’98 ROVER MINI COOPER 1.3i
LONG TOURING tune

もともと、シティコミューターとして開発されたミニは、快適な街乗りを楽しめるものの、ロングツーリングのような旅は想定されておらず、実践した際のドライバーへの負担は決して少なくない。
しかし、今回ご紹介する新関晃弘さんの愛車は、長距離走を快適に楽しむためのチューニングが施された「ロングドライブ仕様」のミニだ。
内容は、駆動系を中心に高速巡行での快適性を重視してセッティングすることで、100km/h・2800rpmを実現。
さらに、吸排気系を調整して低速トルクを確保し、走り出しの悪さも改善されているほか、室内装備も快適な居住性を追求することで、身体的にも精神的にも疲れ知らずの仕様となっているのだ。


快適ロングドライブの要「オーバードライブ5速MT」

このロングドライブ仕様でもっとも重要なポイントとなるのが、ノーマルMTから換装された「オーバードライブ5速MT」だ。
これは通常のMTが4速(ギア比1:1.000)に対し、よりギア比が高い5速(ギア比1:0.865)を設けることで、高速巡行時の回転を抑えているという。
さらに、新関さんはファイナルを3.1に変更することで、なんと2,800rpmで100km/h巡行を可能にしているのだ。
これにより、巡行時のフリクションや騒音が低減して身体的なストレスが抑えられたほか、燃費も15-16km/Lから、最高で19km/Lまで改善されており、旅を楽しむ上で考慮しなければならない、燃料への不安も解消している。


吸排気系のチューニングで走り出しも改善

ファイナルギア比を3.1に設定したことで鈍くなった走り出しは、吸排気系やスポーツカムを用いたチューニングによるトルクアップでカバー。
低速トルクを確保することで、信号待ちからの出足も違和感がないという。


安定した直進走行性でハンドリングの負担も軽減

ホイールは軽量な13インチ「レイズTE37」を装着したことで、出足がより軽くなったほか、直進安定性も向上し、ステアリングのふらつきも解消。
サスペンションは硬めに設定しつつも、ストロークを確保することで、よりばたつきを抑えているという。


負担軽減のために居住性を重視した車内

長距離走を楽しむ上では、適正なドライビングポジションをキープすることが、疲労を軽減する上での重要なポイントとなる。
新関さんのミニには、ドライビング、パッセンジャーとも、スパルコのセミバケットを装着。
ホールド感に優れたシート形状に加え、レザーよりも滑りにくいファブリック素材のシート生地により、長時間にわたって安定した姿勢が保てるという。

また、純正シートよりも座面が低いため、身長176cmの新関さんでも充分なゆとりが確保できている。


シートレールはダブルロックで固定されているため、シートのガタつきも解消。

このほか、空調はクーラーとヒーターをミキシングしてエアコン化。
オーディオは2DINの真空管アンプをセットしたことに加え、ボディパネルのデッドニングを徹底して騒音も解消するなど、音へのこだわりも見せている。




メンテナンスキットも常備

旅の途上で起こり得るトラブルにも対処できるよう、インチ工具のセットに加え、ジャッキもトランクに常備。


工具箱には、スペアのランプバルブなども用意しておくことで、万が一の事態にも対応している。
もちろん、ロングドライブに旅立つ前は、点検やオイル交換などの事前メンテナンスも徹底することで、心配事のない、ゆとりあるツーリングが楽しめるのだ。


新関晃弘さん

大型二輪でのツーリングを楽しんでいた経験から、より多くの荷物を積めるミニでのドライブ旅も楽しむようになったという新関さん。お住いの神奈川県から、北海道・宗谷岬まで愛車を走らせたほか、最近は四国までドライブを楽しむようになったという。


photo=streetmini text=ken nakajima
special thanks=レトロスタイル

※この記事は、STREET MINI VOL.34 2018/4月号掲載記事を再録したものです。