頭の中をいろんなことがグルグルと…
ストリートミニ本誌でタイヤのメインテナンスについてまとめた。クルマにとってスゴく大切な部品であることは重々理解しているつもりではある(タイヤを部品とか、パーツというのには少し抵抗があるんだよねぇ……)。けれども、きちんとお手本どおりにお付き合いできているかと、自分の胸に手を当てて考えてみれば、正直なところ「ハイ、できてます。バッチリです」とは言えない現実があるわけで、反省することしきりなのだ。まぁ、記事を作るたびに何かしら悔いてばかりいるんだから世話ねぇなぁ、って感じ。それでも、読んでくれた人にちょっとだけでいいからヒントになれば嬉しいかな、と。
で、記事を作っていると、実際誌面には反映していないけれど頭の中ではいろんなことがグルグルと渦巻いてしまうんですよ。現実的には締め切りがあるから、どこかの段階で項目や内容はキチッと決めないといけないんだけれども、制限時間いっぱいまで引っ張っていると結局ケツカッチンになってしまうんだな……
言い訳はさておき今回はロードホイール、車輪について思うところをつらつらと綴ってみる。答えが出なくてもご容赦、ご意見は大歓迎……
『Tire』か『Tyre』か…
2020年のタイヤはどんなだったのかな、そろそろ冬タイヤのカタログでも集めてくるかぁ……。などとタイヤのブロウシャをチラチラと見ていて気が付いた。「いまだに“Tire”と“Tyre”の両方が使われているんだ。会社名ならまだしも、統一の動きはないのかねぇ」と。日本語で原稿を書いているうえではタイヤはタイヤ、慣用句としてはタイヤで間違いない。いや、待てよ。タイアと綴る人もいたなぁ、カーグラフィック誌なんかは昔からタイアと書いている気がする。TireでもTyreでも、発音記号からするタイアが正しいのかも知れないけど、大勢はタイヤだなぁ。英語(米語)を日本語表記にすると必ずこんな問題が起きる。結局は著者の強い希望だったり、出版社や編集部の自主ルールということになる。音引きののことか、“B”と“V”の発音に絡む日本語表記とか、メインテナンスとか、アラインメントとか……。まぁ、それも話題にすれば愉し。ということだな。そう、“Tire”と“Tyre”のことは、世界的にはTireが主流でTyreはイギリス英語的扱いということ。じっくり調べるとこれもまた愉し。ダンロップのルーツは英国だからTyre。でも同じホールディング、住友ゴム工業のグッドイヤーとかオーツ(ファルケンね…)はTire。それでもアメリカのダンロップはTireだったりするんだねぇ。あんまり根を詰めて調べだすと、愉しいを通り越して、アイム・ソー・タイアード……、である
タイヤサイズ考、ミニ事情…
むかしからダンロップはミニ用タイヤのページを作るほどにバックアップしてくれてきた。たしか、往年のバイアスタイヤG5のパターンを復活させたSPスポーツR7ができた頃からじゃなかったかと思うのだけれど。ダンロップとミニ登場のストーリーは多くの知るところだし、いまだにダンロップは「初代ミニの誕生以来その足元を支え続けるダンロップ」と標榜しているくらいだから。それでも、13インチホイールに使えるタイヤがラインアップから落ちて久しい。スポーツパックにはダンロップが純正装着されていたのに、である。13インチロードホイールのタイヤが品薄になって以来、毎年タイヤメーカーの新製品ブロウシャが出来上がるとまず『175/50R13』を探してしまう。で、驚いた。ヨコハマの2020年ブロウシャを手に取ってパラパラと繰っていたら、ほぼ中央の見開きにミニの写真があった。視界の片隅に捉えて、通り過ぎてしまったから慌ててページを戻ると、なんとそこには「YOKOHAMA TIRES for HISTORIC CARS」と括られたラインアップがあった。全部がミニのためにあるわけではなかったけれども「FOR HOBBY」のキャッチが、なんともやる気を感じさせて喜んでしまった。ブロウシャの表4にもデカデカと描いているくらいだから、期待値大である。
でだ、ミニの写真を掲載していた製品が『A539』。輸出仕様のスポーツタイヤとして2000年頃から作られていたので新製品ではないにせよ、件の『175/50R13』の国内販売が始まったことに良し、である。惜しむらくは、2017年から復刻している「ADVAN HF Type D」にも『175/50R13』をラインアップして欲しいということだ。一世を風靡したオジサンゴロシ、10インチだけではなくて、12も13もミニのために、である
タイヤのこと、まだまだ話したいことは山ほどあるなぁ。冬タイヤに交換するまで、しばらくはこのネタで引っ張ることにしよう……(つづく)
田代(G)基晴
10月号より本誌編集長:ミニより1歳年下の1960年生まれ。ミニ・フリーク誌のスタートからどっぷりミニ漬けの人生。現在はフリーランスの写真家、編集者として活動。趣味の伝道師を目指し、日々精進している…