オヤジギャグっぽくなるけど、谷口さんのお店はディープと名乗るだけにディープな知識や
ノウハウをたくさん持っている!
ここでは、プロショップですらあまり知らないトラブルやノウハウ、それとみなさんが気になっているエンジンOHなどについて谷口さんに直撃してみた。特に冷却水の話なんて、熟練のプロショップですら発見するのが難しいミニの難病だ!
CASE 1
サブタンクの冷却水量が
エンジン不調を引き起こす!
インジェクションモデルでは、冷却水が減っていないかどうか、冷間時にラジエターキャップを開けて点検するほか、フロントフェンダー内のサブタンクも確認したい。というのは、冷却水の量が少ないことで、オーバーヒートしていないのにエンジンの不調を引き起こすことがあるからだ。
「この夏に何台かあった故障例なんですが、サブタンクの冷却水が1・5リッターほど減っていたのが原因で、エンジンが止まったり、吹けなくなったりしていました。オーバーヒートしているわけではないのに」と谷口サン。その原因は外部テスターをつないでみて判明!
「インジェクションユニット下の冷却水路に水温センサーがあって、ここで燃調も読んでいるんです。エンジン不調の車両に外部テスターをつないでECUを読んでみると、ECUデータでは水温が100度オーバーを示して安定していなかったのです。冷却水量が1・5リッター少なかったために。その間違った水温データが燃調に影響して、エンジンが止まったり、吹けなくなったりしたのです。ということで原因がわかったので、ラジエターから水が漏れていたり、滲んでいたりしたのを修理することで、このトラブルは解決しました」
インジェクション車の場合、例え調子が良くてもサブタンクで冷却水量を確認する。それでこの原因を特定しづらいこのトラブルは防げる!
CASE 2
実際の水温と車内水温計の誤差を
知っておくと精神衛生上良い
水温に関してもうひとつ。
「ミニの純正メーター(水温計)の針が指すベストな位置は、真ん中よりひと目盛り下くらいなんですが、ここでだいたい88度で適温となります。でも針がひと目盛り上がるだけで、実際測ってみると100度くらいになっていることもあって、すごくアバウトなんですよ。ですから水温計の針が真ん中になったときに、自分のミニでは何度になっているか、確認しておきましょう。
当店では、車検などのときにはエンジンを回してフル暖気してから、外部テスターをつないでライブデータを読んで、ECUの水温データと車内の水温メーターとの差を確認してオーナーさんにお知らせするようにしています」
CASE 3
LEDヘッドライトバルブで
夜間のバッテリーの不安が解消する
「ヘッドライトにはLEDを使うのがいいですね」と谷口さん。特にキャブレター時代のミニでは、ハロゲンヘッドライトを点けるとバッテリーの電力が食われて、エンジン回転が少し下がっていたのに、LEDに交換したら消費電力が少ないために、エンジン回転が下がらないのだとか。
「H4のバルブ交換式ならLEDバルブが入れられます。レンズカットによっては車検もOKです。
またルーカスのスリーポイントヘッドライトってあるじゃないですか。このタイプ、車検は通らないものだと思っていたら、最近、車検に通るってことがわかりました。主にリプロのスリーポイントにH4のLEDバルブを入れるとバッチリですから、ビンテージルック派には朗報です」
CASE 4
モーターサイクル用オイルを
使うといいってウワサはホント!?
エンジンとミッションとデフで同じオイルを使っているミニ。当然ながらオイルに負担が大きいから、1500kmから2000kmごとに交換するのがベストなんて言われる一方、バイク用オイルを使うといいなんて話もあるけれど、谷口さん、どうでしょう?
「当店ではだいぶ前からモーターサイクル用のオイルを使っています。モーターサイクル用ではエンジンとミッションで同じオイルを使うことが考えられているため、ミニと相性がいいのです。
だいぶ以前、有名ブランドの4輪用エンジンオイルを使っていましたが、どうしてもオイルが焼けて減ってしまうこともあって、今ではモティーズやアマリーのモーターサイクル用の15W‐50を使っています。
当店で初めてオイル交換をされた方の中には、ギアの入りが固くなったと言われることもありますが、ギアの油圧抜けが起こることがなくなりますので、(ギアが固めになったとしても)油圧抜けでギアが入らなくなるといったトラブルはなくなります。またエンジンやミッションをバラしたときには、確実に差が出ます」
DEEPでモティーズやアマリーを入れた場合、工賃込みで1万250円~1万1880円かかってしまうが、ミニをいたわって乗りたいなら、モーターサイクル用の高級オイルを使うのもあり!
CASE 5
ミニのエンジンOH時期はオイルの消費と漏れを見て判断する。
「ミニのエンジンって結構丈夫ですから、エンジンがブローして動かなくなってOHってことは、他の古いクルマと比べたら少ないと思います」というのが谷口さんの回答。
「OHの目安はオイルが消費し始めたら考えたらいい、というところです。朝一にエンジンをかけたときに煙が出るのはオイル下がりで、シリンダーヘッドのOHで済みます。オイルの量を確認したら思ったより減っている、とか、加速中に煙が出るオイル上がりの場合は、ピストンリングを交換することになります。
オイルの量が減るといえば、駐車場のオイル染みは見逃してはいけません!昔はミニのオイル漏れは多少しょうがない、なんて言われていましたが、そんなことありません。いつか壊れて止まります(笑)」
駐車場にオイルの染みを発見してしまった!エンジンにオイル漏れの兆候がある!ってときには、ミニ専門店に相談したほうがいい。健康ならミニのエンジンはオイル漏れなんかしないそうだ。
Deep 谷口代表
埼玉県さいたま市にあるミニ専門店DEEPの代表。元鈑金塗装職人のため、ボディの程度に厳しく、修復の腕前も確かで、運転させてもメチャ速い。キレイ好きな性分から、仕上げも美しい。
SHOP DATA
2019.10月号より
Deep
048-791-7755