’95 ROVER MINI 1.3i TARTAN “BOYS RACER” style

 

ミニのレトロなスタイルが注目を集めたことで

’95年にはそのファッション性を活かした限定モデル 「タータン」が発売された。

タータンチェックのファブリックで彩られた内装は

ミニをよりおしゃれに演出する一方

そのイメージが損なわれないかという心配から、手を加えにくい印象もあった。

しかし、Yさんの愛車は、タータンのファッション性を崩すことなく

見事サーキット仕様に落とし込まれている。

Yさんによれば、レトロなルックスに惹かれてミニを手にしたものの

いざステアリングを握ると独特の

ゴーカートフィーリングで走る楽しさに目覚めたのだという。

そうしてサーキットに向けたモディファイを考え始めたYさんは

パーツを選ぶ際に 「色」に注目したのだという。

「タータンが緑ベースに赤の組み合わせだったので、

サーキット用のパーツやアクセサリー類は、すべて赤いものにしてみました。

そうしたら、思ったよりも内装に馴染んで、違和感がありませんでした」。

そうして仕上がったミニの車内には

レカロのドライビングシートに、6点式ロールケージがセットされている。

本来であれば、いずれもレーシーなイメージを強める装備だが

実際に見てみると、スパルタンな印象を抱かせることなく

自然に溶け込んでいる。

さらに、リアのタイヤハウスからチラ見せしている

キャンバーキットもあえて赤いものを使用することで

外装のアクセントとして効いている。

このバランスが良いスタイリングは

オリジナルのカラーリングに合わせていることもあるが

今回の取材で撮影を担当していたカメラマン・YUNOによれば

そもそも赤というのは、緑に対する差し色として

最も相性がいいのだという。

デザインの場面ではカラーリングを決める際

色を円盤状に配置した「カラーチャート」というものを用いる。

このカラーチャート上で対極に位置する2色は

互いの色をき立てるベストな組み合わせになるというのだ。

Yさんの愛車はオリジナルですでに緑と赤の組み合わせだったが

これを意識してドレスアップすれば

違和感のないスタイリングにまとまるのだそう。

そんなスタイリングについて強いこだわりを見せたYさんだったが

走りについても妥協はしていない。

チューニングは圧縮を高めるためのヘッド面研に加え

ハイリフトロッカーを装着。

足まわりは街乗りやスタイリングへの影響を加味しながらも

サーキットでのグリップを意識して、わずかにキャンバー角が付けられている。

今後はLCBとスタビライザーも導入したいとのことで

おしゃれに走りを楽しめる仕様を目指したいとのことだった。