曽根です
走行はメーター読みで43000㎞ですが1周回ってると思います。。
症状は回転を上げないとギヤが繋がらず、
さらに回転を上げて動き出す時に振動を伴うジャダーが出ます。
本編は『ORT様 オートマ油圧異常 回転上げないと走りません』 です。
ORT様ご来店中にオートマの油圧テスト行いました
アイドリングで前進側にギヤを入れます
規定油圧は5.3kgですが3㎏しか上がりません。。。
しかも、そのままアイドリングを続けるとほぼゼロになってしまいます。。
オイルは オートマ→エンジン へと回るのでエンジンへの油圧もゼロになります。。
入庫時のオートマ油圧チェックの様子です。。。
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では、ここからは九州岩崎自動車さんからの分解点検のレポートです。
オイル漏れはタペットカバーからだけではないですね。
ヘッドガスケットからの漏れです。
今回ヘッドガスケット交換も追加させていただきますね。。
サーモハウジングのパッキンからは冷却水の漏れ跡もあります・・。
ウォーターポンプとコアプラグを外しました。
水路メンテナンスは良くなかったようです。。
フロントパネルを開けて各ブレーキバンドのレバーをチェック。。
一番右は2速バンド。。。
2速のサーボピストンは大きく遊んでしまってました。
おそらく、1→2速の変速でスリップがあったと思われます。
オイルポンプのクリアランスを測定します・・
0.2mmのシックネスがスルスル入ってしましました。。
安心オートマの基準では0.10㎜以下としてるのでこれは大きすぎるクリアランスです。
油圧低下の原因のひとつはこのオイルポンプですね。。
バックプレートのブッシュも・
かなり消耗してました
ポンプIN側の砲金メッキブッシュは半分が無くなってました・・・・
これでは油圧が出なかったわけですね。。。
プライマリースラストのクリアランスも特大です。
市販品では調整しきれないのでワンオフで製作
0.05mmまで追い込みました
リークダウンテスト・・ 漏れあり?
3番のバルブをコツン・・
大丈夫ですね。。。
エンジンとオートマを分離
入庫時チェックでドレンボルトには少々鉄粉が付いてたので
ドラムは削れちゃってるかも・・・と心配しましたが再使用できそうです
ブレーキバンドの摩擦材はまだ剥がれるところまでは行ってませんでした。。
油圧の低い状態での走行がもう少し続けばブレーキバンドのスリップに堪えれなくなった
摩擦材は剥がれだすはずです。
ギリギリセーフですね。
2速のサーボピストンのリリーフスプリングは大きく遊んでました
油圧が掛かってからブレーキバンドを締め付けるまでのタイムラグは大きかったはずです
メインシャフトの軸受けブッシュの摩耗測定
NGです。 ブッシュ交換になります。
オイルポンプのストレーナーメッシュ周辺に『お宝』 が集まってました・・・
砕けたデフのブロンズスラストですね。。。。
オイル交換でも時々ドレンから排出されてきますね。。
安心オートマで新しいブロンズスラストの交換しますからご安心を。。。
フォワードクラッチは完全にツルツルで消耗限度を超えて・・・
ピストンが跳ね上がりピストン自体に傷が入ってます。。
ジャダーはこの辺りが原因。
T&Rクラッチも完全にツルツル。。
100%以上使い切ってましたね
3速ドラムブッシュも打ち替えが必要です
キャリアブッシュもNG 交換。
キャリア上下のブッシュもNG 打ち替えます
ベベルギヤは大丈夫でした。
オイル漏れのあったヘッドガスケット交換するのでヘッド外します
ブロック上面の歪み測定
5/100のゲージが止まるので 4/100程度と思われます。
ヘッド側の歪みも測定します
7/100のシックネスがスルスル・・・
ヘッドガスケット交換だけは済みませんでした。
これは歪みが大きすぎるので内燃機屋で面研してもらいます
0.16㎜の修正面研が終わり戻ってきました
スラストOK
メインメタルとコンロッドメタルを外しました。。。
1番側の上のメインメタルと
4番側メインメタルのキャップ側はブロンズが出てました。
オートマ車はこういう減り方が多いです。
メタルが消耗してクリアランスが増えるとそこから油圧が漏れます。。
油圧低下に拍車をかけていたと思われます。
バルブリフターも長年カムに叩かれて傷だらけでしたので交換します
カムメタルも消耗してるので交換します
キャメルオートの安心オートマで使用するメタルは
現在、一番信頼できると言われているACLを使用します
カムメタルもACL
カムメタル組付け完了。
親子メタルもすべて交換します。
規定トルクで組み上げていきます
安心オートマも組付け完了。。
タイミングプレートとミッションケースが干渉しないか確認しながら組み付けていきます
オイルポンプ取付
カバーと干渉しないか確認しながらの組付け
インヒビターの作動確認 OK
PECSの分解清掃します。
しっかり仕事してくれてましたね。
完全分解して清掃する必要はありませんが、
念のために、磁石は反発しあう方向で組付けます。
長期間 弾力性を保つキャメルオリジナルのフィルターパッキンで組付けます
面研されたヘッド、親子メタル、カムメタル、オイルポンプ交換されたブロック、
と、安心オートマがドッキングします
バルブクリアランスは0.30で取ってます。
キックダウンレバーの作動角確認。。。
補機を取付けて 実車に載せる準備完了。。
実車に載せて 冷間でのオートマ油圧、エンジン油圧確認後
実走行テストです。
約30㎞に及ぶ実走行テストで
エンジン、オートマをチェック
ここで気になることがあれば、再度分解する覚悟でのテストですが
今回もエンジン、オートマとも快調でした。
戻ってきてオートマの温間油圧を測定します
前進で7㎏ これが正常値です
リバースは12㎏
油圧はしっかり正常に戻りました。。
ニュートラルでのアイドリング でバキュームは32kpa
Dレンジに入れて負荷がかかった時のバキュームは49kpa
このエンジンは余計な抵抗が少なく軽く回ってますね。。。
エンジンを降ろして出荷の準備。。。
30㎞の走行テストでのプラグの焼けはイイですね。
ドレンボルトの状態もOK
今回の油圧低下の一番の原因はオイルポンプでしたね。。
油圧低下による不具合はエンジンにも影響を及ぼすので
オートマがちょっとでも変だな・・・と感じたら
すぐに相談してほしいですね。
今回もスムーズないいオートマができました。
暖機運転、定期的なオイル交換は今後も守ってください。
そして いつまでも快調で走れることを願います。
本編 『ORT様 オートマ油圧異常 回転上げないと走りません』 に戻ります。
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