曽根です。
入庫したきっかけは右前の鈑金でしたけど、以前から気になってた
シフトした時に数秒もあるオートマのタイムラグを解決するために安心オートマにすることにしました。
方向転換で前後方向に何回か動かす時には時間がかかるのでかなりのストレスでした。。。
HR様は そんな時でもMINIを思いやり無理にシフトすることはしません。
オイル交換もキチっと定期的に行い、走りだす前の暖気運転も欠かしたことはありません。
その愛情あふれる扱いにドレンボルトの鉄粉はオートマ車とは思えないほど少ない状態を保ってます。
タイムラグが非常に長い・・・以外は走りだしてしまえば普通に走ってしまう状況でした。
しかし、入庫チェックのオートマ油圧は前進、リバースともに3.5㎏しかなく
明らかに油圧異常が認められる状況です。。。
せっかく分解するなら・・・・
今話題の SVオリジナルのハートピストンを入れることにしました。。。
指先をアクセルペダルにチョンと乗せるだけでグンとトルクが掛かるレスポンスは魅力です。。。。
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では、九州岩崎自動車さんからの分解点検レポートです。
さあ、分解開始。
エキゾーストポートにはカーボンが落ちてますね。
コンバーターシールは純正の英国製。。
現在の供給部品から思えば高品質でした。
フロントパネルを開けたところでブレーキバンドの消耗度をチェック。。。
リバースバンドは若干消耗してるようですが、
3速バンドの消耗は少なそう。。。
2速バンドも同じく消耗は少ないですね
オイルポンプのクリアランスは0.15㎜のシックネスがスルスル。。。
ポンプの軸受けブッシュも
3倍程度拡大して 油圧低下の最初の原因はオイルポンプでしたが、
これだけでは、オートマ油圧3.5㎏までは下がらないですね。。。
プライマリースラストの拡大は大きく
市販品では対応できないので、ワンオフ品で対応します。
キチっと追い込みました。。。
各気筒のリークダウンテストは良好でしたが・・・
燃焼室のカーボンは
特盛でした!
明らかなオイル下がりは確認できませんが、今回ヘッドオーバーホールするのでステムシールは交換になります
約12万キロのテンショナーパッドの状態です
今回はハート型ピストン組み込みなのでシリンダーブロックはボーリングしますが
その前にシリンダーの現状確認。。。
ほとんど消耗してなく良い状態を保ってました。。。
エンジンとオートマを切り離し、内部を取り出します。
入庫時チェックのドレンボルトもキレイだったので予想通りギヤドラムは大丈夫。。。
再使用OKです。
ブレーキバンドの摩擦材も剥がれは無く良い状態でした。
低油圧での稼働でしたが、定期的なオイルメンテナンスと確実な暖機運転
そして無理な負荷をかけない優しい取り扱いで守られたのでしょう。
メインシャフトの軸受けの拡大チェック
消耗してます。 軸受けブッシュは交換になります
オイルポンプのストレーナーボトムにはデフのブロンズワッシャーの断片が集まってました。
フォワードクラッチもT&Rクラッチも同様に完全に摩耗して限界を超えてました。
ギリギリのタイミングですね。
拡大してるので交換が必要です。
ブレーキバンドが消耗してなくてもドラム側の軸が動くことでタイムラグは発生します
T&Rクラッチの裏側のOリングはセットされた状態では切れてませんでしたが
硬化はかなり進んでいます。
安心オートマでは熱に強いフッ素系のOリングを採用しています。
ギヤキャリアの分解と軸受けブッシュの消耗チェック
完全分解しての点検以外にベベルギヤ剥離を発見することはできません
ギヤキャリアブッシュは3ヵ所とも拡大していたので交換が必要です。
クランクを外しブロックを分解します
オイルの通路でもある親子メタルは全部交換します。
オートマの油圧低下はエンジン側のオイル通路に原因がある場合もあるので
安心オートマではエンジン本体も含めて油路の総点検をします。
カムメタルも交換しておきます
カム山に叩かれ続けられたバルブリフターは現在チョイスできる最良の純正対応品に交換します
抜き取ったピストン・・
今回、ハートピストンと選手交代になります。 お疲れさまでした。
ここまで分解点検しましたが、前進、リバースともに油圧が3.5㎏にまで低下する原因が見つかりませんでしたが・・・・
再度点検したところ、オイルポンプからオイルフィルターに繋がる部分のパッキンが欠損してました。
多い事例ではありませんが、確実に油圧漏れを起こしてしまう原因です。
今回の油圧低下の主犯ですね。
ヘッドの清掃などOHに向けた準備を始めます
インテイクバルブの傘には大量のカーボンが堆積してまして、
吸入効率云々というレベルではありませんでした
このくらいキレイにしておきます。。。
ブロック、ヘッドとも完全分解してボーリング屋に出します。
ハート型ピストンは 5/1000㎜という高精度で組み込まれるため
シリンダーブロックのボーリングも高精度が要求されます。
加工が終わり戻ってきました
ボーリングされたエンジンブロック
ヘッドは水路のメクラも同時に加工してもらいました
バルブの当たり面も良好です
マスキングして
キャメルの加工エンジンカラー ブルーマイカにペイントしてから組付け開始です。
ハート型ピストンはアメリカのワイセコ社で製作
ピストンリングは日本ピストンリング製を使います。
ボーリグ屋さんに加工してもらったピストンスライダー
ピストン組付けます
ピストン組付け完了。。
カムメタル3か所の交換はラインを出すのが難しく内燃機屋も嫌がる仕事ですが
SSTを作ることで問題解決しました
カムメタルも打ち替え完了。
親子メタル、カムメタルともに 現在チョイスできる最良品のACLを採用てます
メインメタル、コンロッドメタル交換組付け開始。。。
キチっとトルクで締め付け・・
干渉が無いかクリアランスを確認しながら組み付けていきます
ハートピストンの見納め・・・・
ヘッドが乗ったら見られなくなっちゃいますからね
テンショナーパッド交換
ハーモニックバランサー取り付けはエンジン降りてる時がチャンスです・・・
オイルポンプガスケットは切れない銅製を採用。。
組付けていきます
インヒビタースイッチはPとNで導通するように調整します
磁力型フィルターPECSも分解清掃します。
磁石に鉄粉が付着してるのがわかりますが、比較的少な目です。
このMINIのようにドレンボルトの鉄粉が少なく 金属摩耗の少ない個体でもこれだけの鉄粉が付着するのです。
磁石に付いた鉄粉をキレイに洗浄しました。
これでまた100%の力で鉄粉除去してくれます。
オートマ車の定番オイル漏れ箇所だったキックダウンも漏れの原因の解明により漏れ根絶に近づきました
シフトポイント、キックダウンポイントを適正な位置に調整。。
スロットルの開閉でキックダウンレバーに引っかかりがないか確認しながら組み付けます
オーバーホールしたヘッドを組付けます
バルブクリアランスは0.3㎜で合わせました。
補機を取付けてテスト車両に積み込みます
エンジン始動して各部チェックして
冷間時のオートマ油圧も確認します
ヘッド周りの稼働中の異音などもないことを確認
暖気が終わり、実走行テストです。
ギヤの入り、シフトアップ、キックダウン 変速ショックなど念入りに約30㎞に及ぶ走行テストを行います。
ここで気になる所があれば、もう一度エンジン降ろして分解することになりますが、
走行テストは快調で問題なし。。。
戻ってきて温間でのオートマ油圧チェックします。
前進側7.4㎏ 十分ですね。
リバース11.5㎏ OKです。
この時点では前進、リバース共に良好な油圧でした・・・
出荷前のエンジン負圧チェック。
アイドリング時のMAP OKです。
ギヤを入れてコンバーターに負荷をかけた状態でのMAPも良好です。
コンバーターベアリングが重かったり、他に作動が重い部分があるとMAPの数値が上がるのでスムーズに動いているかのバロメーターとしてチェックしています。
最終チェックもOKなのでエンジン降ろして出荷準備します
ブリスクプラグが付いてました。。 燃焼の状態は良好ですね。
ドレンボルトの鉄粉もOK。。。
これで完成 キャメルに発送されました。。
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キャメルで積込み・・・
キャメルオートで納車前の最終チェック・・・
ハートピストンのトルクフルな走りは驚くほどのものです・・・
だた気になるのは4速低負荷時に僅かに感じる微振動と、
そして、岩崎さんの出荷テスト時、11.5㎏あったリバースのオートマ油圧が6.5㎏に低下してます。
安心オートマ完成から積込みに至る間に、オートマ内部に何かが起こったようです。。。。
一度積みこんだエンジンを降ろして、再度分解のために再発送。。
油圧低下の確認と実走行でわずかな微振動は確認できました。
納品前の完成チェックではなかった症状でした。
原因究明のため再分解します
安心オートマ専用リプロダクトオイルポンプのクリアランスは全然OK。。
ただ、銅製のパッキンサイズが少し大きくて外周が折れ曲がってました。。。
ただ今回の油圧低下の原因では無いとは思いますが・
外周をカットして
再組付けしました。
更に分解していってT&Rクラッチに入る部分。。。
4本のOリングのうち2本の一部に僅かな虫食い傷を発見。。
この2本のOリングの間に掛かる油圧が僅かに漏れたのではないかと思われます。。。
耐熱特殊ゴムで組み込みは難易度が高い部分ですので毎回慎重に組み込むところですので
組み込む前の製品チェックも念入りにするところですが見落としてしまったかもしれません。
今後は更に慎重な点検をしてから組み込みいたします。
再組付け後の試運転。
再入庫時にあった微振動は消え、走行テストは合格。。
戻ってきて温間でのオートマ油圧チェック。。。
前進側 7.2㎏ OKです。
リバースは12.5㎏まで上がりました。
これならOKです。。。
今回、再分解することにした症状は、通常の走行では殆どわからないレベルのものでしたが
岩崎自動車、キャメルオートによる2重、3重のチェックにより解決することができました。
安心オートマはこれからもさらに厳しいチェックにより、本当に安心して末永く使えるオートマを目指します。
最終的に今回も良いオートマをお届けすることができました。
ハートピストンとの相性も抜群ですね。
トルクフルなエンジンとスムーズなオートマをいつまでもお楽しみください。
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