エンジン作製編その2、ムービングパーツの選定および組み込み編です。

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こちらが今回のチューニングで主役になる方々です。

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スーパーテック製鍛造ピストン。

ミニのチューニングで一般的なφ73.5mmではなくφ73.0mmを選びました。
理由はブロックのシリンダー間の壁の厚さ確保です。先日の記事でご紹介した通り、1300ccブロックでボアアップする場合にはダブルオフセットなる技まで駆使して極限までボアを広げるわけですが、その結果シリンダー間の肉厚が極限まで削られたブロックになってしまいます。レースでもよくこの部分で圧縮抜けを起こしたりしていますので、それを防ぐ狙いでわずかではありますが小さめのピストンを選んでみました。

またかなりショートハイト化されておりまして、長いコンロッドが使えるようになって連桿比がアップすることによりトルク伝達効率が良くなる&高回転化が楽になるメリットが期待できます(理屈に関してはこちら)。その一方で、ピストンが首振りしやすくなってシリンダーの摩耗を誘発しやすくなるというデメリットもあるのですが、とりあえず試してメリットとデメリットを見極めて、デメリットの方が大きいならば通常のφ73.5mmのピストンに戻しつつブロックを削り直して丸ごとリセットしてしまおう、という戦略的シナリオです。

まあ平たく言うとSVに転がっていた長期在庫を割安で使わせて頂いたってコトなんですがw

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アロー製コンロッド。ショートハイト化されたピストンに合わせて延長されております。

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アロー製鍛造クランクシャフト。鍛造復活ですw

1,300ccチューニングに手を出すに際し、クランクシャフトに関しては当初はMED製のマルチウェブタイプを選ぼうと考えておりました。むしろ絶対使おう位の勢いだったのですが、ダブルオフセットボーリングでピストンセンターがズレるという状況を知って見送ることにしました。

どういうことかと言いますと、マルチウェブのメリットってカウンターウェイトが気筒毎にクランクの両側に付くことでクランクの回転による重心のズレを左右から均等にキャンセルし、振動やクランクシャフト自体のねじれを抑制しようというモノです。それが成立するためには当然ながらコンロッドはクランクに対し中央にいなければならないわけですが、ダブルオフセットボーリングでピストンセンターが0.4mmズレるということは、コンロッドからクランクへの入力位置がセンターからズレるということを意味します。入力がセンターからズレればマルチウェブである意味が無くなり、単なる重量大き目なクランクシャフトになってしまう可能性がある・・・と想像したためです。オフセット量に合わせてクランクシャフトを個別設計できるといいんですけどね汗

また、エンジンの歴史を紐解いても(正直調べ切れてなくて断言は出来ませんが汗)、出力アップに伴って、4気筒3ベアリング→4気筒5ベアリング≒マルチウェブ化、という順序で進化してきているように思います。つまりマルチウェブ化が効果を発揮する前提として気筒毎のベアリング支持が必須なのではないか、とも思うのですよ。クランクの両側を気筒毎に支持する=クランク両側が支点になるのでねじれ&曲げモーメントが気筒毎に独立=ウェイトをクランク両側に分配してねじれ&曲げモーメントを気筒毎に完全キャンセル、という設計思想かな、と。

ミニのエンジンが3ベアリングである以上、無理してマルチウェブ化するよりベアリング間の2気筒をつなぐ部分の剛性を確保してねじれを抑制する従来形状の方が理にかなっている、のかもしれません。3つしか無いベアリングの負荷が大きいことは変わりはないですし、さらにチューニングして負荷を増やすことにも間違いはないんですけどね汗 この問題に関しては劇的な対策は無く、ピストンおよびコンロッドの軽量化、適切なクリアランス確保、そして油圧の確保といった手当で地道に対策していくしかない、というのが現状でしょう。

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そして恒例の重量比較です。まるでキャベツかなんかを測っているかのような光景ですねw

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重量をノーマルと比較してみました。ついでに998とも比較してみました。

軽い方が良いとはいえ、コンロッドがちょっと軽すぎないか?と不安になったのですが汗
ノーマルの998と1,271を比べても同じような重量関係になってますのでそういうモノなのかもしれません。つまり998が過剰品質なのか、それとも1,271に余裕が無いのかw

コンロッドが軽い理由としてI断面だからというのもあるかもしれません。ちなみにチューニングで一般的なH断面よりI断面の方が座屈強度が実は高いので、個人的にはI断面の方が好きだったりします。本音はSVの長期在庫を以下略w

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クランクシャフトのキャップを強化タイプに交換。

スイフチューン製で、センターは4スタッドで固定するタイプです。ちなみにクーパーS用の12Fブロックでは足場の問題で使えないという噂があり、どうしようか悩んでたりします。まあ先の話ですがw

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メインベアリングはACL製を選択。

個人的にはバンダーベル派なんですが(こちら)、今回はドタバタしているうちにACL製になってました。まあ問題があるようならば考えましょう。

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加工が終わったブロック。

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ピストンリングの合い具合などを実際に組んで確認し、

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クランクシャフト組み込み完了。

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ピストン&コンロッドを組み付けて、

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ブロックに組み付け完了! 早えーよw

いや「写真をたくさん頼む」とお願いして、確かに写真をたくさん頂いたのですが・・・寸法を細かく測っている写真ばかりでブログに使えるものではなかった、というオチでしたw

続きます!

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