シリンダーヘッドの加工は、ノーマルの鋳造品を見栄えよく加工する事です。
大まかに言うと、燃焼室とポートを拡大するわけですが、鋳物の肌がガサガサしてる見た目というのは、それほどデメリットを生じてる訳ではありません。
シリンダーヘッドをエンジンから下ろした際に燃焼室を時間をかけてピカピカにしたり、ポート側から届く範囲でピカピカにしても、ほとんど、気休め程度しか効果はありません。ついてるカーボンを掃除した、そういう意味ならいい作業だと思います。
ところが、ピカピカにすることはコストが掛かります。削り取る刃物や砥石。サンドペーパーをロール状に巻いたものをたくさん使う必要があります。
今日は燃焼室について触れておりますが
赤い矢印と、青い矢印の段差に留意してバルブの付いてる状態をもう一度見てみると
バルブは赤い矢印の段差には関係していません。青い矢印の部分はバルブと触れて密着する部分と分かりますよね。
もしも同じバルブのまま燃焼室の鋳物肌をきれいにするなら、赤い矢印の段差は無くした方が吸俳気が引っかかりません。
青い矢印の部分に傷を付けないまま赤い矢印の段差を燃焼室全体となじませてざらつきを無くしてピカピカにするのはやってみたらわかりますが、すごく難しい作業になります。ちょっとやそっとじゃ肌はきれいになりません。きれいに削れるくらいのマテリアルを使って狙った箇所だけ削るのは手作業しか無理じゃないかと思います。リューターを使えば必ず刃先が触れた瞬間の力加減で弾かれることがあります。
というわけで、燃焼室をチューニングヘッドよろしくピカピカにする場合は、バルブを抜いて切削作業を行ない、バルブをきれいに研磨して、シート部分に触れてる所に出来る虫食いのようなものがあれば、あとでシートカットした時にすり合わせをしっかり行います。
作業費用も思ってる以上に掛かります。一つの燃焼室に1時間以上かかるので、4時間の作業費用と消耗品代が必要になります。
バルブガイドにガタが少しでもあればガイドの打ち直し、バルブステムに合わせて内径をリーマーでピッタリに合わせて、それからシートカットします。これもそれなりに費用が掛かります。
燃焼室から見たシリンダーヘッドの加工でさえ、結局は大掛かりな加工につながってしまいます。
出来れば中途半端な加工は費用対効果が悪いので普通お勧めしません。
少し前までならチューニングヘッドとしていろいろなタイプのヘッドが売られていましたが、円安で吊るしのヘッドもかなり高価になってしまいました。
加工を受けてくれるレース好きのお店もありますが、ピカピカにする以外の加工、例えばバルブガイドの打ち替えからシートカット、面研など大型機械を使う加工は外注なので、価格的なことはわかりませんが、安く済むことは稀じゃないかなと思います。
費用を掛けてまで何故シリンダーヘッドを加工するか? やっぱり、はっきりとパワーアップするからでしょうね。
実際に街乗りで違いが判るには、高速道路に乗らないとお巡りさんに叱られる速度域の話になるので、そういうことも踏まえて、次はポートの加工についてお話します。