ローテクだからチューニングが楽しめるんです。
「ローバーミニってものすごいローテク。でもだからこそミニっておもしろい」っていうのが、ストミニで取材をするようになって1年半の編集Nでもわかってきました。
編集Nが自動車雑誌業界に入った’90年の時点では、ローバーミニはまだ「キャブレター車」。その前年の’89年にはホンダNSXやレクサスLS430、R32スカイラインGT-Rなどの近代的なハイテクカーが登場しまくっているのに、ローバーミニなんてインジェクション車になったのすら’92年ですから、ある意味、当時からブッチギリな存在でした。
だからこそローバーミニはおもしろいんです。電子制御がバリバリのクルマではなかったから、昔ながらのメカニカルなチューニングをちょこちょこと楽しんでいける。チューニングパーツを付ければ付けただけ、走りが変化するのがわかったりします。単にオイルを交換しただけでもフィーリングが良くなったのがわかったりします。つまりお小遣いプラスαでちょいちょいローバーミニをイジって(維持って)楽しめるってわけです。わずか2~3psのアップでも走りが良くなったのが体感できちゃうわけです。
当時の国産ハイパワー車でも、チューニングで100psアップなんてことは平然とできましたが、電子制御満載で元々ハイパワーだから、安価なパーツを付けて2~3pアップさせたところで、何も体感できなくなってしまった。もっとも体感できるように30psアップさせるってことも簡単にできるようにはなったけど、そうするために50万円、100万円なんて大金が必要になってしまった。
だからこそ、コロナ禍にも関わらずローバーミニの人気は全然落ちていないし、20代30代のローバーミニ乗りも増えているんだろうなぁ、と思います。
また他車種のチューニング事情を見てみると、’90年代のクルマでエンジンのカムシャフトを交換するとか、バルブ周りをチューニングするとか、ローバーミニ以外はほぼ絶滅状態です。昔ながらのエンジンチューニングをそんなに高くない予算で楽しめるなんて、ローバーミニ以外に楽しめないのですから、ローバーミニがものすごいローテクでよかった、と今になって実感できたわけです。
そんな編集Nが今やりたいのが、ローラーロッカーを使ったチューニング。’91年にホンダS800を初めての愛車として手に入れてヘッドをチューニングしたことはありましたが、ホンダS800のエンジンはDOHC。そして当時のスポーツカーは内外を問わずほぼDOHC。だから自動車雑誌のチューニングミニの記事に必ず出てくる「ローラーロッカー」なんて用語には、すごく憧れを抱いていたのを覚えているんですよね。
ということで、こんな愛すべきローテクなミニのメンテ本が年明けの1月18日に発売予定です。めちゃ使えるメンテ本なので、お楽しみに!
編集N
自動車雑誌編集者歴30年の、カメラマン・ライター・英語翻訳・動画撮影・動画編集、そして雑誌企画制作もこなすハイパーマルチメディアクリエーター。プライベートではミニメイフェアと30プリウス、フェラーリなどを所有。
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