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こんなピストンを求めていた!? エンジン回転の抵抗低減と燃焼効率改善でエンジンの長寿命化を実現 ー前編ー

ここ数年にわたり、多くのミニ・スペシャルショップでは、ミニのエンジンオーバーホールの依頼件数が増加の一途をたどっている。

20年以上にわたって、いちども開かれたことがないエンジンブロックは、なにかしらの不調をきたしていることが多く、すでにオーバーホールされたものでも、長年の消耗によってシリンダーが拡がってしまっているケースが少なくない。

すでに生産が終了し、現存するエンジンをいかに保護して運用していくかは、現在のミニ業界にとって、喫緊の課題となっているのだ。

そんな中、埼玉・三郷市のストックヴィンテージでは「燃焼室(シリンダー)形状の最適化」という、ひとつの答えを提案。

そして、それを実現すべく、エンジンの長寿命化を図る「オリジナル鍛造ピストン+20」を開発したのだ。

 

特徴的なディッシュ形状で、ロスが大きいミニの燃焼室形状を改善

SV「オリジナル鍛造ピストン+20」の特徴的なディッシュ形状。 photo=streetmini

同店の田中代表によれば、このオリジナルピストンは「新車当時の走り心地」をよみがえらせるべく、消耗によってシリンダーが拡張された「ノーマルエンジンブロック」での使用を前提に開発されたとのことで、そのための工夫が随所に盛り込まれているという。

しかし、やはり気になるのは、写真をご覧いただいてもわかる「ピストンディッシュ」の形状だ。

ディッシュタイプのピストンといえば、ピストントップが円形の皿状にへこんでいるのが一般的なだけに、このハート型にも見えるディッシュはかなり特徴的といえる。

 

ヘッド上面(上)の形状に合わせて設計されたピストンディッシュ(下) photo=streetmini

「このオリジナルピストンのディッシュ形状ですが、実はこれ、燃焼室上部のヘッドの形状を反転した形になっているんです。この形状は、燃焼室での良い爆発を生み出すことで、もともと低かった混合気の燃焼効率と充填効率を少しでも改善することを考えて設計しました」。

同店でエンジンを手がけるとき、田中代表が常に考えているのが「同排気量の現行車とのパワー差」だという。この違いを比較すれば、こうしたミニのエンジン効率がいかに低いかがわかるというのだ。

例えば、同排気量のホンダ・フィット(ガソリン仕様)と’97年以降のミニ1.3iメイフェアを比べたとき、前者が最大出力100PSに対し、ミニ1.3iが62PS(ATでは53PS)(いずれも6,000rpm)であるから、その差は歴然だ。

この差が生まれる大きな要因には、燃焼効率と充填効率の違いがあるという。

「通常、現行車であれば点火プラグはピストントップの中心に配置されていますよね。この場合、プラグから燃焼室の端までの距離が均一になるため、空燃比が最適な混合気であれば、燃焼はムラなく短時間で完了します。

しかし、ミニの場合はピストントップの中心から離れた位置にプラグが配置されているので、プラグの対角位置に火炎が届くまで時間がかかってしまいます。

混合気が燃え尽きるまで時間がかかってしまうと、最後の方の燃焼エネルギーはピストンを押し下げるには不十分になってしまうのです」。

そこで、田中代表は、このロスを低減させるために、プラグから遠い燃焼室部分を少しでも無くすことが必要だと考えたという。

「これを改善するため、多くの場合はフラットピストンを使用しますが、この場合はどうしても圧縮比が上がってしまいます。

あくまでノーマル仕様にするのであれば圧縮比設定は変えられないので、ヘッドの形状にあわせたディッシュを設けることで、ノーマルコンプレッションを維持しました。

結果として、燃焼室の形状変化による効果はフラットピストン使用時を上まわるものになったと感じていて、圧縮時の混合も改善されたことで、予想以上の燃焼効率アップが図れました。

燃焼効率が良くなれば、必然的に吸排気効率の改善にもつながるので、もうひとつの大きな要素である混合気の充填効率も改善されるのです。

さらにもうひとつ、これはヘッド加工を数多くこなしてきた経験にもとづく体感での話になりますが、ディッシュ形状をヘッドにあわせたことで、吸排気それぞれの力が増したと考えています。

これはバルブ付近に空間を集中させたことによるもので、これらの効果が重なることで、体感できるほど、エンジン効率を改善することができました」。

→後編へ続く

製品情報

ストックヴィンテージ
オリジナル鍛造ピストン+20

150,000yen(税別)

 

ストックヴィンテージ
田中代表

「ミニのパワーアップは、コンディションを整えることでロスを減らし、最大限のパフォーマンスを引き出すことがいちばんの方法」と語る、SV田中代表。同店からリリースされるパーツはサーキット向けの印象が強いが、実はいずれも快適な街乗り仕様を目指して開発されているのだ。

SHOP info


●ストックヴィンテージ
341-0034 埼玉県三郷市新和5-99-2
TEL/FAX 048-952-6712
http://stock-v.net


photo=streetmini text=ken nakajima

special thanks=ストックヴィンテージ
※この記事は、STREET MINI vol.40 2019/4月号掲載記事を加筆・訂正して再掲しています。

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