白ミニくんの新しいエンジンがついに完成! あのエンジンブロー事件から丸2年、いよいよ白ミニくんが復活するときが来たのだ。入念なコンディションチェックに始まり、徹底したバランス取りや、丁寧なリビルドで仕上がったエンジンならば、サーキットや遠方での取材にも安心して出かけられるだろう。


プラスアルファが壊れにくいエンジンに仕上げる

エンジン各部の加工、軽量化が完了し、白ミニくんに換装するエンジンは、いよいよリビルドの工程に入った。エンジンのOHを手がけるディープ・谷口代表によれば、前回の取材後に仕上がりの確認と併せて、ホワイトガソリンを用いた洗浄と、面取りがおこなわれたという。

「面取りをおこなう理由はいろいろありますが、ミッションOHのとき(2017/8月号参照)にもお話ししたように、カドを落とすことで、トラブルの原因となるバリの発生を抑えるため、というのが最大の理由です。この作業は、仕上がりの確認と併せておこなうことで、必要な箇所は余すことなく処理できるので、よりトラブルが起こりにくいエンジンに仕上がると考えています」
谷口代表のそうした考えは、エンジンのリビルドにも表れていた。特にそれが見て取れていたのは、組み付け時にガスケットを使用した際、シーリング材を使用していたという点だ。基本的に、ガスケットはそのまま取り付けられることが多いのだが、このプラスアルファがあるおかげで、オイルやクーラントの漏れを確実に予防できるのだ。


前号でご紹介した加工済みのパーツに加え、メタルやガスケットなど消耗品はすべて新品が用意された。

とはいえ、今回のリビルドのは、あくまで基本的な手順に従って進行していくという。しかし、その模様を追っていると、パーツを組み付ける際に、入念なクリアランスのチェックがおこなわれていた。

「あくまで、これは基本的なことですが、エンジンのパーツを組み付ける際は、そのクリアランスがローバー社の整備マニュアルに書かれている「適正値」内に収まっているかを確認します。例えば、このクリアランスが広い場合だと、当たり前ですがフリクションの原因になり、場合によっては消耗の原因にもなります。しかし、逆に詰まりすぎてしまうと、接触部に充分な油膜が張れず、激しい消耗の原因にもなってしまいます」と、谷口代表。チェックの際は、さまざまな計測器を使って確認しているのだという。

エンジンのリビルドから搭載に至る過程を追いながら、幾つかのポイントを紹介していこうと思う。



今回のリビルドを手がけるDeep谷口代表。
tel.048-791-7755  http://deep-mini.com