燃料ポンプ&フィルター

インジェクションならではの
キャブ時代の燃料ポンプはエンジンの裏側にあって
燃料タンクから引っ張ってきてキャブのフロート室に送る機械式だった。
キャブは吸入空気の負圧で燃料を吸い出すため燃圧がそれほど必要なかったから
それで事足りたし、ウェーバーキャブなどに換装したマニアは
電磁ポンプに交換して対処していた。

ところがインジェクションとなるとそうはいかない。
インジェクションは高い燃圧で送り込まれた燃料を
瞬間的にバルブを解放することで噴射するのだ。
インジェクションミニの場合
燃料タンク内に電磁ポンプが内蔵されており
そこからエンジンルームまで燃料を圧送している。

しかし電磁ポンプはその構造上
いずれスティックしたり目詰まりを起こして寿命を迎える。
燃料ポンプがダメになってくると、作動音が大きくなったり
抵抗が増えるので電気の消費量が増えてヒューズが切れる
という症状が出ることもある。
それ以外にも、ある日突然死する場合もある部品なのである。
そのため10万kmを超えたら
そろそろ燃料ポンプも寿命が近付く、と考えたい。

また燃料フィルターもインジェクターを
目詰まりさせないために取り付けられている部品だが
このフィルター自体が目詰まりを起こしてくると
燃料ポンプの負担も増える。
事実、燃圧が低下して異音が出ていた燃料ポンプが
フィルターを新品に交換しただけで
症状が解消されてしまった例もあったほどだ。
車検ごとに交換したい部品のひとつである。

燃料ポンプ
1/インジェクションミニの燃料ポンプは
燃料タンクに内蔵されている。
タンクを降ろすため、まずはスペアタイヤをトランクから降ろす

2/フューエルセンダユニットのハーネスや燃料ホースを
保護している樹脂製のカバーを外す。
これはピンで刺さっているだけだ

3/燃料ポンプのコネクターを外す。
これで燃料ポンプはもう作動しないので
エンジンをクランキングしてホース内の燃圧を抜いておく

4/バッテリーのマイナス端子からターミナルを外す。
万一火花で引火したら、大火災になるから
絶対にアースは抜いておこう

5/燃料注入口、フューエルネックのシールを外す。
密着しているので先の細いもので隙間を作り
浸透潤滑剤をスプレーする

6/燃料タンクを固定しているバンドのボルトを緩めて抜く。
下だけ外せばタンクは取り出せる

7/フューエルセンダユニットのコネクターを外す

8/燃料ホースをポンプから抜く。
写真では専用の工具を使っている。
ここは結構硬いし、ホースを傷めないので
こうした道具は便利だ

9/ホースを抜いた状態。
2本のホースのうち1本はインジェクターに圧送するホース。
もう1本はキャニスターからのリターン用だ

10/タンク内の燃料を抜く。
完全に空にする必要はないが
たくさん入っていると重くて大変だし
万一燃料をこぼすと厄介だ

11/燃料タンクを引き出す。こうしてみると
ミニのボディに対して燃料タンクはけっこう大きく見える

12/タンクを一気に降ろさなかったのは、
まだ部品がついているから。
タンク内で蒸気になったガソリンをキャニスターに送る配管を取り外す

13/これでタンクを車外に取り外せる。
クルマにぶつけないよう、腰を痛めないよう注意して取り出す

14/取り出した燃料タンク。タンクキャップは装着し
ポンプのパイプには短いホースをターンさせているので
燃料が漏れることはない

15/燃料ポンプを固定しているボルトを順次緩めていく。
こうしたモノは対角線上に順次締め緩めするのが基本だ

16/ボルトを全部抜くと、燃料ポンプが取り出せる。
新しいポンプに交換して、逆の手順で組み立てる

17/燃料計に残量を知らせる
センダユニットはここに付いている。
ロックリングを回して外す

18/あっけなくセンダユニットが取り出せた。
燃料計を正確に使うためには
フロートのロッドを湾曲させるといい