シンプルなミニのシート


‘94年モデルになってミニのシートは一段と良くなった。
背の部分がひと回り広がり、サイドサポートが付けられ
座ってみるとサポート性がかなり向上した。
これならロングドライブも安心だが、どうも室内が狭い。
シートバックが広がったと同時に厚みも増しているようだ。
ボリュームのあるヘッドレストも原因のひとつだろう。
おまけに、後部座席への乗り降りがかなりきつくなった。
38年前にミニが設計されたときのコンセプトは
大人4人が窮屈な思いをせずに乗車できるというもの。
だから当時のシートは背の部分が薄く、少しでも空間を多く確保していた。
もちろん、ヘッドレストなんてものは付いていないから
後部シートへの出入りも楽なのだ。
時代の流れでミニのコンセプトは変わってしまったのか。

‘97モデルからは、シートバックがレバーで倒せるようになり
乗降がいくらか楽になったが、シート自体は相変わらず肉厚。
構造そのものも変化はない。
さて、シートのメンテナンスは、大きく分けて2つの項目になる。
ひとつはシートの清掃、もうひとつが作動、及びロック機構のチェック。
ここでは作動についてを重点的に解説しよう。ミニのシートはかなり独特だ。
一般的なクルマは座席にシーレールがあって、前後にスライドするようになっている。
ところが、ミニの座席にはレールがない。
支点が決まっていてピボットで前後する構造なのである。
そのせいで調節幅が狭く、座ったままの状態では動かしにくい。
メンテナンスは、せいぜい可動部分に潤滑スプレーを吹くくらいのものだ。
あまりたくさん吹くと室内を汚してしまうから適量にしておこう。
ロック機構については、プルノブとフックの動き、フックの掛かり具合をチェック。
特に変形や引っかかりがなければ、軽く潤滑スプレーを吹いておけばよいと思う。

’97以降のミニは後部の乗降をスムーズにするため
シートバックが倒れる機構になった。
しかしシート(レール)の固定方法は、従来のまま。
相変わらず動かしにくいシートである

シートのチェック
1/シートのスライド機構のチェック。
座ったままだと動かしにくいので
シートの横にしゃがんで操作する方が動かしやすい。
シートを持ち上げ気味にして前後にスライドするか確認する。

2/シートの可動部分には定期的に注油しておくといい。
潤滑油ではなくスプレーグリスの方が潤滑性を維持しやすく
カーペットに汚れやシミを付けにくい。

3/シート座面をロックしておくフックが変形している場合もある。
通常の使用は問題ないが、シートベルトで身体とシートを
支えることになってしまうので、キチンと機能しているか
点検して調整しておこう。