スーパーバトル・オブ・ミニの初期から参戦している女性ドライバーといえば、この人。
インジェクション・リーガルクラスの田中美香さんだ。
田中さんは小さな頃からクルマが好きで
休日にはよく父親に自動車整備工場へ連れて行ってもらっていたという。
これまでに乗り継いできたクルマはすべてMT車だったということで
ミニへの乗り換えにも抵抗がなかったそうだ。

「当時からミニ乗りだった旦那と宮ヶ瀬のイベントへ遊びに行ったとき
ちょうどこのクルマが売りに出されてたんですよ。
そこでは少し気になりながらも見送りましたが
家に帰ってからだんだんと欲しくなってきて
オーナーさんに電話しちゃいました」。
ほとんど衝動買いのような形でミニを手にしたものの
クルマの運転が大好きな田中さんが
ミニのダイレクトなドライブ感に魅了されるのは必然だったといえる。
田中さんがレースデビューを果たしたのは2012シリーズの第4戦でのこと。

「当時の彼氏(現在の旦那さま)から誘われたのもあって
サーキット走行に興味はあったんですけれども
最初は走行会でも怖かったんですよね。
そしたら、ショップの方から何故か『じゃあレース出ちゃいなよ』っていわれて
そのまま走っちゃいました(笑)」。
大胆すぎるアドバイスを受けて
レースを始めることになったという田中さん。
活動を続けて5年目を迎えたいまでも
楽しみながら続けているという。
しかし、これまでは勝ち負けにこだわらず
楽しむことを考えてきた田中さんだったが、最近になって変化が訪れた。

「最初の2年はひとりで走っていることが多かったんですが、
ここ最近はちゃんとバトルができるようになってきました」。
それまでは20秒台以降で走っていたという田中さんだったが
昨年より徐々にタイムが縮みはじめ
今シリーズ開幕戦では17秒台後半をマークしている。
田中さんが駆る「#2チャミ号」はファイナル変更されているものの
ノーマル仕様のエンジンであることを考えれば、
レーサーとして充分なタイムだといえるだろう。
急成長を遂げた田中さんの身に、いったい何が起こったというのだろうか。

「実は、袖ヶ浦のレースイベントで知り合った方に
去年の4月からコーチをしてもらっています。
いままではタイムが出る走り方を知らないまま続けてきましたが
車載動画を見ながらアドバイスを受けてるうちに、少しずつ改善されてきました。
タイムに表れるようになってからは
周りからも『走り方が変わったね』って褒められるようになりました(笑)」。
スキルが上達したことで、ますますレースを楽しめるようになったようだ。
今後の目標は、17秒台前半を安定して出せるようになることで
そのためにデータロガーを使用したライン取りの分析もはじめたという。

そんな田中さんの現在の職業は、なんと大型トラックの運転手。
昨年12月に転職したばかりで、おもにミキサー車を運転しているとのことだ。
トラックとレース、両方で活躍をみせる女性ドライバーが並んだことで
ライバルの男たちが、立場を脅かされる日も近いかもしれない…?

【ストリートミニ2017 6月号 掲載】