完成までにおよそ1年! ジョン・ローズに魅せられて
作り上げた、往年のワークス・クーパーSスタイル。

今回ご紹介するワークス・クーパーS仕様は、オーナーのMさんが
ジョン・ローズをリスペクトして、愛車のヘリテイジモデルをベースに作り上げたという。

「実は、一昨年にもらい事故にあってしまい、ボディが全損してしまいました。
その後、タートルトレーディングに相談したところ、
メカニックの西村さんから新品のボディがあると教えてもらったので
ハコ換えしてもらいました」と語るMさん。
幸い大きな怪我もなく、不幸な出来事が一転して
理想のミニを作り上げるチャンスとなったわけだが
そのときスタイリングのモチーフに迷ったという。
そんなMさんにヒントを与えたのは、とても意外なミニだった。

「スタイリングについて相談していたとき
ちょうどBSCCがメンテナンスで入庫していたんです。
そのBSCCを見ると、いままで気にしていなかったサイドのラインがカッコよく見えて……。
それから、サイドラインについて調べました」。
数あるサイドラインの中で、Mさんが注目した
「COOPER CAR CO.」のサイドラインこそが
ジョン・ローズのワークス・クーパーSにあしらわれていたものだった。

「そこで初めてジョン・ローズの存在を知って
興味を持つようになりました」。
そして、ジョン・ローズのスモーキーなコーナリングを動画で見て以来
ワークス・クーパーSに憧れるようになったそうだ。

スタイリングは、きっかけとなったサイドラインに加え
ボンネットストライプとゼッケンサークルでドレスアップ。
テールランプは当然、MkIIタイプ。
足もとはオーバーフェンダーを取り付けるつもりだったが
新品のボディに穴を空けるのがためらわれたため
結果的にワークス・クーパーSと同じフェンダーレスになったという。
しかし、外装の再現度はとても高いが、ボディカラーはアーモンドグリーンとなっている。
Mさんに理由をたずねてみた。

「ベースとなったヘリテイジがアーモンドグリーンだったので
馴染みがあるこの色にしました。
西村さんからカラーサンプルを見せていただきましたが
MkIタイプのアーモンドグリーンよりも少し明るくて、気に入ってます」と
ミニに対する愛情が伺える答えが返ってきた。

さらに内装を見せてもらうと
やはりワークス・クーパーSを思わせるスパルタンな装備と雰囲気が再現されていた。
カーペット類はすべて取り払われ、
かわりにクロモリ製の6点式ロールケージが配されている。
メーターはセンターメーターに変更済み。
エアバックを取り外し、スポーティーなモトリタのレザーステアリングで
運転席周りはワークスさながらにスッキリとまとまっている。
シートはもちろん、コブラのセミバケットシートを採用しており
クラシカルレーシーなイメージを演出している。

徹底的に仕上げられたスタイリングは、完成までに1年を要したと語るMさん。
エンジンをはじめとする機関部は、快適にドライブが楽しめるよう
あえてノーマル仕様を維持しているとのこと。
サーキットで人々を沸かせた伝説のミニの往年の姿を
見事に現代的な仕様に落とし込んだ1台といえよう。