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【ゴーリー編集長コラム 05】カウンタ2周近し、リフレッシュするぞぃ その2「エンジンルームの騒音はベアリングが原因…」

車検とメインテナンスをお願いして預けた1.3i AT、その作業にかかる日の連絡をもらったので出動である。

取り掛かるのはまず最初のリクエスト「エンジンルームの騒音」だ。志田(兄)の診断では、もっとも騒音の原因になっているのはクーラー・コンプレッサのプーリー・ベアリングであろうとの見立て。一般的に考えれば、クーラーガスを抜き取り、コンプレッサ本体を外しての作業である。昨今、クーラー用の交換部品のリリースが充実している。なんと驚いたことに、交換用のコンプレッサも入手できるようになっていた。JMSAディレクションで再生産されて新品交換も可能なのだ。価格は約5万円と出費は嵩んでしまうが、初期性能が得られるならそれもしかないな、とは思っていた。

が、志田(兄)は「クーラーガスを抜き取るのはもったいないし、使用しているベアリングを単体で購入することができるので、車上でベアリング交換してしまいましょうね」というではないか。ありがたい話だなぁ、などと喜んで見たものの、ラジエータやオイルフィルタは邪魔にならないのだろうか。作業の手間、時間やコストなど諸々を考えると、コンプレッサの新品交換も車上ベアリング交換も最終的にはあまり変わらないかも……、である。とはいってもそこはそれ、メカニック志田兄弟のチャレンジングに敬意を表して享受することにした。

工場に到着したときにはすでにオルタネータは外され、コンプレッサもフリーな状態になっていて、“さっ、コンプレッサの作業をしますよ”感が満々である。

9月初旬、作業日が決まって工場に馳せ参じた。ピットでリフトに乗った1.3i ATはすでに作業の準備が整っている。エンジンルームの騒音、その原因は感プレッサ・ベアリングとオルタネータ・ベアリングと診断

クーラー配管用のホースで拘束されているとはいえ、クラッチプレートやプーリーがすべて見えるほどには引きずり出すことができる。この状況でクラッチ、プーリーを取り外すわけだ。ボク自身、クーラー一式を取り外したことはあるけれども、コンプレッサを修理するのは初めての見学。マグネットクラッチの構造を見るのは初体験で、なかなか興味深いのである。

まずはマグネットクラッチのプレートを外す。資料を読んだら“アマーチュア”とも書かれていた。磁力によってプーリーに吸着してコンプレッサ内部に動力を伝える部品。クーラーのスイッチが入ったときにエンジンルームから“カチッ”と聞こえる、その張本人だ。コンプレッサのシャフトのスプラインに嵌合しているから、こじるように抜き取った。

オルターネータはいったん撤去して、コンプレッサ・ベアリングの車上交換に取り掛かる。前面に付く電磁クラッチのアマーチュア・プレートを外し、コンプレッサ・プーリを抜き取る。車上なので作業エリアが限られる。プーラーやバール等を駆使しての作業だ

プーラーを使ってプーリーを抜き取る。スペースに限りがあるので、サイズの違うプーラーを駆使しての作業だ。このプーリにベアリングを装着した状態で、コンプレッサケースのシャフトに圧入してある。ベアリングは抜けないように周囲のプーリ本体にタガネの叩きが数カ所あるので、基本的には非分解なのだろうか……。

外したコンプレッサ・プーリ。中心部にベアリングを圧入し、タガネで叩いて抜け止め加工が施してある。本体に挿入し、ベルト駆動によって常に回転している。コンプレッサのシャフトとは分離しているので、ベルトテンションの内部影響は少ない構造なのだろう
これがコンプレッサ・ベアリング。けっこうキャパシティの大きいものが使われている。ベルト駆動の負荷は相応に大きいのだろうと推測できる。特殊なサイズではないので、ベアリングの入手は可能だが、交換するには少々手間のかかる構造なのである
写真はプーリからベアリングを外しているところ。用意した新しいベアリングを旧来のベアリングを外したプーリに再圧入し、抜け止めの金属リングを用意しておく。

作業はタガネの叩き痕部分を旋盤で切り取ってベアリングを交換、新たに金属リングを作ってベアリング押さえとしてプーリに溶接だ。この部分のスラスト方向のクリアランスは大きいという。溶接のままでも問題ないらしいのだが、仕上がりを気遣い、旋盤で面を仕上げておく。こういった一連の作業がプロらしくて好きだ。

抜け止めプレートの周囲を数カ所、溶接によって点付けし、ベアリングを保持できるようにする。表面に残る溶接跡を研磨して平滑にしておく
左奥がベアリングを交換したプーリ、手前のベアリング単体が交換した旧部品である。右側にあるのがマグネットクラッチのプレート(アーマチュア)。このプーリとプレートを再装着していく
コンプレッサの本体側はこのようになっている。中心部にあるのがスプラインの付いたコンプレッサのシャフト。その周りの中サイズの円がプーリのスピンドルである。二重円の外周がステータ・コイル、つまり電磁石だ。この強力なマグネットがプレートを引き寄せてプーリと連結するわけだ

車上では圧入機が使えないので、ボルトと大きなワッシャを活用してプーリとクラッチプレートを差し込んでいく。ステディロッドブッシュの交換などにも使えるワザだ。

限られたスペースでは再装着の方が難儀するかも知れない。スプラインのシャフトにはネジが刻まれているので、ボルトと大きなワッシャを駆使して、プーリ・アッセンブリを挿入していくことになる。同様にクラッチプレートを装着したらベアリング交換は終了だ

もう一点、オルタネータのベアリングが気になるという。手で回してもゴロゴロ感がある。最終的にはボクの判断でオルタネータは新品に交換することにした。このところ、電装系の作動に不安な部分も多かったから、良い切っ掛けとなった。

つづいてオルタネータベアリングの確認。すでに騒音を発していることは承知しているのだが、実際に手で回してみると、ゴロゴロ感が情けなくなる……。交換は決めていたものの、18万㎞で4個めだ。自分の意志で交換したもののあるが、電力負荷を掛けすぎなのだろうか……

結果的にオイルフィルタが作業を阻害したので、フィルタボウルだけ一時退避。ラジエータもVベルトの交換で少しずらしたけれど、冷却液を抜くことはなかった。コンプレッサ、オルタネータを復元し、アラインメントを確認して、第一段階終了である(つづく)

エンジン騒音問題は、ほぼこれで解消したはず。ウォーターポンプやファンブレードは昨年の夏前に交換しているからなぁ、まだまだ元気で働いているはずだ……。排気システム総点検の作業レポートはつづきにて

田代(G)基晴
10月号より本誌編集長:ミニより1歳年下の1960年生まれ。ミニ・フリーク誌のスタートからどっぷりミニ漬けの人生。現在はフリーランスの写真家、編集者として活動。趣味の伝道師を目指し、日々精進している…


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