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純正部品いつまで入手可能? 新車売るだけじゃない!! ディーラーの旧型車メンテ事情

純正部品いつまで入手可能? 新車売るだけじゃない!! ディーラーの旧型車メンテ事情

クルマの現役期間は、年々長期化している。それだけクルマの耐久性が高まっており、技術の進歩は素晴らしい。今では13年以上、現役として活躍できるクルマが増えている。

一方で、古いクルマには故障のリスクがつきものだ。修理には純正部品が必要であり、その供給体制が、愛車とどれだけの時間を過ごせるかのカギを握っているだろう。そこで、本稿では純正部品の供給年数の実際のところや、旧車の整備に関するディーラーの事情をお伝えしていく。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA、NISSAN、MAZDA


■部品供給はいつまで行われるのか

トヨタは「GRヘリテージパーツプロジェクト」として、写真の2000GTなど旧車の部品を復刻して発売している

クルマのモデルチェンジサイクルは、早いもので3年から5年程度、長ければ7年から10年と様々だ。

クルマが生産される期間はまちまちで、部品の需要にも波がある。自動車は、家電製品のように「〇年間部品を作り続けなさい」という指導は無く、純正の補修・補給部品の製造期間は、各メーカーの判断に委ねられているのが実情だ。

一例として、トヨタのホームページには、「クルマの部品はいつまで供給されるの?」という質問に対し、こう記載されている。

「出来るかぎり長く部品を供給できるように努めておりますが、何年間供給というのは一律に決まっていません。あくまで目安になりますが、工場装着の部品であればクルマの生産終了から約10年間となります。(中略)

また、販売店装着オプションの部品につきましては、クルマの生産終了後は部品の製造を打ち切りますのでトヨタの販売店での在庫のみとなります」

基本的に生産終了から10年以上経過したモデルに関しては、「新品の純正部品が無くても仕方ないよね」というスタンスだ。需要の少ない部品を作り続けるのもコストであるし、こうした期限があるのは致し方ないことだろう。

筆者の経験ではトヨタの場合、生産終了から10~20年程度のクルマであれば、部品が無いというケースにはほとんど当たったことは無い。ただ、直すのに莫大な費用がかかるため、営業マンとしては買い替えをおススメしていたが、これは決して直せないから買い替えるというものではなかった。

しかし、ディーラーオプションに関しては、モデル終了と同時に生産は打ち切るのが通常の対応だ(販売は在庫限りとなる)。中古車を購入し、どうしても取り付けたいオプションパーツがある場合には、購入前に販売店へ必ず確認しておこう。

■電子書籍に早変わり? 整備書の今!

コンピュータ制御が一般的で、故障診断なども端末を繋げばすぐに終わるというのは、最近のクルマの話。少し前までクルマの整備には「知識と経験」が不可欠であった。

わからないことがあれば、手垢で真っ黒、ボロボロになった整備書を読み込み、先輩に相談しながら整備を進めていく。筆者も苦悩する整備士の姿を数多く見ているし、ベテラン整備士の勘の良さや判断の早さには、驚かされることが多々あった。

昔はモデルごとに1冊の本になっていた整備書だが、現在ではほとんどが電子化されている。古いモデルのものまで、メーカーのデータベースに保管され、販売店ではデータベースの必要な個所にアクセスし、情報を得るのが常だ。

昔は書籍化されていたため、筆者のような営業マンも読むことができた整備書だが、今や整備書の中身を目にする営業マンはごく僅かだろう。昔ながらの整備書は販売店の改修工事などのタイミングで処分され、今も紙ベースで保管しているお店は数少ない。

■ディーラーも頼りになるぞ! 専門業者だけではない旧車への対応

筆者の勤めていたディーラーの整備工場にはトヨタ スポーツ800が入庫していたという。ユーザーが「修理して乗りたい」という意思を伝えれば、ディーラーはその思いに出来るだけ応えてくれる

ディーラーでは、新車の販売と比較的新しめのクルマの修理や整備だけが行われていると思っている人もいるかもしれないが、旧車の取り扱いに長けたディーラーも多くある。

高い人気を誇る車種に関しては、メーカー側も一定の歩み寄りを見せており、パーツの再生産やレストアへの取り組みも増えてきた。日産のNISMOヘリテージ、マツダのCLASSIC MAZDA、トヨタのGRヘリテージパーツなど、旧車の部品を復刻する動きが盛んになってきているのだ。

筆者の勤めていたディーラーでは、FJ28VA型のランドクルーザーや1955年式の初代クラウンなどのレストアを行っていた。整備工場にはトヨタスポーツ800が入庫しているのを見ていたし、ユーザーが「直して乗りたい」という意思を伝えれば、その思いに出来るだけ応えていたように感じる。

中古やリビルト品等を集め、クルマを直すことに熱い気持ちを注ぎ続ける整備士は、ディーラーにも数多くいるものだ。

ショールームに、あえて往年の名車を綺麗な状態で飾っている販売店は、修理やレストアに対して親身に相談に乗ってくれる傾向が強いだろう。

純正部品は10年という期間が一つの節目だ。それ以上に長く乗ることを考えれば、足回りやマフラーといった、ガタが来やすい部品は、節目の時期に正規ディーラーで新品に交換しておくことを、おすすめしたい。

投稿 純正部品いつまで入手可能? 新車売るだけじゃない!! ディーラーの旧型車メンテ事情自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。


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