アイデア品というわけではないけれど、IPFの最新版LEDリバースランプを入手したので報告である。前モデルの500lm(ルーメン)から800lmに明るさアップが製品のふれ込み。しかも、5分以上の連続点灯でも熱ダレで暗くなってしまわない性能を有する、と。
確かに、装着して比較すると新製品は明るい。ミニの場合はリフレクタの形状がショボいので、配光ロスが多そうではあるけれども、LEDバルブの正面というか中心部がレンズカットされて集光しているので、進行方向は確実に照らされている。なんだか、暴力的な明るさだ。これまで使っていた前モデルでさえも「便所の100ワット」などと言われてしまったのだから、このLEDバルブが輝くさまを見たらなんとほざくッ! 興味津々である。
ボク自身は、信頼を置いているIPF製のバルブなので文句の付け所なぞ、全くないのではあるけれども、旧態然としたミニのコンビネーションランプのソケット形状にはちょっと合わない。バヨネットで差し込むときに、LEDを収めた筐体のエッジが当たって回せないのである。ホントにちょっとだけ、だ。ルーターで筐体の角を1ミリ程度角落としをすれば問題なし。まぁ、こんな程度は加工作業と呼ぶほどのことではない。それよりも、S25ソケットのユルユルさ加減の方が気になる。リバースだけでなく、ウィンカーもブレーキランプもみな同様。今回装着したリバースランプにいたっては、リフレクタとソケットのカシメまで緩んでいるじゃないかッ! シャキッとしない、何とかならんものか……。
話は逸れるが、ネットで数多販売されているLEDバルブの類い。ものすごい数値のルーメンが記されていて気持ちがそそられるが、その実、大半がトリック的な表示なので気を付けた方がイイ。結果的にルーメン数値がひとり歩きして、不毛なルーメン競争を生んでいるともいえる。ルーメン論議だけじゃなく、明るさを表現する値は他にもあって、そもそも比較対象が難しいものだ。灯体全体なのか、バルブだけなのか、そんなことで表現方法や数値は大きく変わる。最終的には、使用感が一番重要。人間の目で評価できることが肝要なのだ。
ルーメンは点灯した最初の一発の明るさで表記して良いもの。ところが、バルブは熱が高くなると抵抗が発生して電流を阻害、つまり、時間が経つと熱ダレで次第に暗くなってしまうものなのだ。その変化をいかに抑え込むかがメーカーの命題。良心的なメーカーはそう考えてくれるけれど、大陸的な製品は一発目にドンッと輝いてすぐに暗くなってしまうものも多いし、熱害を考えないからすぐに切れてしまったりする。ユーザーがしっかりとした選択眼を持つことが重要なのだよ。まぁ、そこそこの金額を支払うことも大切、安物買いの銭失いとは良くいったものだ。
かつて、IPFでリバースランプが5分以上暗くならない理由を聞いた。通常の車庫入れ程度ではどんなに切り返したってそんなにかからないだろう。どうやら、IPFのユーザーにはオフローダーが多いらしい。道がなくなってリバースで延々後退するケースも往々にして起こりうるから、というのが答え。長時間の点灯でも安定した光量で、故障しないことが重要なのだそうだ。というわけで、ボクのミニは「延々と明るい便所の200ワット」状態にレベルアップなのである。
田代(G)基晴
10月号より本誌編集長:ミニより1歳年下の1960年生まれ。ミニ・フリーク誌のスタートからどっぷりミニ漬けの人生。現在はフリーランスの写真家、編集者として活動。趣味の伝道師を目指し、日々精進している…