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完成に近づいてきたエンジンですが、このポート側の顔を見ていると思うところがありまして。

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こちらは998用の9FAブロックです。

ブロックの背面に2枚、メンテナンス用のハッチがあります。左側にはブローバイを抜くための煙突が付いている黒い部分です。

いわゆる「チェスト」と呼ばれる構造です。薩摩隼人ではなくタンスの意味ですが・・・タンスの引き出しみたいに見えるためでしょうかw 998用の9FAブロック、そしてクーパーS用の12Fブロックも同じ構造になっておりまして、エンジンを車体に搭載したままでもこのハッチを開けてリフターを交換できるようになってます。

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ハッチを開けてチェストの内側を覗いた状態です。

ここを開けてリフター交換するような作業が実際にどれだけあったのかは謎ですがw、Mk1のエンジンを代表する構造ではありまして、FIAボディにエンジンを組むにあたってこだわるべきか悩んだ部分だったりします。現実的には、先々週の記事でも書いたとおり1,300ccエンジンチューニングの勉強とノウハウ集めのために高年式の12Hブロックを選んでおりますが、実は理由は他にもありまして。

よく聞く話としてはこのチェスト部分からオイル漏れしやすいという問題があったりします。パッキンがへたってくると漏れるようになりますし、増し締めすると漏れは一旦は止まるのですが、更にパッキンがへたってすぐにオイル漏れが再発するというイタチごっこの経験が僕自身にもあります。

また、このチェスト部分がブロックの背面の開口部となるのでブロック自身の剛性が下がるという問題もあるそうで、レースでの使用を考えるとこちらの方が問題になります。

そんなわけで、今回チューニングベースとして12Hブロックを選んだことは全くリーズナブルというか、ヘビーチューニングを見越した当然の結果ではあるのですが、

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細かい部分を知れば知るほどMk1って良いよなあと思ったりするのですよ。

上の写真は9FAのブロックを下から眺めた状態ですが、ボアの下端がキレイに肉盛りしてあったり、リフター穴周辺も立体的に成型してたりします。なにより全体的に鋳肌がキレイですよね。

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これが12Hだとこうなっちゃうんですよ。ボアの下端の肉盛りが無くなってぶつ切りにされていたり、

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リフター穴部分もただ単に穴が開いているだけですし、カムシャフトとぶつからないように彫刻刀か何かで荒っぽく削られ、とりあえず空間が確保されているだけといった雰囲気がアリアリと感じられます。

確かに見えない部分ではあるんですが、手を抜きすぎなんじゃないかなあ、と。

工業製品って、最初に市場に出る際には設計的に十分な品質にしつつ、製造的にも手を抜かずにしっかり作り込むんですが、モデルチェンジを重ねて代が進むにつれてコストダウンのために部品を省いたり製造を簡単にするために手間を省いたりするんですよね。そしてそれは見えない部分に顕著に表れます。工業製品の世界の習いではあるのですが、やっぱ最初の手を抜いていない状態って魅力的なんですよね。

上でも書いた通りレースで使うなら迷わず12Hですけど、のんびり楽しむならば細かいところまで気が行き届いていた時代の構造にこだわるのも趣味としてはアリかもしれないなあと思う今日この頃です。

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エンジン作製編に戻ります。

5ポートに戻るためエキマニも変更します。

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ポートに合わせて内径を拡大しつつ、ポートに対して段差が生じないように形状を修正しています。手間のかかる大変な作業です。

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5ポート化に際して、キャブはスプリットウェバーを選択しました。

これまでの経験から選びましたが、メリットとしては低回転と高回転を独立にセッティングできるのと、スプリット化することでミニの吸気ポートに対するエアフローも最適化できるためです(こちらこちら)。

ただしバルクヘッド部分を切りたくなかったので、今回はショートタイプのインマニと組み合わせて使いました。
998cc→1,300ccでキャブが上方向に移動したのでボディに対して上下方向のクリアランスはOK、インマニをショート化することで短いファンネルと組み合わせればバルクヘッドに対して前後方向のクリアランスもOKで、ボディを切らなくてもギリギリ収まるという綱渡りのような結果でした。

が、それでも問題はありまして汗

なんと短くなったインマニが太くなったエキマニのセンターパイプに干渉しました。ボディに対する上下&前後方向のクリアランスはクリアしましたが他に伏兵がいたという・・・何という孔明の罠w

真夜中に10回くらい付けたり外したりして調整したそうです。ええ、エキマニをぶっ叩いて凹ますという荒技のようですが・・・それってエキマニ太くした意味なくなったんじゃね?と思わなくもないですよねw

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エンジンが搭載されるとゴールが見えた気がしますね。そこからが長かったですがw

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点火タイミングだけ合わせて、ひとまずガソリン入れて火入れ式です。携行缶からだとガソリン入れ辛そうでした。

とりあえず問題も無く一発始動しました。ノイズや排気音も大人しめでやや拍子抜けしました。

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インマニがショートタイプになったため、アクセルワイヤーの取り回しも見直しました。

今回はこんな感じにステーを追加して収まりましたが、アクセルワークが若干重く感じるので本番までに見直す予定です。

続きます!

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