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初心に戻って最も基本的な日常的に行うべき点検を取り上げる。水( L L C )、オイル、ブレーキフルード、エアクリーナーなどのチェックと、不足している場合の補充などだ。下回りではハブのガタやブッシュ類の摩耗のチェックを取り上げるが、これらについてはチェック法だけで、異常がある場合はショップに持ち込んでほしい。

■やさしい日常点検で安心ドライブを

ユーザー自身がボンネットを開けて、あるいはジャッキアップして日常点検をすることで、故障はかなりの部分が未然に防げる。今回は基本的なチェック項目とその方法を紹介する。

ミニ乗りなら常に心がけておきたい日常点検

自動車の点検にはかつて「仕業点検」というのがあって、運転する前に必ず点検することが義務づけられていた。これは自動車の信頼性が低かった時代にできた規則で、その後、自動車の耐久信頼性は非常に高くなった実情に合わせて廃止された。

その代わりにできたのが「日常点検」というものである。これは毎日やらなければならないとか、運転する前に必ずやらなければならないとかではなく、いつもクルマを良い状態に保つための規則で、点検の周期は定められてはいない。

つまり、これは日常的に点検を怠りなく行うようユーザーに任せた点検で、ユーザー自身がやってもショップに任せても良い。ただ、12カ月点検とかの法定点検と違って罰則の規定はないため、ないがしろにされやすいのも事実だ。

しかし基本設計の古いミニの場合は、この日常点検は特に重要であるといえる。こまめな点検で異常をチェックし、整備していればあなたのミニはいつも快適に走れる。

今回扱う点検は比較的簡単なものであるが、異常を見つけた後の対処では手ごわいものもある。その点は自分の技術や所持している工具などにより、ショップに任せることを考えればよい。いずれにしても、点検チェックだけは怠りなく、いつも愛車を良い状態に保つことだ。

また、特に注意しておかねばならないことがもうひとつある。それは下まわりのチェックだ。誌面ではショップで行っているのでリフトで上げているが、ユーザーはジャッキを使うだろう。ハブのガタ点検などはジャッキアップしただけで作業してもよいが、下まわりのチェックなどで、そのままクルマの下に潜っては絶対いけない。ガレージジャッキでもだ。必ずジャッキスタンド(通称ウマ)をかけて行なうこと。これは作業の鉄則であることを、知っておこう。

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・オーバーヒートを起こさないためにまずは基本を

まずは初歩中の初歩冷却水(LLC)の量をチェック
冷却水の役目は高温になるエンジンを冷やすこと。だが、ただ冷やせば良いだけなら水道水をそのまま入れてもよいことになるが、冷却水に求められるのはそれだけではない。冷却水の経路には鉄やアルミなどの金属があり、その腐食を防ぐ役割もある。また冬季には凍らないように不凍液としての機能も必要だ。冷却水をLLC(ロングライフクーラント)と呼ぶのはそれらの機能を持った特別な水だからである。量が減った場合はLLC を補充するのが本来だが、極寒地でなく、量も多くなければ水道水を足してもよいだろう。なお、ロングライフといえども何年も使い続けてよいわけではない。1~ 2 年ごとに全量を交換する必要もある。それについては別項。

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ミニはラジエターがエンジンルームに向かって右側にある。

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走行後にラジエターキャップを開けるときは、充分温度が下がっていることを確認。それでも万一を考えウエスなどを介してキャップを開けるようにする。

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ラジエターキャップはバネである程度の内圧に耐えるようになっている。内圧が高いと沸点が100度より上がるからだ。キャップを外したらそのバネが機能しているかもチェックしておこう。

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ラジエターのフィラー(注入口)をのぞいてコアが見えるようでは冷却水(LLC)が不足している状態だ。

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LLC を注入する。出先でLLC がなければ水道水の継ぎ足しでもまず問題はないだろう。

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コアが隠れてLLC が口の近くまでの高さになったらOK。しっかりとキャップを閉める。圧力が逃げてしまうと、オーバーヒートしやすくなるからだ。

難易度/★・・・・・・・つづく