再生プログラムをやってくれるので、金額に糸目を付けなければ新車以上のコンディションの車両を作り出すのは問題なくできますし、ミニでもミニマルヤマやタートルトレーディングのTRMなど、「新車以上のコンディション」のミニを作ってくれるところはたくさんあります。とくにミニマルヤマなら「ジョンクーパーミニ」に関しては、当時からPDI以上のことをしていた「自動車メーカー」 なのですから。
「新車」を作ることはできないけれど「新車以上の見た目とコンディションは作れる」という、編集Nが考える屁理屈的な理屈がこんな感じです。
現在発売中のVol.52の「ミニ60年史を彩った男 丸山和夫」では、マルヤマ・クラシケと題して、こうした新車以上のミニの話を書いていますので、読んでいない方はストミニ本誌をまた開いてくださいネ。
ミニマルヤマで販売されるユーズドミニはすべて車両本体は280万円とリーズナブル。それでも見栄えとコンディションは新車以上と言っても過言ではないレベルだ。エンジンルームのピカピカ具合は、当時の新車をはるかに凌駕する勢い。またボルト&ナットなども新品に交換したり、カラーリングしたりなど細かい配慮が行き渡り、ミニの2001年仕様の2021年版とも言える技術が盛り込まれる。
今でも新品のホワイトボディが手に入ることも新車以上のコンディションのミニが作れる理由。
ミニ専門店のレベルが上がってきて、コンディションのいいミニが増えたこともあり、20代オーナー、女性オーナーが全国的に増えている。
編集N
自動車雑誌編集者歴30年の、カメラマン・ライター・英語翻訳・動画撮影・動画編集、そして雑誌企画制作もこなすハイパーマルチメディアクリエーター。プライベートではミニメイフェアと30プリウス、フェラーリなどを所有。
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