ここでご紹介する7台は、通例登場からフルモデルチェンジまでの期間が4年間ほどとされる日本の自動車業界にあって(もっとも最近はそのサイクルも崩れてしまってはいるのだが)、いずれも10年以上の長寿を果たしたクルマ達。20年超えのクルマも4台。
身も蓋もない言い方になってしまうが、決してどれもが売れ続けたモデルというワケではない。ならばなぜ、これらのクルマは長寿を果たすことができたのか?
ひたすら長命だったクルマたちを、その背景とともにご紹介!
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※本稿は2020年4月のものです
文:清水草一/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年5月10日号
■三菱 デボネア(初代/1964~1986年/22年間)
走るシーラカンスと呼ばれた初代デボネア。このクルマが22年間も生きながらえたのは、用途が非常に特殊だったから! 三菱系の社用車か、三菱系に出入りするハイヤー需要オンリー!
最初はそうでもなかったけどすぐそうなったので、もはやモデルチェンジする開発費がモッタイナイ! このまま行こうどこまでも! となりました。ようやくモデルチェンジできたのは、バブルへと続く好景気期でしたとさ。
■日産 ウイングロード(3代目・最終モデル/2005~2018年/13年間)
どこからどう見ても失敗作なのに、なんと13年も生き延びた! その理由は皮肉にも、ステーションワゴンブームの終焉!
2代目ウイングロードは2001年のマイチェンでスタイリングが都会的になり、ワゴンブーム需要を引き寄せることに成功! ワゴンブームのボトムを支えた。
その勢いでフルモデルチェンジするも、デザインが大失敗で失速。当時「あのヘンな目玉は何?」「ルーフラインがカッコ悪い」という不評が渦巻いたものです。
間もなくワゴンブームは終焉し、モデルチェンジする開発費がモッタイナイ状態に突入。それでも営業車需要に支えられて、長くシアワセな余生を過ごしました。
■日産 フェアレディZ(4代目・Z32/1989~2000年/11年間)
うわ、これまたオレが買ったクルマだ! というのは私事でした。
4代目Zの長寿は、ズバリ、日産にモデルチェンジする体力がなかったから! ってことに尽きるだろう。それも11歳で力尽き、ゴーンの決断で復活するも、現在再び存続が怪しくなっておりまする。Zのあしたはどっちだ!
■トヨタ センチュリー(初代/1967~1997年/30年間)
これも三菱デボネア同様、需要が特殊だったことが長寿のヒケツだよね。デボネアと違って、三菱系以外の全大企業の社用車ならびに皇室の御料車として活躍。生産体制も手作りにつき量産は不可。モデルチェンジも非常に困難。これでよか! 変える必要はなか! と、30歳という長寿をまっとうしたのでございます。
■スズキ ジムニー(3代目・先代モデル/1998~2018年/20年間)
ジムニーは絵に描いたような特殊用途車。マニアかプロしか買わない本格的オフロード軽4WD! そういうクルマは目先を変えて需要を喚起する必要ナシ! いわゆる計画された陳腐化とは無縁!
よって、この3代目は20年も売られ続けたのでございました。
■ホンダ バモス(2代目・最終モデル/1999~2019年/20年間)
バモスも20歳まで生きたのか~。スゲエな。バモスはホンダの軽ワンボックス。
商用車としての底堅い需要をベースに、レジャー車両としても地味に長く売られたのでございました。やっぱ商用車ベースは長寿だね。
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■マツダ RX-7(3代目・FD/1991~2003年/12年間)
バブル崩壊以降、スポーツカーは需要が急減したことでモデルチェンジが難しくなり、おしなべて長寿になりましたが、セブンも例外ではありません。排ガス規制が通るギリギリまで延命され、RX-8になんとかバトンをつないで旅立たれました。よくがんばった! 涙が出る。
* * *
とかく日産勢は長い(考えてみるとR35 GT-Rも13年目だ)! お家の事情などさまざまな理由で長く売られたクルマもあったわけね。いずれにしても長生きなのはいいことだ! ということで!
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投稿 必ずしも長く愛されたわけじゃ…ない!!? 長寿を果たした日本車旧モデル 7選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。